本作で引退を表明したダニエル・デイ=ルイス。
有終の美を飾れるか?!
「ファントム・スレッド」70点★★★★
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1950年代のロンドン。
唯一無二のデザインと職人技を持つ
仕立て屋のレイノルズ(ダニエル・デイ=ルイス)は
英国の上流マダムたちに大人気。
ベルギー王女もウェディングドレスを依頼するほどだが
しかし本人は神経質で、かなりの変わり者。
彼を理解し、常にそばにいるのは姉シリル(レスリー・マンヴィル)だった。
ある日、彼は田舎のレストランに立ち寄り
そこでウェイトレスのアルマ(ヴィッキー・クリープス)と出会う。
背が高く、ちょっとぼんやりした彼女をみて
何かをひらめいたレイノルズは
アルマを食事に誘い、「採寸してもいいか?」と聞く。
姉シリルもアルマを「理想の身体ね」と認め、
そしてアルマはレイノルズの新たなミューズになるのだが――。
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俳優業からの引退を表明したダニエル・デイ=ルイスが
「ゼア・ウィル・ビー・ブラッド」の
ポール・トーマス・アンダーソン監督と再びタッグを組み、
有終の美を飾るか――?という作品。
ええ、飾ったと思います。
自分自身が、まさに1本の尖った針先のようになり
ドレスと美を求道する人物を完璧に演じている。
だけど
話はちょっと想像と違ってた。
正直な感想は「何つう毒婦じゃ!」(笑)。
まあストーリーの始まりは
地位も名声もあるデザイナーと、おぼこいけれど、個性的なプロポーションで
彼に見初められるミューズという。割とある感じ。
ただ、この映画では
見い出され→飽きられ→捨てられて→オチがつく
デザイナーや芸術家とミューズのよくある関係に
「支配権の逆転」という意外な展開が起こる。
これがなかなかおもしろい。
圧倒的な支配権を持っていた男が
あれ?あれ?という感じで、小娘に影響され、均衡を崩していくわけですね。
“おぼこ娘にしてミューズ”を演じるヴィッキー・クリープスの
顎のしっかりした素朴な顔立ちには
どこか土臭い“母性”があって
それがこのじんわり恐ろしい展開に
説得力を持たせている。
「弱ってるくらいの、あなたがいい」って言うアルマの気持ち
意外と「わかる」と思う人、いるかもね(笑)
★5/26(土)からシネスイッチ銀座、YEBISU GARDEN CINEMA、新宿武蔵野館ほか、全国で公開。
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