エピローグ

終楽日に向かう日々を、新鮮な感動と限りない憧憬をもって綴る
四季それぞれの徒然の記。

ピラカンサス

2016年11月11日 | ポエム
字数の都合も有るけれど、ピラカンサと五文字でも良い。
滅多矢鱈に重そうなピラカンサスもあるけれど、ぼくは少し隙々の方が好きだ。
秋天に、真っ赤な実を見るのは心弾む。



心弾む赤、である。
まるで、母の愛がこの世に現出したかのように思えるのだ。



この赤い実と、葉の青さそれに空の色のコンビが素敵である。
堪らなく、心弾むのだ。

今日はこれで、三回も心弾むと云いきった。
事実だから仕方がない。







「振り返る夫の蹴出しやピラカンサ」







君は、もうこのピラカンサを詠っただろうか。
パトスは、まだ燃え尽きていないだろうか。
褐色の憤怒を、赤い憤怒に変えられただろうか。

君の着物の蹴出しは、赤だろうか。
ピラカンサは、素知らぬ風に陽射しを返し続けている。

パトスは、揺るぎなく燃え滾っている。
而して、パトスは輪廻を繰り返すのだ。

嗚呼、ピラカンサの歌を詠おう。



     荒 野人