「境界に生きた心子」

境界性パーソナリティ障害の彼女と過ごした千変万化の日々を綴った、ノンフィクションのラブストーリー[星和書店・刊]

「青い花火」 (2)

2008年03月26日 22時56分36秒 | 映画
 
( http://blogs.yahoo.co.jp/geg07531/53431467.html からの続き)

 圧巻は、玲子が ビデオの編集をするシーン。

 バックから攻められる 彩佳の顔のアップが、複数のモニターに映し出され、

 玲子はそれを見ながら 編集作業をします。

 彩佳の鋭い眼が 玲子を睨むように並び、玲子は彩佳と 正面から見つめ合います。

 彩佳と玲子の 眼と眼の激闘。

 ビデオの中の 彩佳の演技は、正に 「自分は生きているんだ」 と

 必死に主張しているようです。

 そして玲子は 彩佳から逃げずに対峙し、自分自身とも 向き合っていくのです。

 ビデオ制作が終わり、彩佳は 会社を去っていきます。

 そして 何本ものビデオを ポストに投函し、告白します。

 自分も中学生のとき、クラスの男子を 苛めたことがある。

 高校で 自分が苛められて、初めて 彼の気持ちが分かった。

 自分は、声を上げられなかった 彼のために叫んだのだと。

「彼は私。 私は彼。 私は私。 皆とは違う。 文句あるか。

 これをやらなければ、私は生きていけなかった」

 彩佳のビデオ出演は、自分が自分として 生きていることの、

 死に物狂いの 叫びだったのでしょう。

 それが 玲子の心を動かした。

 そのあとで 玲子はスタッフから、彩佳の置き土産だという 携帯電話を渡されます。

 電話を持たない玲子に、人とのコミュニケーションの 象徴である携帯電話。

「いつか電話するって 言ってた」

 スタッフから そう告げられた玲子は、

 声を上げて ボロボロ涙をこぼすのでした。

 そして、田舎を走る電車の中に 玲子の姿。

 携帯電話に 彩佳が公衆電話から架けてきます。

 玲子は、虐待を受けた 母親に会いに行くことを 話します。

「そうしなければ、あたしも 生きていけないでしょ」

 彩佳は 自分の捨て身の演技が、玲子に伝わったことを確認し、目に涙を溜めます。

 知らない街の 電話ボックスから出てきた彩佳、その姿は 何とスキンヘッド。

 彩佳の、新たな場所での、次の一歩が 始まります。

 人込みの中を闊歩する、輝くような存在感が 際立っていました。

(続く)
http://blogs.yahoo.co.jp/geg07531/53462117.html