とりあえず一所懸命

鉄道の旅や季節の花、古い街並みなどを紹介するブログに変更しました。今までの映画や障害児教育にも触れられたらと思います。

小説「ノルウェイの森」

2010-12-20 22:12:04 | 日記

映画「ノルウェイの森」が気になっています。

なかなか観に行く時間がなくてそのままになっています。

12月18日・19日と東京に行くことがあったので、もう一度原作を読み直そうと数日前に文庫本を買っていました。
でも、読み初めて気づきました。

私は「ノルウェイの森」を呼んでいなかったのです。

村上春樹の小説はほとんど読んでいたので、すっかり読んだ気になっていました。


ドイツの空港に着陸するところから始まるこの小説は、読者を一気に引き込んでいきます。

春樹ワールドというよりは、私の中に深く入っていくような気がしました。


この小説は、読者の年齢層によって受け取り方が違うのだろうなという気がしました。

主人公と同年齢で読むと苦しくて仕方ない感じになるかもしれません。
50代半ばで読むと、自分の過ごしてきたある時代の空気感というもの

がすーっと入り込んでくるのがわかります。


一人旅(会議のための)で読むことが一段と思いを強くするのかもしれません。

私は、浪人時代を東京でアルバイトしながら過ごし、大学時代を名古屋でやっぱりアルバイトしながら過ごしたことがあるので、

名古屋の駅に着いた時は、なんというでもない説明できない奇妙な感覚に陥りました。


新幹線から観る名古屋の風景は、開発が進んで、私が過ごしてきた名古屋とは全く違う風景になっているのにも関わらずです。

誰のことを思い出しているのか、特定するわけでもないのですが、何か奇妙な感覚なのです。

それは、東京に着いてからも続いていました。

今回は会議が大森駅の近くだったので、終点東京ではなく品川で降りました。


駅を闊歩する洗練された東京人たちを見ていると、異邦人の感覚がします。

東京に住んでいた時に、寂しさから喧噪の中に身を置こうと考えて、新宿に繰り出したことがあります。

そこには、確かにたくさんの人が歩いていて、それぞれ、楽しそうに笑顔で語り合っていて、

その人たちに一人も知り合いがいないことになおさら孤独を感じたことがありました。
たまらなくなって入った喫茶店でも、店のピンクの公衆電話で笑顔で話している人を見て、

自分には電話をかける相手もいないことにたまらない寂しさを感じていました。

その頃の私には、京都の大学に通っている女友だちに手紙のやりとりをすることくらいしか、なかったのです。

今の携帯やメールの文化と違い、距離と時間のズレが微妙な関係を維持していたように思います。


「ノルウェイの森」の中でも、手紙のやりとりのシーンがあってよけいいろんな空気感を呼び戻したのかもしれません。

ちょうどその頃に、社会に対する疑問や不満、家制度そのものに対する嫌悪感など自分を取り巻く環境に対していろんな思いがあふれて、

自分のアイデンティティーに関する疑問もあったように思います。

いつもなら、さっと読んでしまう文庫本上下ですが、今回は大切に読んでいきました。

そんなこんなが一気にあふれてきた旅になりました。

いやな思いというより、あらたな経験をさせてくれた一冊になったように思います。

 

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