パラドクスの小匣

南原四郎、こと潮田文のブログです。

恐竜を正しく理解するには

2011-10-23 22:29:16 | Weblog
 「レナウンのシンプルライフブランドの中国本土展開」が今回のNHKスペシャルのテーマだったが、中国と日本(レナウン)の意見の食い違いの第一は、レナウン側が、北京の一等地から出発しここで成功したら地方都市へという戦略に対し、中国側は「地方都市からはじめたい」というのだ。

 困惑するレナウンの担当者が、NHKのカメラに向かって「信じられない! 首都北京の超一等地からはじめるのが当たり前でしょ」と苦笑いしながら言っていたが、「????……」と思った。

 「地方都市」からはじめて、うまくいかなければ、そこで止めればいいし、損失も最小限ですむが、「首都の一等地」からはじめたら、そうはいかない。

 失敗したら大きく報道されるだろうし、いいところなんかないと思うのだが?

 そもそもヨドバシ電気は、当時、必ずしも一等地とは言えなかった新宿のヨドバシ地区からはじめたのではなかったか?

 ヤマダ電機は?

 「田舎」が開業地の会社なんて、いくらでもあるだろうに。

 あと、ロゴの書体が違っていたとか(正式ロゴはゴシック体なのに、中国側は明朝体で用意した)、本物のレンガを使うように指定したのに、中国側はレンガを印刷した壁紙を使ったとか……中国側の肩を持つわけではないが、あんまり「本質」とは思えないところにレナウンはこだわっているな、と思ってしまった。

 そもそも、本物のレンガでないと致命的に毀損されるくらい、すごい上級ブランドなのか?「シンプルライフ」というブランドは。

 私なんかには、「まだあったのか!」と思ったくらい、随分懐かしい名前で、レナウンのこだわりそのものが、奇異に思えたのだった。

 それはさて、Eテレで恐竜CGアニメをまた見た。

 前見た時から気になっていた、恐竜の仕草がどこか哺乳動物的なのは、要するに、CGアニメの制作者が「恐竜」に感情移入しちゃっているのだ。

 もちろん、私は、生きた「恐竜」を見たことはないけれど、CGアニメに描かれた恐竜が「事実」とかけ離れているであろうことは、「わかる」。

 端的に言うと、「恐竜」は、我々が生きる世界、すなわち「論理空間」への「異物」として理解するしかないし、そうすべきなのだ。

 具体的には、ワニとか、カメとか、鳥等、哺乳類とは異なる、恐竜と類似する動物をじっくり眺めることで、恐竜に対する「感覚」を「類似的」に推測し、それを身につけた上で制作すべきなのだが、ただ、そうすると「お話」が成り立たない。(爬虫類が「主人公」のおとぎ話なんて聞いたことがないが、それには理由があるのだ。)

 痛し痒しというわけだが、CG技術が向上するにつれ、微妙な感情移入が可能になり、しかりしこうして「事実」からかけ離れた「表現」が可能になってしまう。

 要するに、科学技術が向上すれば真実に近づけるわけではなく、むしろ、科学技術は我々を真実から遠ざける。

 ――とウィトゲンシュタインは言っているのだね。