この年、赤とんぼにキチンと出会った。
変な言い方だけれど、キチンと出会ったのである。
出会ったのは、この池。
何組かが交尾していて、池の面に産卵していた。
ぼくが出会ったのは、枝の先に止まっていた赤とんぼである。
身じろぎもしないで、枝の先に止まっている。
そこだけ、時間が止まっているようであった。
「赤とんぼ時間を止める枝の先」
二年前に詠んだ赤とんぼの句。
「赤とんぼ空の碧さは変えられず」
「山はまだ身じろぎもせず赤とんぼ」
赤とんぼに出会えて、とても嬉しかった。
ショウジョウトンボは、大分前に出会った。
だからと言っては可笑しいけれど、赤色に飢えていたわけではない。
赤とんぼと別れてから、芒の穂を見た。
風を揺らしていた。
秋の風は様々な表現がある。
ぼくの好きなのは「色無き風」である。
荒 野人
変な言い方だけれど、キチンと出会ったのである。
出会ったのは、この池。
何組かが交尾していて、池の面に産卵していた。
ぼくが出会ったのは、枝の先に止まっていた赤とんぼである。
身じろぎもしないで、枝の先に止まっている。
そこだけ、時間が止まっているようであった。
「赤とんぼ時間を止める枝の先」
二年前に詠んだ赤とんぼの句。
「赤とんぼ空の碧さは変えられず」
「山はまだ身じろぎもせず赤とんぼ」
赤とんぼに出会えて、とても嬉しかった。
ショウジョウトンボは、大分前に出会った。
だからと言っては可笑しいけれど、赤色に飢えていたわけではない。
赤とんぼと別れてから、芒の穂を見た。
風を揺らしていた。
秋の風は様々な表現がある。
ぼくの好きなのは「色無き風」である。
荒 野人