パラドクスの小匣

南原四郎、こと潮田文のブログです。

肝心要

2011-05-22 22:32:00 | Weblog
 NHKスペシャルで、太地町の漁師VS反捕鯨団体の争いを扱っていたが、見ていて、NHKはジャーナリズムとして報道すべき肝心要を見逃していると思った。

 それは、太地町の漁師たちの生活が、捕鯨で保たれているとは到底思えないことだ。

 じゃあ、どのような方法で彼らは、彼らのけっこう豊かそうな生活を維持しているのか?――ジャーナリストは、こう考えがちだが、実際のところ、そんなことは問題ではない。

 捕鯨からほんのわずかの収入しか得られないのに、なんで、捕鯨を続けるのか?

 これが、太地町報道、否、捕鯨報道において決して報道されない、「肝心要」なのだ。

 私は、前から言っているが、「伝統文化」だからという理由で捕鯨をやっているのなら、そんなのはやめてしまえばいいと思う。

 そして、「かつての漁師たちは勇敢だった」と賞賛すればよいのだ。

 実際、NHKの番組では、江戸時代の漁民の絵をインサートカットし、「かつての漁師たちは勇敢だった」と賞賛していたが、このような「感情」は、「過去」に対して抱くものだ。

 かつて、捕鯨オリンピックというのがあって、日本は圧倒的に強かったのだぞ、と、過去を偲んだ報道をすればいいのだ。

 長門裕之が亡くなったが、マスコミはどこも、弟・津川雅彦のコメントを求めない。

 これも、太地町の漁民が、豊かそうな生活をどのような手段で維持しているのかを報じないのと同様な理由によるのだろう。

 自分たちが「あえて」遠慮している事実が、玉突き状に暴露されることを恐れているのだ。