たった5館からスタートし
全米で大ヒット!の話題作です。
「ビッグ・シック」70点★★★★
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両親の代にパキスタンから米・シカゴにやってきた
青年クメイル(クメイル・ナンジアニ)。
コメディアンを目指す彼は、今日もコメディクラブで
「パキスタンあるあるネタ」を披露している。
しかしウケはいまひとつ。
両親からは弁護士になれと言われているが
まだ諦めてはいない。
そんなある夜、クメイルは
舞台にヤジを飛ばしたエミリー(ゾーイ・カザン)と親しくなる。
波長のあった二人はすぐに付き合い始めるが
しかし、クメイルには家族のオキテがあった。
それは
「パキスタン人の花嫁しか認めない」というもの。
両親も愛しているが、エミリーも愛している……
揺れ動くクメイルのもとにある日
「エミリーが突然倒れた!」という知らせが――?!
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なんと
主人公を演じる
クメイル・ナンジアニの実話なんだそう。
なんと、というのは
「親がパキスタン人の花嫁しか認めない」までは、
まあ「ありそう」なんだけど、
その後の展開が「ええ?!」だから。
しかも相手役が
「ルビー・スパークス」のゾーイ・カザンですから。
グッドセンスの勝利!ですね。
主人公のクメイル青年は14歳でアメリカに来た、というから、
1990年ごろかなあ。
シカゴでもかなり裕福な暮らしぶりで、
毎日のように自宅にお見合いにくる女性たちも多いことから、
アメリカで暮らすパキスタン人社会が
なかなかにどっしりと、根を張っていることがわかる。
そんななか
パキスタンの風習に従って
次々とお見合いをさせられまくるクメイル青年。
しかし本人は
実際のところ、すっかりアメリカナイズされていて
白人の恋人エミリー(ゾーイ・カザン)を作ってしまう、という。
正直、
格別にうまいとも思えない脚本なんですが
親にも言い出せず、彼女にも言えず……な、主人公の宙ぶらりんさや、
今ひとつのところで噛み合わない感じをうまーく醸し出す主人公と彼女にも
なんともいえない、味がある。
エミリーがいきなり重病に?!という展開のあとの
クメイル青年の「え?え?」のオタオタ感にも共感できるし
でも、病院で思いがけず
エミリーの両親と絆が生まれるあたりから、
話がグッとおもしろくなります。
単なる“異文化ギャップ”には収まらない展開と
移民大国アメリカのリアルが
この映画のキモではないでしょうか。
★2/23(金)からTOHOシネマズ日本橋ほか全国順次公開。
「ビッグ・シック」公式サイト