パラドクスの小匣

南原四郎、こと潮田文のブログです。

オリンパス疑惑

2011-10-26 22:51:05 | Weblog
 4、5年使っていた19インチの液晶モニターがダメになったので、秋葉原で物色。

 15インチだと、1500円なんて店があったが、さすがに小さすぎる。

 最低17インチなければと思ったが、一ヶ月保証付きで4000円弱といったところ。

 これにしようかと思いながら、ふと横を見ると、「マルチメディア対応」とか、そんな名目のシャープの液晶が目に入った。

 見ると、パソコンもテレビもビデオも見れるというもの。

 もちろん、地デジの場合は地デジチューナーが必要だが、チューナーは現在14インチのブラウン管のアナログテレビに接続して使っている。

 そして、その14インチのブラウン管テレビは、映りはいいが、接触が悪く、時々砂嵐になったりする。

 地デジになってからは、比較的安定しているのだが、ブラウン管は何せ、14インチでも「デカイ」ので、いずれ買い替えようと思っていたところだった。

 問題は、画質。

 液晶より、ブラウン管の方がきれいという先入観が抜けなかったのだが、「マルチメディア対応」機器の価格は4800円。

 安い!

 ただし、保障はついていない。(でも、ジャンクというわけではないらしい。)

 う~ん、どうしようかな、と思っていると、隣で真っ黒けの黒人の若者がノートパソコンをわしづかみにしながら、「え? なにこれ、バッテリーないじゃん」と日本語で独り言を言っている。

 昔、といっても3、4年前だが、山手線で、つり革にぶら下がりながら新潮社とおぼしきペーパーバック版の「日本文学全集」を読むふけっている黒人青年を見た時以来の「驚き」だった。

 いや、「独り言」まで日本語なのがね、驚きだったのだが、エグザイルの何とかという、ブラックのメンバーが、「困ること」に、マクドナルドで英語のメニューを出されることと言っていたことを思い出した。

 彼、全然英語ができないんだそうだ。

 ウィンツ栄司も「曜日」を英語で全く話せず、外人に驚かれたらしいが。

 ともかく、そんな光景を横目に、パソコンモニターとテレビ兼用モニターを買うことにした。

 保障がないのはちょっと怖いが、見たところ、状態は良さそうだし。

 というわけで、それを今使っているのだが、調子は上々。

 ただ17インチとはいえ、画面全体がテレビ対応で、「横長」なので、パソコン画面にした場合、両端が黒く塗りつぶされ、実質15インチ弱といった感じで、使っていた19インチの広大さには到底及ばないが、まあ、しょうがない。

 一番いいのは、ピピッと、リモコンでテレビ画面に切り替えることができることだ。(もちろん、逆も可。当たり前)

 で、今、テレビに切り替えたのだが、古館が「オリンパス疑惑」を報じている。

 「ぜひ、内視鏡で明らかにしてほしいと思うわけです」と、極端に軽いのりでしめくくって、いったいどういうつもりで報道しているんだと思った。

 「オリンパス疑惑」については、一週間くらい前からウェブで話題しきり。

 何しろ、年商数億円のイギリスの企業3社を2000億円で買収し、その仲介にあたった会社に謝礼を700億円も払ったというんだから。

 700億円で買収したんじゃない、仲介の謝礼が700億円だ。

 その仲介を担った会社はカリブ海に浮かぶ島にある会社で、700億円支払った後、解散したんだそうで、アメリカのFBIが捜査に乗り出していて、欧米のメディアでは連日トップネタなんだそうだが、古館が報じていたのは、オリンパスの株価が暴落し、社長が交代という話題で、記者会見では「700億円の謝礼は高すぎないか」という質問に「そうは思いません」と答えていた。

 ところで、私が「オリンパス疑惑」を知ったのは、これまたお恥ずかしいながら、2ch経由。

 巨額の買収を就任直前にオリンパスが行ったことを雑誌の記事で知ったオリンパスのイギリス人の社長が、その金額に仰天し、調査会社に依頼したところ、「法的には問題ないが、かなり裏がありそう」との報告を得たため、旧経営者を問い質そうとしたところ、就任わずか半年で取締役会議で社長の座を追われ、「そういう態度ならこっちもやる!」と全面対決となった挙げ句のFBI捜査、というのが2ch、および2chに紹介されたブログ、あるいはネットニュースで知ったストーリー。

 要するに、バブル期に蒙った「損」を企業買収で生じた「損」で隠蔽したということらしく、それ自体は「よくある話」らしいのだが、仲介者に700億円近いお金を払うというのはさすがに珍しく、ヤクザがからんでいるのではないかということで、欧米メディアでは「エンロン事件」の再来と大騒ぎになっている。

 このこと自体はオリンパスの白黒とは別に、「事実」。

 だったら、「欧米では大騒ぎになっていますが、我が局ではヤクザが絡んでいるという確証は得ていません」と断った上で、「オリンパスが疑惑の対象になっています」と「事実報道」すればいいのだ。

もし仮に700億円(正確には670億円だとか)を支払った相手がヤクザだとしたら、さすがにイギリス人を社長に据えようなどとはしないと思うので――「企業ヤクザ」というのは実に巧妙だそうだから、何とも言えないが――「ヤクザ疑惑」の線は薄いような気がする。

 オリンパスとしては懸案の「損切り」を行った上で、イギリス人をトップに迎え、「国際化」を諸外国にアピールしたかったのだろうが、欧米人は「嘘をつく」という「文化」を持っていないことを見逃してしまったのだ。

 このことは、イギリス人社長を追い出したオリンパスの経営陣が「文化の違い」と説明したことで推測できるのだが、この説明は、「我々日本人は嘘をつく文化をもっています」と告白したに等しく、とんでもなく迷惑な発言。

 「文化」を盾にするのは、これまで何度も言ってきたが、最悪だ。

 せめて、《日本人自身だって「嘘をつく」ことをよいことだとは思っていない》くらいのことは言ってほしいと思うのだが、でも、この際、そんな日本の近代に特有の「企業文化」を、FBIに根底から一掃してもらいたいというのが、私の「本音」だ。