エピローグ

終楽日に向かう日々を、新鮮な感動と限りない憧憬をもって綴る
四季それぞれの徒然の記。

赤とんぼ

2014年09月20日 | ポエム
この年、赤とんぼにキチンと出会った。
変な言い方だけれど、キチンと出会ったのである。



出会ったのは、この池。
何組かが交尾していて、池の面に産卵していた。

ぼくが出会ったのは、枝の先に止まっていた赤とんぼである。
身じろぎもしないで、枝の先に止まっている。
そこだけ、時間が止まっているようであった。







「赤とんぼ時間を止める枝の先」








二年前に詠んだ赤とんぼの句。

「赤とんぼ空の碧さは変えられず」
「山はまだ身じろぎもせず赤とんぼ」


赤とんぼに出会えて、とても嬉しかった。
ショウジョウトンボは、大分前に出会った。
だからと言っては可笑しいけれど、赤色に飢えていたわけではない。



赤とんぼと別れてから、芒の穂を見た。
風を揺らしていた。

秋の風は様々な表現がある。
ぼくの好きなのは「色無き風」である。



      荒 野人