パラドクスの小匣

南原四郎、こと潮田文のブログです。

仙ちゃんの決断の時

2008-08-22 18:53:22 | Weblog
 ソフトボールで感動したと思ったら……。

 試合の中盤からテレビの音声をラジオで聴いていたのだが、八回から岩瀬が出てきて絶句した。

 もちろん、私なんか野球に関しては素人以下だけれど、予選を通じて、いや、今年のはじめから、もう岩瀬は限界であることがはっきりしたと思うのだが、その岩瀬が出てきた。

 なんだかなんだ言っても、星野監督は「素人」ではないのだからそれなりの根拠があって、岩瀬をマウンドに送りだしたのだろうと思ったら……アナウンサーの悲鳴が聞こえてきた。

 オリンピックの地区予選では、たしかに岩瀬は頑張っていたとは思うけれど、「頑張っている」というイメージ自体が、実は、限界ギリギリでやっていることを暗示しているのではないかなと、決して後知恵ではなく、当時見ていて思ったのだが、シーズンに入って、その予感が適中したか、成績がさっぱり上がらない。

 それでも中日の落合監督は、抜群の実績のある選手なのだからと温情と言えば温情が、かっこうよく言えば、彼の過去の実績を「リスぺクト」して使い続け、岩瀬自身も、そのうちになんとか成績を残すようになった。

 とはいえ、彼の力が落ちていることは明らかで、落合監督の「温情」も、今年のペナントレースは半ば捨てて、来年から岩瀬抜きで再スタートを切るための布石だろうと思った。

 その岩瀬を、星野監督が日本代表に選んだというのは、どういうわけなんだろう。落合監督は、「岩瀬はそろそろ限界だよ」と星野に耳打ちしなかったのだろうか。

 案の定、大会がはじまると、岩瀬はすこんすこんうたれる。

 それでも、岩瀬をマウンドに送り続ける星野監督の采配は、予選で見きわめをつけるためにあえて行っているのかもしれないと思った。

 ところがそうじゃなかった。

 たしかに、よく考えれば、岩瀬一人の調子を見めるために予選を行うような「贅沢」は、この時点で許されるはずがない。

 ……えええ? てことは、星野監督の真意は、つまるところ、「最後はオレの期待に答えてくれるはず」でしかなかったのか? 
  
 改めて調べたら、岩瀬の成績は、準決勝の対韓国戦も含めれば日本チームの全失点の半分を占め、4敗中の3敗を献上しているんだそうだ。この岩瀬に、「きっと最後はやってくれるだろう」なんて期待をかけることがあまりにも無謀であることは素人にだってわかる……と思うのは、きっと素人だからで、プロにはプロにしかわからない何かがあるんだろう……などとごちゃごちゃ言っているが、つまるところ、星野監督は「最悪」以下の最悪な状況に追い込まれたわけだ。これだけは間違いない。

 では、どうしたらよいか?

 どの掲示板でも、銅メダルなんかいらないよ、試合放棄しちゃえよといったレスで溢れている。

 その気持ちはよくわかるが、オリンピックでそういうわけにもいかないのだ。勝って3位になるにせよ、負けて4位になるにせよ、恥ずかしくない試合を行わなければならない。

 しかし、選手たちにその気力が残っているだろうか? あるいは、星野監督に選手たちを叱咤激励する力が残っているだろうか。星野監督はたしかに雄弁だが、弁説でこの苦境を乗り越えられるとは思えない。

 じゃあ、どうしたらよいか。

 ずばり、今夜中に不成績の責任をとって監督を辞任し、明日の3位決定戦は大野コーチに任せるのだ。(田淵、山本の仲良しコンビは完全に一蓮托生の境遇だから、星野に代って采配をとることはできないだろう)

 これっきゃない。

 とかいって、明日も星野監督は、いつものように偉そうにペンチの前で仁王立ちしているのだろうと予想するが、いったい、誰が投げるのだろう。和田? ダルビッシュ? どちらにしろ、星野監督はどのつら下げて、決勝のために温存した「絶対エース」に消化試合の先発を命令できるだろう。

 やっぱり、辞任しかない。星野監督、あなたは「チェックメイト」なのだ。そして、それを見極め、辞任を決断できれば、星野神話は、これからも健在であり続けるかもしれない。

 仙ちゃん! 決断の時いたれりだ。