プロメテウスの政治経済コラム

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沖縄県知事選   構造的な「沖縄差別」撤廃への第一歩を実現しよう!

2010-10-22 20:53:26 | 政治経済

日米両政府が米海兵隊普天間基地の名護市辺野古「移設」を県民の頭越しで決定し、押し付ける構えを強めるなか、沖縄県の知事選が間近に迫ってきた(11月11日告示、28日投票)。沖縄では、1995年以来、県民の総意は、基地の過重負担の解決、危険な普天間基地の無条件撤去ということで一貫している。沖縄県民の総意と日米政府との対決が続いているにもかかわらず、事態が膠着してきたのは、沖縄県政が優柔不断な立場を続けてきたからである。そこが日米両政府のつけ入る隙になっている。日米両政府は、県政と手を組んで「県内移設」を実現することを一貫して狙ってきた。今度の知事選挙は、この県政の隙を埋め、断固としてノーだという県民の総意を示す意義深い選挙である。基地受け入れの隙、余地はないということを示すことは、構造的な「沖縄差別」撤廃への第一歩であり、全国民が日米関係のありようを考える契機となるだろう

 

10月21日、3人の米兵による許し難い少女乱暴事件に抗議し、8万5千人が結集した1995年の沖縄「県民総決起大会」から満15年を迎えた。しかし、島ぐるみの基地整理縮小などの要求はほとんど前進せず、県民の負担は温存されたままである。戦後50年の節目に起きたこの忌わしい事件を機に噴き出した基地過重負担に対する怒りは今、普天間飛行場の県内移設を拒否する民意と重なって息づいている。沖縄社会の基地負担への忍耐の限度はまさに爆発寸前である琉球新報20101021 )。

普天間基地の早期閉鎖・返還要求と、辺野古に新基地を建設する「県内移設」反対の声は今年に入っても強まるばかりである。1月の名護市長選挙での稲嶺進氏の勝利、4月の9万人が集まった県民大会、9月の名護市議選での新基地建設反対派の圧勝、県議会の「県内移設反対」決議と「日米合意見直し要求」決議に続き、10月には名護市議会が「日米合意撤回要求」を決議した。

 

知事選挙は、日本共産党、社民党、社大党が擁立する前宜野湾市長のイハ(伊波)洋一候補と、仲井真弘多現知事の事実上の一騎打ちとなりそうである。

仲井真知事は、これまで「県内移設」もやむを得ないと考えていた。県民の手前、辺野古にV字形滑走路を建設する日米合意案について、騒音軽減を理由に沖合へずらすことなどで「抵抗」のポーズをとったが、普天間の危険性除去を優先し、辺野古移設もやむを得ない、というスタンスだった。長年の問題に一定の解決策を見いだし、経済振興に精力を注ぎたい、というのが本音のようだった。ところが、何度も表明される「県内移設」反対の民意がしだいに強固になるのに押されて、最近では「政府に県外移設を求める」と口にしだした。県民のたたかいが引き返せないところまで高揚しているいま、知事選を通じて、県民総意にもとづいて実際に行動する沖縄県政を築くことが重要となっている。

 

琉球新報社は20日、知事選への立候補を表明した現職の仲井真弘多氏=自民、公明推薦=と前宜野湾市長の伊波洋一氏=共産、社民、社大推薦=の2氏を本社に招き、基本政策をめぐり対論する機会を設けた。米軍普天間飛行場の辺野古移設を決めた日米合意に反対の立場で一致しているが、仲井真氏が辺野古に戻った理由や解決策の説明を日本政府に求めるのに対し、伊波氏は海兵隊のグアムへの完全移転に向けて米国とも直接折衝する対応を掲げ、返還実現に向けた方法論に違いが出た。自衛隊先島配備、行財政改革の在り方をめぐっても対立構図が鮮明となった(琉球新報20101021日)

 

普天間移設問題で、仲井真氏は「政府が県民に説明し、納得させる義務がある。政府の説明がまだないから、私としては県外移設しかない」と自己の立場を説明。その上で、伊波氏に「一日も早い危険性除去という観点から、自公時代の辺野古移設が早い方法だったのではないか」と迫り、おもわず本音を口にした。これに対し、伊波氏は「海兵隊の拠点がグアムにいく流れを隠してまで、新たに辺野古に基地を造ろうとした今までの日米政府を問うべきだ」と主張。その上で「米国との折衝は国の専権事項という姿勢で、県に自らの主張や行動がないことが、問題解決を大きく後退させている」と稲嶺県政以降の基地政策を批判し、県民の立場で実際に行動する県政をめざすことを鮮明にした(琉球新報 同上)

 

今度の沖縄知事選挙は、沖縄県民にとって天王山の選挙であるとともに、日本の国の進路をめぐって、米国いいなりで普天間基地ひとつ解決できない日本政府はこのままでいいのか、改めて新しい日米関係を国民全体が問うていくきっかけになる国民的意義をもった選挙である。「沖縄秋の陣」が間もなく始まる


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