パラドクスの小匣

南原四郎、こと潮田文のブログです。

素数蝉の謎

2007-06-18 22:38:02 | Weblog
 「蝉」は、周知のとおり、一生のほとんどを地中で幼虫として過ごし、地上に「大人」の蝉としてあらわれると交尾をしたらすぐ、2週間ほどで死んでしまう。
 その幼虫の期間だが、日本では大体6、7年だが、アメリカの蝉は、13年と17年と決まっている。
 というのは、アメリカでは、氷河期にほとんどの蝉が絶滅し、13年蝉と17年蝉だけが生き残り、13年と17年ごとに七〇億匹に達する大量の蝉が、ある限られた地域で大発生するので、大変なことになる。
 で、今年が17年蝉の発生期にあたるのだそうだが、問題は、何故、13年と17年なのかということで、これの答が、13と17がともに「素数」であることにあるらしい。

 では、素数とは何かというと、1と自分自身の数でしか割ることの出来ない数字のこと。
 まず、1。1は1と自分自身、すなわち1でしか割ることができない。だから素数である。
 2も素数だ。1と2でしか割れないから。3も3と1でしか割ることが出来ないから素数だが、4は1と4以外に、2で割れるから素数ではない。しかし、5は1と5でしか割れないから素数、次の6は1と6以外に、2と3で割れるから素数ではない。……
 ここで蝉の話に戻ると、アメリカ大陸の蝉は、そもそも12年間から18年間を地中で幼虫として過ごす蝉がいたのだそうだ。それが、厳しい氷河期に13年と17年の2種類に絞られたのだが、何故かというと、例えば、12年蝉と15年蝉がいたとすると、この2種の蝉は、12と15の最小公倍数、すなわち60年ごとに発生が重なってしまう。ただでさえ氷河期で生存に厳しいのに、大量に発生してしまうとさらに厳しくなる。また、12年蝉と15年蝉が出会って交尾してしまうケースも無数に出てくるが、その結果、遺伝子がごちゃごちゃになって、純粋な12年蝉、15年蝉はますますその数を減らしてしまう。
 ところが発生周期が素数の蝉は、他の周期の蝉と発生が重なることが少ない。例えば、17年蝉と12年蝉の発生期が重なるのは204年ごとである。

 こうして長い時間を経て、12~18年蝉のうち、13年と17年の「素数」を発生周期とする蝉が生き残った、というのである。

 以上、一昨日の産経新聞のコラムに載っていた話で、筆者は竹内薫というサイエンスライターだ。

 竹内氏は、何故か、最近売れっ子で、日本テレビのニュースのコメンテイターもやっているが、人間の抱える諸問題を「数学」で説明するのは難しいらしく、遠慮がちのコメントばかりで、大いに物足りない。トンデモに思われても構わないから、親子殺人を数学論理で考えるとこうなる、とか解説したらいいのにと思う。

 無理か。

 それはさておき、「素数蝉」の話は、一種の「進化論」だが、とても面白い。宇宙もまた、こうして、素数中の素数、「1」を見い出すことから始まったのではないだろうか、なんて妄想したりする。

 ちなみに、数学者に「数って、本当にあるのですか?」と聞くと、「当たり前じゃないですか。実在しますよ~ん!」と百%、答えるそうだが、これは、「素数」のことを言っているのかもしれない、なんて思ったりした。

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1 コメント

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Unknown (Unknown)
2007-07-28 21:54:09
1は素数じゃないです><
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