ぽつお番長の映画日記

映画ライター中村千晶(ぽつお)のショートコラム

テルマ

2018-10-20 14:39:05 | た行

 

やっぱこの冒頭、衝撃的だよね。

 

「テルマ」70点★★★★

 

************************************

 

ノルウェー、オスロの大学に通うため

一人暮らしをはじめたテルマ(エイリー・ハーボー)。

 

引っ込み思案でなかなか友達はできないが

両親のもとを離れての大学生活をドキドキ満喫していた。

 

そんなある日、テルマに異変が起こる。

図書館で勉強をしていたとき

窓の外に真っ黒な鳥の群が飛び立ち、突然、発作に襲われたのだ。

 

助けてくれたのは、同級生のアンニャ(アヤ・ウィルキンス)だった。

 

大人びたアンニャと友達になったテルマは

彼女のアパートに遊びに行くようになるのだが――?

 

************************************

 

ラース・フォン・トリアー監督の甥っ子で

「母の残像」(16年)ヨアキム・トリアー監督の作品。

 

はい、たしかに、ラース・フォン・トリアーの遺伝子、ありますね。

 

まず冒頭、

凍てつく北欧の森に、狩りにきた幼い娘と父のシーン、

「一体、なに?!」とめちゃくちゃ惹きつけられるオープニング。

 

 

無垢な少女に、異常に過干渉な両親、発作、ワケありっぽい過去、

そして少女の「目覚め」――と、ドキドキ素材が満載。

 

得体のしれない「力」の存在を、

音と空気の不穏な振動で感じさせる演出、

蛇、カラス・・・・・・などの暗示の不気味さがうまく

 

ヒロインも音楽もひんやり冷たく、

美しい北欧ホラーです。

 

 

欲をいえば、「芯」がちょっと弱いというか

結局は「抑圧からの解放」というところにオチるのかなあと思うと

あと一押し、ほしかった気もするけど

意外とラストの解釈もさまざまで、あとに残る。

 

異次元に閉じ込められる、的な感覚をプールの底で表現したシーンとか

新しい映像表現にも驚かされました。

いやあ、あのシーン、ホントに残るわあ・・・・・・。

 

★10/20(土)からYEBISU GARDEN CINEMA、ヒューマントラストシネマ有楽町ほかで公開。

「テルマ」公式サイト


コメント    この記事についてブログを書く
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする
« マイ・プレシャス・リスト | トップ | search/サーチ »
最新の画像もっと見る

コメントを投稿

た行」カテゴリの最新記事