境界性パーソナリティ障害の人は、 失敗して傷つくことを 恐れています。
チャレンジから逃げたり、 他の問題を起こして煙に巻こうとしたりします。
でも本当は 頑張り屋の人が多く、 認めてもらいたい気持ちも 人一倍強いのです。
その気持ちを うまく励ませば、 やってみようという モチベーションに繋がります。
「きみならできると 信じている」
「きみは 困難を克服する 力を持っている」
というメッセージを 伝え続けることです。
働きかける人自身が、 それを信じていなければなりません。
「どうして そんなことが言えるのか」 と 問い返してくるかもしれません。
そのときは、 「私には分かるし、 そう信じている」 と 答えるだけでよく、
理由をいちいち 説明する必要はないと、
リネハン (弁証法的行動療法の創始者) は述べています。
〔 「境界性パーソナリティ障害」 岡田尊司 (幻冬舎) より 〕
心子と 付き合い始める時、 心子は 会社で苛めを受けており、
心因性腰痛で入院しました。
心子はそれを 労災として認めさせたいと、
労働組合に入って、 会社と団交し、 徹夜で資料作りもしました。
ただし当時、 精神的苦痛を労災認定するのは 非常に困難で、
心子は心身ボロボロになって 打ちのめされたりしました。
悲壮な気構えを 見せるかと思うと、
もう 何をやっても無駄だと、 全てを投げ出そうとしました。
今までこれだけ 頑張ってきたのに、
いじめた連中と会社を 見逃していいのかと、 僕は切々と説きました。
心子がまだ ボーダーだと分かる前で、
上記記事のようなことを 考えたわけではありません。
ただ、 ここまで手を尽くしてきたことを 無駄にしたくない、
心子が傷ついたまま 終わってほしくないという思いで、
もちろん 心子にはできると信じていました。
そして、 ようやく心子は思い直して、 再びやる気になったのです。
(次の記事に続く)