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臆病者の自転車生活

2024年04月29日 11時46分30秒 | 読書

 安達茉莉子「臆病者の自転車生活」

 このブログで時々サイクリングのことを書かせていただいているのですが、実はわたくし、40になるまで一切運動をしたことがない超インドア人間でありました。山登るとか、前世でどんな悪事を働いたらそんな目にあうんだろう、などと思っておりました。

 そんな人間ですが、ある時荒川サイクリングロードなるものを知り、そこから自転車に夢中。それまで思ってもみなかったいろんな思い出とともに生きることができました。自転車を知らなかったら味わえなかった感情、思考、それから努力したわけではないのですが、15kgの減量。自転車に人生を豊かにしてもらいました。

 著者も同じような状態で自転車と出会ったのでした。

心に怯えた犬を飼った臆病者でも、自転車に乗れたし、むしろそんな人をこそ軽々と遠くに連れていってくれるのが自転車だ。生活の足にするだけではなく、自分の足で遠くまで行く喜びに気づかせてくれる」

 電動アシスト自転車を手に入れた著者は、自転車とともになにかに目覚め、すぐにロードバイクが欲しくなる。わかる! ぼくも安価な自転車を購入したあと、すぐにロードバイクが欲しくなり、財布をはたいたのでありました。

 

「自転車を好きになって、私の生活は大きく変わった。空気の層や風、地面の衝撃を感じながら道の上を走り、海の横を流れるように並走する。自分の体でこんなに遠くまで来たんだ、という感覚。体力のない私でも、自転車ならそれが叶う。そして何より、自転車に乗るのは気持ちいい。それ自体が喜びなのだ」

 自転車に夢中になった者が味わえる感覚が素敵に表現されています。何度も何度も頷きながら読み進んだものです。

 

「自転車を通して、私は世界に恋をしている」

 自転車を漕いで出会った様々な美しい景色を思い出しつつ、深く感じ入るのです。大きく開けた田畑、鴻巣のポピー畑、爽やかな風に身を包みながら空と水の青さに心ときめかせた霞ヶ浦、寒さに震えながら下った峠、楽しかったことも美しかったことも辛かったことも、全部自転車が与えてくれた思い出です。

 

どこまでも行ける。

 どこにだって行ける。

 自由だ、という気がした。

 この自由を味わうために走るのだ、きっと。

 

 走りたいと思ったとき、すべてが変わっていったのだった」

さあ、一緒に走り出しませんか。

コメント (2)
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