「境界に生きた心子」

境界性パーソナリティ障害の彼女と過ごした千変万化の日々を綴った、ノンフィクションのラブストーリー[星和書店・刊]

心子のお母さんとの再会(3)

2005年11月28日 21時06分07秒 | 心子、もろもろ


 お母さんはこんな話も聞かせてくれました。

 心子が旅立つ1年前の大晦日、お母さんは色々食べ物などを買い込んで彼女のマンションに行ったそうです。
 ちょうど彼女も買い出しをして帰ってきたところで鉢合わせになりました。
 彼女は、お母さんが連絡もせずに来たこと,自分が買い物をしてきたのに同じようなものを買ってきたことに怒り、お母さんに買い物袋を投げつけて、「帰って!」と怒鳴ったそうです。

 お母さんは仕方なくマンションをあとにし、駅へ向かいました。
 すると後ろから足音が聞こえてきて、彼女が走って追いかけてきたのです。
「お母さん、待って! 帰ってきて! ごめんなさい!」
 彼女はお母さんを無理やり引き止め、マンションに連れ帰りました。
 その晩、彼女とお母さんはひとつのベッドで眠ったということです。

 生前の心子からは、お母さんとは犬猿の仲だときいていましたが、実際は違っていたようです。
 彼女はお母さんに対しても、常に強い愛情とその裏返しの激怒をぶつけ、目まぐるしくアップダウンを繰り返していたのでしょう。

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