「境界に生きた心子」

境界性パーソナリティ障害の彼女と過ごした千変万化の日々を綴った、ノンフィクションのラブストーリー[星和書店・刊]

「明日への遺言」

2008年03月01日 23時36分08秒 | 映画
 
 第二次大戦の B級戦犯・岡田資 (たすく) 中将が、

 戦犯裁判にかけられて、自らの信念を携えて 堂々と戦い、

 部下を守って 全ての責任を背負っていく 実話です。

 米軍爆撃機の搭乗員を 日本軍が捕え、

 岡田資は 米兵を死刑に処すよう 命令しました。

 その罪を問われますが 岡田中将は、

 米軍機は 国際法違反である無差別爆撃をしたと 主張します。

 そして責任は、米兵処刑に直接手を下した 部下ではなく、

 命令した自分に全てあると訴えます。

 法廷の誰もが、岡田中将は部下を救うために、

 自分だけが 死刑になろうとしていると察します。

 弁護士だけでなく、ある時期からは 検察や裁判官までもが、

 岡田中将に 有利な答を促すような 質問をしますが、

 中将は断固として これを拒むのです。

 アメリカ人の弁護士と 岡田中将は心で結ばれ、

 検事も中将に 好意を感じるようになっていきます。

 そして 傍聴席から連日 中将を見守る家族は、

 誇りを持って 中将と気持ちを交わします。

 最後に中将は 公正な法廷に感謝をし、「本望である」 と述べて、

 粛然と死刑を 受け入れていくのです。

 中将以外の被告は、全て懲役刑 (重労働) でした。

 これほど毅然として、重い責任感を抱き、部下を思いやる人間が、

 戦争という 時代状況であったがために、死んでいかなければならない。

 それは 無名の兵士たちも同じですが、

 もし通常の時代に 岡田資が生きていたら、

 どんなに優秀で立派な 上司になっていたことでしょう。

 現代は、無責任で 社員や消費者のことを考えない 経営者も多いなか、

 我々は岡田中将のような 過去の偉人に、

 理念を学ぶ必要が あるのではないでしょうか。

 自分の運命から逃げずに、背筋を伸ばして対峙し、

 誠実に、愛情と気概を持って 生ききった、

 清廉な男の言葉が 心に残ります。
 
コメント
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする