布施弁天界隈の自然と歴史情報

関東三弁天の一つである柏市布施弁天界隈の城跡、神社、仏閣等の歴史的遺産の紹介とあけぼの山近辺の花情報の提供

野田市長選挙の結果と今後のコウノトリの野生復帰への道

2016-06-14 | その他

4人が立候補した6期24年を務めた根本崇市長の後任には、投票の結果、後継者と言われる鈴木有氏が当選したので、コウノトリの野生復帰の動きに筋道をつけてきた根本市長の政策は、これまで通り、維持・推進されていくもようではないでしょうか。

ということは、具体的には、野田市が平成27年3月に刊行した野田市 コウノトリ生息域内保全実施計画【試験放鳥編】に基づき、粛々とコウノトリの野生復帰への道を推進していくということですよね。

同実施計画書の3ページに記載されている短期目標は、おおよそ5年の期間となっている。そこでは、目指すのは、下記のようになっている。(もちろん、中期・長期目標もありますが。)

・野田市の飼育繁殖施設から巣立った幼鳥や、他施設から譲り受けた個体の計画的な飼

 育・繁殖・放鳥を進める。

・野外でのペアリング(他地域からの飛来個体とのペアリングを含む)を通じ、江川地区

 に1ペア以上の定着と野外での繁殖成功(幼鳥の巣立ち)を目指す。

・コウノトリの飼育・放鳥をきっかけとして、市域における環境保全型農業や環境教育・

 学習への気運への高まり、自然と共生する地域づくりへの関心・理解の深まりを活か

し、野生復帰に係わる人づくり・連帯協働による推進を図る。

これを読むと、あと何年間の間に何をなしていくかが、明確にわかる。コウノトリの野生復帰の道筋がよくわかる。問題はそれが確実に実行され、結実していくかである。

しかし、それには、大きな不安がある。

野田のコウノトリの里を、単純に比較してはいけないのだろうが、兵庫県立コウノトリの郷公園との規模の比較をしてみると、あまりにも大きな隔たりがありすぎる。

もちろん、組織とかの問題は別においておき、コウノトリの里の敷地面積だけに絞ってもだ。つまり、餌を含めた生息環境の確保が施設との関係において、どのようにできているだろうかという問題です。

兵庫県の敷地面積が600ヘクタール以上(公開・非公開ゾーンを含め)あるのに対して、江川地区の面積は20ヘクタールちょっと。これだけで、もう、思考停状態になってしまう。

でも、野田の考え方としては、黒酢米地区の関宿地区、船形地区、目吹地区、木野崎地区、小山地区、木間ケ瀬地区の6地区を入れれば、約500ヘクタールとなるから、なんとかなるというような考え方のようです。

確かに、江川地区だけでは成り立たないでしょうね。さらには、野田市では、野田市一市だけではなく、近隣市は言うに及ばず、関東一円をも視野に入れているようです。

要は、この一つにまとまっていない地域と、さらには市域を越えた考え方とで、これで短期目標としての1ペア以上のコウノトリの定着できる環境かということです。定着生息ができる環境が整うとみるかどうかですね。

コウノトリが繁殖できる年齢は、4歳ぐらいからというらしいので、まだ、昨年と今年にソフトリリースしたコウノトリには、まだ時間的余裕がある。その間にどうするかによって、この野田周辺の地域に住み着くようになるかどうかということですね。

今回、6月にソフトリリースされた弟のひかるは、巣立って間もないリリースだったので、まだ、この施設を離れられず、施設を出たり入ったりしている。もう1羽のきずなも、今のところ、流山や、埼玉の吉川・三郷という近辺をウロウロしている。

でも、昨年リリースした2羽のコウノトリは、遠くに飛ぶ力が備わった月での放鳥だったので、育った環境を完全に覚えきらないうちに、遠くに行ってしまったようだ。だから、何年後かには、繁殖のため野田にもどってくることを期待できないかも。

その意味で、遠く行く力が備わらないうちに今年、リリースした、きずなとひかるは、その可能性はあるのでしょうね。この可能性を信じなければ・・・ね。

この辺の不安を感じながらも、人間と自然の共生を目指すこの取り組みを、私は、応援したいと思います。人間の効率化を求めての農薬の使い過ぎ、住宅を提供するとしての森林等を破壊、こうした現在の状態に歯止めがかかり、人と自然との共生が成り立つとすれば、こんな素晴らしいことはない。まさに、共生を取り戻すためには、人が自らに、進歩への呪縛観念を取り払って、限りない欲望への節制を課していくことが、大事なんでしょうね。

なお、写真は野田の飼育施設の天井から飛び出て、近くの電柱の上であたりを見回しているひかるです。このあと、また、飼育施設に戻っています。

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