エピローグ

終楽日に向かう日々を、新鮮な感動と限りない憧憬をもって綴る
四季それぞれの徒然の記。

ポポー

2014年09月16日 | ポエム
ポポーなる果実に久しぶりに出会った。
それは、ふとした時間と場所であった。

とある農家の門の横の野菜売り場に、一袋だけ売れ残ったかのように置かれていたのである。
ぼくは、なんの躊躇いも無く買い求めた。
散策していた句友に一つずつ分けて、ぼくは二つを持ちかえって食べたのである。



この子たちである。
果実は大小不揃いになりやすいが、小さくとも完熟する。
完熟すると木から自然に落下するのだけれど、その時から数日後香りが強くなってきた頃が食べ頃と言われる。
尚時間が経過すると果皮が黒く変化する。
果肉は黄色から薄いオレンジ色でねっとりとした食感。
甘く、香りが強い。

この強い芳香のために、人によって好き嫌いが別れる。
中には多数の黒い種子がある。



これが昨夜頂いたポポーの果肉である。
誠にジューシーで美味しかった。







「海原を越え来し木の実秋深し」







ポポーの花は、まるでチョコレートコスモスの花と色合である。
春に紫色の花をつけ、秋には黄緑色の薄い外果皮を持つ果実をつける。
問題となる病害虫はほとんどなく、薬剤散布なしでも栽培できるのである。

温帯で生育する数少ないバンレイシ科の樹木。温帯果樹といっても寒さには非常に強いのだ。



句友は、この花卉を買い求めると言っている。
きっと、甘く美味しい果実を実らせるであろう。
楽しみである。

嗚呼、久しぶりの味である。
独特の味わいがあって、ぼくは大好きである。
ぼくの友で、楽器のような豊かな声で話す女性がいる。
その女性も大好きであって、本当はプレゼントしたいのだが・・・遥か遠い場所なので渡せない。

マンゴーとドリアンを、足して二で割るとこの味だ。
言い換えれば「くせのある」味であるのだ。
再び、あの台の上に並べられるのであろうか。



        荒 野人