大井上康学術文献資料館

2008-07-09 19:24:25 |  静岡県



 旧大井上理農学研究所(大正8年築 1919)。 「巨峰」の生みの親として名高い大井上康(1892~1952)が、葡萄研究所として自ら設計し、東京から大工を連れてきて建てさせたという白壁の洋風建築。 現在は大井上に関する学術資料の保管場所になってるようですが、丘というか小山というのか、徒歩では簡単に辿り着けないような高台の上に建っていました。 苦悩の研究の末、昭和19(1944)年(現地案内板の年数に従います)に新品種の交配に成功し、ここから見える富士山に因んでこのブドウを「巨峰」と名付けたというエピソードが泣かせます。  静岡県伊豆市(旧中伊豆町)上白岩2000  06年12月下旬

石原美術

2008-07-08 07:16:33 | 愛知・岐阜




 旧日下部合資会社事務所(大正2年築 1913)。 施主は海運・金融業で財をなした日下部氏、外国人による設計で明治44(1911)年に着工。 なんでも、レンガはデンマーク、石材はイタリア、内装タイルは中国からの物と伝わっており、途中あまりにも費用が嵩んで工事が中断した事もあったとか。 内部は見ていませんが、半地下と屋根裏部屋を持った4階建の建物だそうで、フクロウや燕、竹などが描かれたステンドグラスもあるようです。 比較的に地味な建物の多い岐阜県内においては、一等星ともいえる煉瓦造りの洋館ですね。  岐阜県岐阜市米屋町24  08年04月下旬

 ※おまけ こちらは同じ通りにある桂翠館。 明治末期に建てられた洋館が、カフェレストランとして再生活用されています。


時計台のあるお宅

2008-07-07 21:18:45 |  東京都


 登録文化財に指定されているこの個人邸(K氏邸)は、かつての馬込小学校の一部を移築した建物。 それも一度ならず、二度も移築しているものだといいます。 

 最初は明治18(1885)年に建てられた平屋の木造校舎が解体されるのを惜しみ、この学校の卒業生であったK氏が玄関と教場部分を自費で払い下げて住宅に転用(大正14年・1925)。 これにより馬込小学校は2階建の校舎に生まれ変わり、新たに屋根に設置された時計台は小学校のシンボルとなりました。
 
 それから数十年。 再度の校舎改築により、その小学校も取り壊される事になりましたが、K氏は前回同様、今度はこの時計台を引き取る事を申し出て自らの住宅の屋根に移設、現在の建物が出来上がりました(昭和38年・1963)。 

 明治~昭和と、親子数代に渡ってこの小学校に通った人達の思い出が投影された建物が、姿かたちを変えながらも現代まで生き残る。 時計台の針はいつからか止まったままですが、この建物は地域の人々といつまでも「今」という日常を刻み続けています。  東京都大田区南馬込  08年07月上旬  

 ※個人邸ですので、見学の際は十分な配慮を願います。
  写真が一部大きくなります。

 ※参考文献 『出会いたい 東京の名建築  歴史ある建物編』 2007

旧石田家別邸

2008-07-04 07:18:15 | 北関東3県 (茨城・栃木・群馬)






 大正15(1926)年築の和洋並立住宅。 施主は当地出身で東京で功名をとげた人物だったと云われます。 98年刊行の『近代化遺産への旅』には金島公民館として使用中と書かれていましたが、活用されている形跡は薄く、少しづつ廃墟化が進んでいる様に見えます。  群馬県渋川市金井  07年04月上旬他