プロメテウスの政治経済コラム

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菅・民主党企業献金再開  2種類の政権交代  民主党の自民党化を象徴

2010-10-29 22:15:50 | 政治経済

政権交代には2種類がある。政策の根本的転換を伴う真正の政権交代(Change of power)と今一つはただの与党変更(Change of government)である。

日本の民主党政権への変動は、当初、国民の運動と期待を強く意識した鳩山、小沢氏によって従来の自公政権にない変化が期待されたが、財界、アメリカ、大手マスコミの両氏に対する政治資金スキャンダル、財源問題攻撃、日米同盟不安定化批判による巻き返しによって動揺の末に両者とも辞任に追い込まれた。そして、いまや菅反動政権によって真正の政権交代(Change of power)への道は完全に断たれてしまったようだ。ここで国民の側からの攻勢的な巻き返しがない限り、日本の民主党政権への変動は、単なる与党の変更(Change of government)ということになってしまうだろう

 

菅・民主党は昨年9月の政権交代以降、自粛していた企業・団体献金の受け入れを近く再開する。民主党は、2009年の総選挙マニフェストで、企業・団体献金の全面禁止を掲げ、「当面の措置」として、「国や自治体と1件1億円以上の契約関係にある企業等の政治献金・パーティー券購入を禁止」としていた。鳩山政権が崩壊して菅政権となって、2010年菅マニフェストは、09年鳩山マニフェストを打ち捨てた。鳩山マニフェストに曲りなりにあった構造改革批判と福祉充実のマニフェストはほとんど消え去った。「日米同盟の対等化」は「日米同盟の深化」に変わった。それでも、企業・団体献金の公約は、参院選マニフェストでも、そのまま踏襲していた。

今回、それも投げ捨てたのだ。菅・民主党の自民党化を象徴的に示すものである。

 

菅政権は、国民の運動と期待で、鳩山政権がはみ出そうとした政治を何としても構造改革と日米同盟の政治に引き戻す「反動」政権として登場した。菅首相が参院選で大敗しながら強気に居直って小沢氏と代表選を争ったのは、菅氏の後ろに国民がいるからではなく、財界とアメリカがいたからであった

菅首相の「徹底したクリーンな政治」という言明は、いまや鳩山、小沢氏を引き摺り下ろすための虚言だったということだ。企業献金を受け取るかどうかは、「政党の顔が国民に向いているのか、財界に向いているのかをはかる最大の試金石」であり、「菅・民主党の今回の態度は、財界中心の軍門に下るという点で、同党の自民党化を象徴的に示したものだ」(共産党・志位委員長)。

菅首相は、国民からどんなに批判を浴びようとも、財界、アメリカ、大手マスコミの支援がある限り、政権を維持できると判断しているのだろう。

 

菅首相がなぜ、強気でいられるのか。支配層の支援があることが主要要因であるが、それだけではない。国民の側にも菅氏を強気にさせる理由がある。

7月の参議院選挙で民主党は大きく票を減らしたが、自民党も得票を減らした。両方合わせると55・6%で、昨年総選挙の69・1%よりも大幅に減らした。ここ10年間、自民党が負けたときには民主党が票をのばし、保守二大政党の投票は、常に70%を確保しながら交互に入れ替わっていた(渡辺治・一橋大名誉教授はこのことを国民の70%は保守二大政党のお風呂に入ってなかなか出ないと常々指摘しておられた)ことから比べると保守二大政党の地盤沈下は明らかである。ところが、新しい人たちはどこにいったのか。共産、社民の新しいお風呂に入ったかというと入っていない。保守二大政党のとなりに、ちょこっとできた「新党」というお風呂に入ってしまったのだ。その結果、保守全体の得票率でみると、去年の総選挙で75・89%であった得票率は、今年の参院選でも新党改革、たちあがれ日本、日本創新党、みんなの党をあわせると75・89%と寸分違わない。基本的には日本国民の8割近くの人々の新しい政治の探求は依然保守にとどまっているのだ。

ズル菅が翼賛国会を見据えたうえで、強気になっていることは明らかだ


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