季節はずれのインテルメッツォ(続)

音楽、文学、絵画、スポーツ、シェパード等々についての雑記帖。

むかしむかし

2014年01月02日 | 
ドイツで最初に下宿した家を紹介したが、今度は最後に長く住んだ家を。

写真の左手の家の2階部分が我々の住居である。出窓は手前のが見えにくいけれど2つあり、そのまた手前にもう一つ窓がある。
つまりこの道に面して4部屋ある。角を曲がったところにもう一部屋、計5部屋ある。

2人暮らしに5部屋は多すぎ、1部屋はジグソーパズルを広げっぱなしだった。何千ピースだったか、とにかく最大のを買い、時々完成すべく試みて、結局帰国するまで完成しなかった。最大のを買ったのが失敗であった。「舌切り雀」の教えに従うべきであった。以来ジグソーパズルとは縁がない。

さて僕が外出するとき、手前に隠れた玄関から道路を渡る。するとたまが一番手前の窓に前脚をかけて必死に僕の姿を追う。

僕が交差点方向に歩くと次の窓に全力疾走してまた前脚をかける。つまりいったん部屋から廊下へ戻り、隣の部屋の窓に跳びつく。そのようにして順ぐりに4つの窓から覗いて姿が消えるまで見送るのである。

こんなに見送る姿は人間ではあり得ない。動物、それも犬でなければ見られない姿だ。胸が熱くなる。

では人間にして貰いたいか、といえば誰しも御免被ると答えるだろうね。想像してごらんなさい。あなたが出掛ける時に部屋から部屋へ移動しながら見送られたらどんな気持ちかを。

と書いているだけでも背筋が寒くなる。何故だろう?このような深遠な疑問は放っておくしかあるまい。

最初の下宿はドイツの田園調布と書いた。ここはさだめし、と書いてはたと困った。日本でいうとどこの名前を出したら良いだろう?

この町のこの地点は、中心部からやや外れるとはいえ、道路は国道の分岐点で交通の要所だ。

一番賑やかな歩行者天国のはずれでもある。でも日本の地方都市よりずっと田舎くさい。それなのにずっとスマートでもある。

日本の何とかに例えて言えない、ハッキリとしたキャラクターを持っているということだろうか。

あるいはお屋敷街や下町のようなハッキリとしたキャラクターが無いためにキャラクターが日本と違うのが目立つという方が正確か。

天才や悪人や大金持ちのような極端な世界はまぁ世界共通とも言えるが、我々普通人だと生活様式や生活感情がずいぶん違うというのと似ているのかもしれない。

この家は正面からの写真もネットで見つかる。そのうちにそれも紹介します。

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