パラドクスの小匣

南原四郎、こと潮田文のブログです。

「レインディア・ゲーム」讃

2011-06-12 23:31:11 | Weblog
 もう一週間近く前になるが、テレビで「レインディア・ゲーム」という映画を見た。

 例によって、途中から見たので、しばしば話が見えなくなったが、面白いのなんのって、であった。

 特に、イカレタちんぴら役が、ちっちゃいのに、イカレ方が凄い。

 最後にあっさり殺され、それまでの悪役としての「オーラ」が灰燼に帰してしまうところが、いかにも「それらしい」感じで、またいい。

 ストーリーはえらく複雑だが、全体としてはいわゆる「クリスマスキャロルもの」で、最後はほのぼのとした感慨に包まれる。

 最後のエンディングで、主人公はベン・アフレック、悪役はゲイリー・シニーズ、その愛人は、シャリーズ・セロンであった。

 名前は知っているが、見たことのない役者ばかりで、なるほど売れっ子なだけあるわい、と思ったのだったが、驚いたのは、ジョン・フランケンハイマーの作品であることだった。

 いかにも「今風」のように感じたからだが、ネットで調べたら、フランケンハイマーの最後の作品で、2年後に亡くなっているのだった。

 フランケンハイマーは、「フレンチコネクション2」の監督で、「1」に比べ、「2」はあんまり面白いと思わなかったのだが、見直したらきっとその感想も変わるだろうと思った。

 それくらいに、私は堪能したのだったが、ネットでついでに、映画ファンの評価を調べると、意外なことに、評価が割れている。

 低評価の理由は、「シナリオが甘い」というのが大半を占めていたが、何をもって「甘い」とするのだろう?

 思うに、ベン・アフレックが次々に襲い来るピンチをことごとく切り抜けてしまう、その切り抜け方が、あまりにも「ご都合主義的」だと言っているのかもしれない。

 しかし、そういう連中に限って、この映画が「クリスマスキャロルもの」であることに気づかず、「後味が悪い」などと言うのだ。

 理屈をこねずに、存分に楽しめばいいものを、理屈をこねて、楽しもうとしない。

 映画ファンにはこういうのが多くて嫌になる、と、元映画学生として、思ったのだった。