山岳雑誌アルプが1958年の発刊以来25年、300号で幕を閉じたのはアルプが守ってきた山への造詣を描ける文章家がいなくなったからだと言います。発刊当初は明治、大正生まれの日本登山史を作ってきた錚々たる人たちが文章を寄せてきましたが、ほとんどが鬼籍に入った後はそれを継ぐ人が現れなかったということらしいです。そして、山も変わりました。観光資源としての山はロープウェイとスカイラインの建設で切り崩されてしまいました。山を思想的に感じることができなくなってしまったというのが一因ともいえるでしょう。山はピークハント、縦走が第一で、山と対話するということが無くなったと言えるのでしょう。アルプは古本では相当な高値です。雑誌の体裁も上質なものだったらしいです。アルプは串田孫一が最初から最後まで編集主幹のような立場でいました。串田のエッセイのファンとして、一度手にしてみたいものです。
「アルプの時代」山口耀久 ヤマケイ文庫
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