毎日が観光

カメラを持って街を歩けば、自分の街だって観光旅行。毎日が観光です。

高尾山1

2009年07月08日 19時47分27秒 | 観光
 電車のドアが開くと、車内の冷房を押しのけて夏の空気が身をよじりながら入ってくる。
 いつからか、嫌いな夏が待ち遠しくなっていた。
 自転車に乗って知った自分の身体の不思議さ。
 初めはハンガーノック。それから、松姫峠を登っていた時の、寒さ、ひもじさ、眠さなどを味わったあと、「遭難」という言葉が浮かんだ瞬間の身体の振る舞い。「先生! まだぼくたち頑張れるよ」と体中の細胞ひとつひとつが活性化して、なんだか三十人三十一脚に再び取り組む決意を見せた生徒たちと教師の感動的な場面を峠に登る途中で一人芝居したようなあの振る舞い。
 自分の身体なのに、自分の意思や思いとはまったく別の原理で動いている身体。ああ、それから秩父の山を登った時もそれを感じた。耳の奥でトクトクと打ち続ける脈、体の熱さ、水源はどこなのか不思議なほどの汗、動かそうにも動かない身体。その時の身体は、ぼくにとって他人だった。
 何が効いているのかわからないけれど、この間体脂肪計が9%を指した。翌朝11%に戻っていたので、定着できないけれど、これも意外だった。意図的に落とそうと思っていたわけではなかったし、去年と同じ生活だったのに(去年は14%くらいをうろうろしてた)。
 身体が不思議で今、ぼくはぼくの身体に夢中だ。こんな身近に面白いものがあるなんて。
 あいにく前日は雨。自転車に乗れなかったので、京王線に乗って手頃な高尾山へ。


 鞍馬から貴船神社に至る木の根道のような登山道。
 身体の不思議を味わうには、追いこまないと。自分の限界に近いであろうスピードで登る。汗だくだく、息もはあはあ、だけれど、秩父の山を自転車で登るほど追いこめない。自転車はある程度頑張らないと転ぶから辛くてもペダルを踏むけれど、歩いて登る場合、辛いと自然にセーブしてしまう。いわばじっと息をとめて自殺しようとしている人に似ている。誰かに首を絞めてもらうか、首をつるか、あるいはビニール袋をかぶるなどしないとなかなか窒息できない。それと同じだ。後ろから鬼コーチが追いかけてくるとか、ゴールでタイムを計ってる鬼コーチ(鬼コーチだらけだ)がいないと、自然にゆるめてしまうのは、ぼくが一度も運動部に所属したことがなく、フィジカルの向上など頭の隅にさえ浮かんだことのない人生を歩んでいたからかもしれない。
 それでも高尾山の山頂まで38分。たぶん速い人は信じられないくらい速く登れるんだろう。標準登山タイムは90分ということなので、初チャレンジとしてはまあまあかな。

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