プロメテウスの政治経済コラム

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中国、首脳会談を拒否  なぜ、日本外交はアジア諸国からバカにされるのか

2010-10-30 18:00:58 | 政治経済

中国が29日、ハノイでの日中首脳会談を拒否した。中国の胡正躍外務次官補が香港メディアなどを呼び、首脳会談の取りやめを公表、国営新華社通信がこれを伝えた。日本側が同夜に会談が行われると発表した直後の突然の発言だった。日本の外務省もナメられたものである。なぜ、日本外交はアジア諸国からバカにされるのか。

冷戦終了後、アジア諸国のなかで未だに米国にすがり、自分の頭で考えない国は、日本と日本より少しましな韓国ぐらいである。広島、長崎に原爆を落とされて、それでもヘラヘラと米国に従属する日本をアジアの人々は、誰も一人前とは思わない。

 

東南アジア諸国連合(ASEAN)関連会議に出席するためベトナムを訪問中の菅直人首相と中国の温家宝(ウェン・チアパオ)首相による日中首脳会談が29日、中国側の拒否で見送られることが決まった(30日、東アジアサミットの控え室で顔を合わせた両人は10分間ほど言葉を交わしたとのことだが)。菅首相に同行した福山哲郎官房副長官は同日夜、ハノイ市で記者団に「午後6時半(日本時間同8時半)から日中首脳会談がセットされていたが、直前になって中国側から『会談はできない』との連絡があり、日本政府としては非常に驚いた」と説明。さらに、「中国側の真意を測りかねているが、いずれにせよ冷静な対応が必要であり、戦略的互恵関係を推進する立場は変わらない」と語った、という(「朝日」20101030日)。

 

中国側のドタキャンの理由は、はっきりしない。中国国営新華社通信によると、中国の胡正躍外務次官補は同日夜、「日本側が首脳会談の雰囲気を壊した。責任は日本側が完全に負うべきだ」と批判。さらに、「一連のASEAN首脳会議の前夜に日本の外交責任者が他の国とぐるになり、釣魚島(尖閣諸島の中国名)問題を蒸し返した。日本側は首脳会議中もメディアを通じ、中国の主権や領土保全を侵す言論をまき散らした」と語った、という(「朝日」同上)。

日本の外交責任者が他の国とぐるになり、尖閣諸島問題を蒸し返したというのは、27日のクリントン―前原ハワイ会談を指してのことだろう。蓮舫議員や枝野議員が先頭になり、事業仕分けで日本人同士が罵り合っているとき、それをあざ笑うかのようにクリントン米国務長官は前原外務大臣をハワイに呼びつけ、前原大臣に「思いやり予算だけは減らしません」という約束をさせたのだった。そして前原大臣は、「尖閣諸島は日米安全保障条約の範囲内」というクリントン長官のリップサービスをまたまた得意げにまき散らしたのだ

 

外務省アジア局長、駐中国大使などを歴任した中江要介さんは、「しんぶん赤旗」日曜版(20101031日号)で、次のように語っている。

戦後の日本外交は「西側の一員」「国連中心主義」「アジアの一員」を3本柱にしてきたが、実際はアジア外交でも国連外交でも、「西側の一員」が突出して、常にアメリカの動向をうかがいながらの外交だったように思う。アジアには、古くからインドネシアのスカルノ大統領、インドのガンジー首相らがすすめた「非同盟」の運動があり、国際社会で大きな役割を果たしているのに、日本は重視しなかった。日本が重視してきたのは、アメリカ、イギリスなど欧米の大国ばかりで、日本はアジアの国々の主権を尊重し、対等につきあっていく気持ちが薄かった。

 

南沙諸島などの領有権を巡って中国と主張が対立しているベトナムの国防次官のグエンチービンさんは、「しんぶん赤旗」のインタビューに答えて次のように言う(「しんぶん赤旗」2010101日)。

ベトナムは「中国に対抗するために対米接近」などの報道があるが、という問いに対して、「自主独立と自らの力に依拠して安全保障を図るのがベトナムの全般的国防政策です。そのため、ベトナムは軍事同盟に参加せず、外国に軍事基地を置かせることも、領土使用もさせません。ある国に対抗するために別の国に近づくというようなことはしません。これがベトナムの原則的な立場です。」

ベトナムの原則的立場、これが、アジアの人々が考える一人前の国なのである。自分の頭で考えるアジア外交のない日本は、アジア諸国からバカにされるだけである。


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1 コメント

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Unknown (とりごん)
2010-10-31 23:15:59
イエローモンキーが名誉白人扱いされてはしゃいでいる現状を改めないといけないですね。
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