プロメテウスの政治経済コラム

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11月、オバマ訪日と沖縄知事選挙   米日支配層の思惑通りにはさせない結果を!

2010-10-14 20:51:01 | 政治経済

日米支配層にとって、鳩山政権は気に食わなかった。(1)東アジア共同体構想を掲げたこと(→アメリカ外しにつながる)(2)普天間問題を顕在化させたこと(→沖縄の怒りに火をつけた)(3)閣外に第二政府をおいたこと(→小沢一郎の影響力=選挙戦略から支配層に楯突く力をもつ)(4)反官僚姿勢を貫こうとしたこと(→官僚は支配層の利害の調整に長けている)などである。そこで、米日支配層は鳩山・小沢をクビにし、菅直人を政権に就けた。特に、昨年10月になんとか最初の環境影響評価を終わらせ、仲井真弘多沖縄知事や関係閣僚を抱き込んで普天間「移設」(辺野古新基地建設)計画を推進しようとしていた矢先に、鳩山政権が県外移設を約束してパンドラの箱を開けてしまったことは許せなかった。その属国統治の手下となっている官僚制度にも、切り込んでこようとしてきたことについても不満だった。アメリカCIAは有力政治家のスキャンダルを徹底調査していて、何かあれば、それを手下である日本のマスコミにタレ流れして、その政治家をつぶすことなど朝飯前である。11月の沖縄知事選挙でも何が起こるかわからない。選挙戦の最中にAPEC首脳会議出席のためにオバマ大統領が訪日の予定である

鳩山・小沢に代わって菅直人が民主党の代表に選出されて間もなく、ジャパンハンドラーとして有名なマイケル・グリーン(米戦略国際問題研究所上級顧問・日本部長)が日本經濟新聞に投稿し、鳩山・小沢に代えて菅を据えたいきさつを赤裸々に語っている(「日本の現実路線に期待感」2010720日)。

マイケル・グリーンによれば、日米同盟の歴史を振り返ると、危機や漂流の後に再確認と再活性化を繰り返してきた、という。最も新しいところでは、1995年に沖縄で米兵による少女暴行事件が起き、冷戦後の日米同盟のあり方に強い疑義が提起された。その直前の94年に、社会党の村山富市首相の下で同盟は漂流し始めた。ビル・クリントン大統領は、日米同盟を再確認する共同宣言を発表しようとしたが、村山首相が平和主義的信念を損ないかねない表現を一切受け付けなかったため、結局、訪日したのは、96年の橋本龍太郎首相のときで、日米防衛協力のための指針(ガイドライン)の見直しを実現した。これは中国の動きをけん制するとともに、中国政府に安全保障へのより慎重な取り組みを促す役割を果たした(「日經」同上)。

 

マイケル・グリーンは、このような歴史は今回も繰り返すだろうか、と問いかける。そして、鳩山政権下で日米同盟は迷走と不透明な状況が続いたが、菅政権になって11月の大統領訪日の際には日米安保改定50周年を祝い、両国の安全保障協力に向けたビジョンの確立が期待できそうだ、という。マイケル・グリーンによれば、菅首相は就任後すぐに日米同盟が日本外交の基軸であることを再確認し、普天間問題については日米共同声明を踏襲すると確約した。また小沢氏を遠ざけ、官邸の陣容も強化した。こうした菅首相の動きは、まことに心強い。そして、次の三点をこれからの日本に要求する。①米国防総省のQDR(国防計画見直し)で言及された「空と海の戦い」に合わせ、シーレーン(海上交通路)の通航確保と防衛のために戦略的に協調すること②現在活用されていない能力を活かすために、集団的自衛権の行使禁止や武器輸出三原則といった制約を緩和すること③日米両国は経済連携協定(EPA)をめざして対話を始めること。

周知のように、悪徳ペンタゴン(=元・早稲田大教授・植草一秀氏の造語で、日本に蠢く一部の政治家、官僚、マスコミ人、財界人を指し、日本国民の利益より、米日支配層の利益を優先する、あるいは優先させられる買弁的日本人、および米国ジャパンハンドラーを指す)は、マイケル・グリーンの要求する方向ですでに動き始めているこの動きに待ったをかける絶好の機会が11月11日告示、28日投票の沖縄知事選挙である。沖縄県知事選には、今のところ仲井真現知事と伊波(いは)洋一・宜野湾市長が立候補を表明している。沖縄県知事選挙ではこれまで稲嶺恵一前知事、仲井真現知事と二代続けて経済界から立候補者が出て当選している。自公連立政権のもとで辺野古新基地建設を実現するため、政府と沖縄の自民党・公明党、経済界が一体となり、政府との「太いパイプ」を強調して振興策を前面に出し、当選させていくという構図である。そこには、新基地建設と振興策をリンクさせた「アメとムチ」の手法を最大限活用するという思惑があった。菅政権が自公政権下で進められていた計画に回帰したことで、仲井真知事のホンネと菅政権のホンネは一致しているはずであり、「微修正」して手を打ちたいところだろう。しかし、県民世論がそれを許さない。今度の沖縄知事選は、沖縄そして日本の歴史を大きく変えられるかが問われる選挙だ。伊波(いは)さんは普天間基地や海兵隊の存在は許されないと訴え、運動の先頭に立ってきた。米日支配層の思惑通りにはさせない結果を勝ち取ろうではないか


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