パラドクスの小匣

南原四郎、こと潮田文のブログです。

ネズミが死んでいる

2011-05-07 16:41:06 | Weblog

 今朝、といってもお昼過ぎだが、会場に着くと、ギャラリーの女主人が私を待ちかねていたような風情で、私にこう言った。

 「まことにすみませんが、お願いがあるのです。実は,裏でネズミが一匹死んでいるんです。袋に放り込んでいただければ,私がゴミ捨て場に持ってゆきます」

 うへっ,実は私もネズミは苦手。

 でも、かく、女性に頼まれては、なんとか男らしいところを見せねばなるまいと、勇気を奮って、わり箸をもって裏に回ると、子ネズミとも思えるような小さなネズミが死んでいた。

 私が嫌いなのはでかいドブネズミ。

 これだけ小さければ、なんてことはないと、ハシでつまみ上げるとやたらに軽く、心理的な抵抗はほぼなしに等しかった。

 昔、といっても20世紀の始め頃、なんとかいう、物理学者だか心理学者がいて、「重さ」が人に与える心理的影響を詳細に調べたことがあって、それをもとに、フロイトの無意識説が生まれたとか、読んだことがあるが、さもありなんと「実感」した。

 ドブネズミは、その「重さ」が、なんらかの閾を超えることによって、どこか、人の無意識に働きかけるのだ。

 と、ここまでは,比較的容易に理解可能なのだが、その後、話が、カントの純粋理性批判のような問題に絡んでくると,とたんに話が難しくなってくる。

 要するに、物理的真理とみなされているものも、実は心理的なものだということになって、しかも、それが勢いを増している。

 所謂,科学における人間原理主義の台頭だ。

 宇宙の森羅万象、ことごとく、人間に理解可能なようにできているとか。

 ところが、一方で、量子力学では、いい得るとしたら、理解できないと理解することだとか言ったりする。

 でも、これも,一種の「人間原理」なのだろう。

 こんな話が好きなんだよなあ。

菅首相に期待すること(マジで)

2011-05-07 00:22:00 | Weblog
 菅首相が、浜岡原発の廃止を決定したようだが、菅自身はどうしようもないバカかもしれないが、それが幸いになっているとも言える、と個展に来ていただいたある方が言っていた。

 曰く、原発には、自然災害遭遇時における免責条項があるのだが、これをつくったのは、電力業界と深い関係のある中曽根であると。

 この「免責条項」が、昨年秋、国会で共産党が福島原発の津波に対する危険性を指摘し、それに東京電力の責任者が「大丈夫だ」と答えてしまった。

 この「答え」は国会の議事録に載っているので、今回の福島原発事故に「免責条項」は、実質上、適用できなくなってしまった。

 これは、共産党のお手柄だが、狡猾な自民党政権だったら、官僚と組んで、「免責条項」を復活させてしまう危険性があるが、無能な菅首相にそれはできない、云々と。

 なるほど。

 ところで、もう20年近く前になると思うが、相良某という気象学者が、富士山が大爆発するというカッパブックスを出し、ベストセラーになったことがあった。

 結局富士山は爆発せず、相良氏はバッシングを浴びたのだが、著書を読んで言っていることはもっともだと思い、「月光」でインタビューをしたことがあった。

 その時、相良氏は、浜岡原発を87パーセントの確率で襲うと予想されている(それで「廃止」を決めたと菅首相は言っていたが)東海大地震について、「あれは、実はデータの計算間違いで、それは学者たちもわかっているのだが、東大の偉い先生が言っているので、「間違いでした」と言えないだけ。本当に危ないのは、銚子沖あたりだ」と言っていた。

 以来20年(東海大地震が叫ばれてから、ほぼ半世紀)。

 伊豆半島を襲った群発地震はあったが、所謂「東海大地震」は発生していない。

 というわけで、東海大地震が起こらなければ起こらないで、まことに結構なことではあり、菅首相の「決断」にケチをつけるわけではない。

 何はともあれ、菅首相のリーダーシップのなさが、「日本は一つ!」「がんばればできる!」という、まさにファシズムそのもののかけ声を無効にしてくれれば、これほど幸いなことはない。