とりあえず一所懸命

鉄道の旅や季節の花、古い街並みなどを紹介するブログに変更しました。今までの映画や障害児教育にも触れられたらと思います。

一緒にいること

2006-07-01 00:00:40 | 障害児教育
 クラスのわかめちゃんについて報告します。わかめちゃんは6年生です。わかめちゃんは「わかっているんだけど、自信がないのでなかなか言えない」ことが多い子です。そんな時に「わかってるだけにつらいよね」のトーンで語られることが多い子です。

 いくつか、あげてみます。「やりたい人?」にも3番目か、4番目くらいに手が挙がったり、わかっているときにも「何て言うんだったっけ?」と、なかなか思ったことが言えない場面もありました。わかっているんだけど、「間違えたらどうしよう?」と思ったり、マッチングの世界に生きているので間違えることを極端にいやがるのかもしれません。

 給食で席についても、なかなか食べ始めません。みんなが食べているのをじっと見ていて、おもむろに食べ始めることもよくありました。食べなければいけないことはわかっているけど、「食べなさい!」の一言を待っているのです。スタートするという切り替えが苦手な子どもなのです。

 朝の会で“昨日のお話コーナー”では、夕食のおかずは、1年中「きゅうりとトマトとたくあんと汁」でした。考えるというよりこれを言ったらこの場から逃げられるというような回答振りでした。一つのパターンにはまるとなかなかそこから抜けられない面が見られました。学校で先生に会うと“この先生とはこんな会話をする”とか、この人とはこのパターンの切り口で話をするということを最初から決めているような子です。

 もう一つ、給食の片付けですが、几帳面と言えばそうなのですが、食器を一つずつ片付けていました。牛乳を片付けて、元の位置に戻って、茶碗を下げて、また元の位置に戻ってお皿を持っていくというように、一つずつしかできませんでした。二つ以上すると混乱してしまうというような感じでした。

 それが、最近このような問題がいっぺんに解消し始めています。それとともに自信に満ちた発言も目立ってきました。

 まず、登校後の朝の活動ですが、カバンを置いたり、連絡帳を出したり、タオルを出したり確実にできるようになっています。ほとんど、口をはさむ必要はありません。

 一人でできるようになったことなのですが、よく観察するとレオくんのサポートがあるのです。レオくんと“ご一緒”にいろんなことをしてあげることを通して、できたことだと思います。「レオくんにしてあげないといけない」というお姉さんぶりが自らの自立を生み出したのだと思います。してもらうばかりではなく、相手を思ってやることで自分をも引き上げてきたんだと思います。

 子どもたちには多様な集団が必要であるということは、昔から言われて久しいところですが、教え導いてもらえる集団、競い合える集団、自分がお世話できる集団まさにこういった集団の中で、子どもたちは成長しているのだと思います。わかめちゃんの場合、指示待ちの傾向が強かったのですが、レオくんに何かをしてあげようと思う気持ち(ちょっと自分が優位に立っている)が、彼女を支えているのだと思います。でも、本当はレオくんぬきでは何にもできないのが現実なのですが…。

 給食では、「ここに座って!」とか、「イスを持ってきて!」とか一切言いません。先にみんなで食べ始めています。すると、「イスを持ってこようっと!」と独り言を言いながらちゃんと食べ始めます。わかっているのに、指示が出ないと行動できない典型だったのですが、これについてもだんだん自分から切り開いてきています。食べるのは人一倍早いのでスタートが遅れても全く問題ないのです。

 子どもたちは給食では、茶碗を持たないで顔や口を近づけていく犬食べが多いのですが、きつい言い方ではなくて、ギャグを交えながら何度も注意していたら、子どもたち同士で注意し始めました。自分は持たなくても「ロンくん持ってないでしょ!」と口調までそっくりに注意していて、なかなか面白いものです。

 一つには、“喫茶店ごっこ”でエプロンをして、お客さんに水を出したり、コーヒーを運んだりしたことがすごい自信になっていると思います。一度だけ、友だちの車いすにつまづいて、コーヒーをこぼしそうになってちょっとだけ不安定になったこともあったのですが、コーヒーの器に水を運んだりして、また自信を取り戻してきました。人のために役立っているという思いが、自己肯定感につながってそのかま間違いを恐れなくなっているのかもしれません。

 お盆で水やジュースを運べる自信は給食の時にもつながっていきます。「わかめちゃん、お盆のまま片付けてみようか?」と問いかけるとすぐに、「お盆のまま片付けてみようか!」と立ち上がりました。上手にバランスを取って一度に運ぶことができるようになりました。今までまったくできなかったことが嘘みたいです。

 何度も往復していたころは、そのつどいろんなものに気が散ってしまい、そこで立ち止まってしまい、なかなか後片付けができなかったのですが、今ではすぐに歯磨きに取りかかることができて、レオくんとゆっくり昼休みを楽しむことができています。

 経管栄養の指導から香川先生が帰った頃には、また給食を食べる教室に戻ってきます。香川先生と一緒にみんなの食べた食器を片付けにかかります。

 そこにあるのは、やらされる姿ではなく、自らが“役に立っている自分”を意識して頑張っている姿が見られます。香川先生は、昼休みに“坊主めくり”を一緒にやってもらえる津唯一の相手です。少しでも早く香川先生に帰ってほしいからでもあるのかな?とも思えます。

 ロンくんとコロちゃんは昼休みサッカーゲームに夢中で、遊ぶ友だちがいなくなっているので香川先生が頼りです。

 それにしても、いろんなことを教えてくれるクラスです。話題がつきません。



コメント (1)
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