パラドクスの小匣

南原四郎、こと潮田文のブログです。

三人の囚人(訂正バージョン)

2007-05-21 15:06:48 | Weblog
 『3人の囚人』という、頭の体操クイズがある。ゲーム理論の世界では有名、というか、これがゲーム理論の基礎になっているんだそうだ。 

 《三人の囚人が居た。そこに所長がやってきて、こう言った。「ここに5枚の円盤がある。三枚は白で、二枚は黒だ。これをおまえ達の背中に貼り付ける。他人の背中は見ることは許されるが、話してはならない。自分の背中に貼ってある円盤の色がわかった者だけが、そしてその理由を論理的に正しく説明できた者だけが、釈放される」。こう言って、所長は三人の囚人すべてに白の円盤を貼った。

 結果は三人が同時に所長のところに来て、同じ理由を述べたので、三人とも釈放された。

 彼らは所長に何と言ったのでしょう。》

 というもの。わかりますか? 答は以下の通り。(以上は前回と同じ)


 3人の囚人を、A、B、Cとする。
 そのうちの任意の囚人、たとえばAとすると、Aは、自分以外、「白」であることを見るが、自分が白か黒かはわからない。これが第一段階である。(もちろん、BもCも同じ。)

 第二段階で、任意の主体、すなわちAならAが、自分が黒であると仮定したとすると、その場合、B(あるいはC)の目には、白と黒が見えているはずである。
 ここでBが何を見ているかを考えてみると、Bは、黒のAと白のCを見ていることになるが、自分が白か黒かはわからない(黒は2枚あり、そのうち、1枚しか確認できていないのだから)ので、動くことが出来ない。言い換えれば、不決断を強いられているのだ。
 ところが、このことが、別の推測を可能とする。
 すなわち、Bが「動かない」ことを見たCは、Bが動かないのは、Bが、黒のAと白のCを見ている故に不決断に陥っているのだと推測するだろう。すなわち、「C(自分)=白」ということになる。
 
 この事情は三人共通であり、したがって、「誰も動かない限り」、A、B、Cの三人とも、自分が「白」であることがわかることになる。(つまり、「3人同時に所長のところに走った」とは、実際の所、「3人とも動かない」ということを表象しているのだ)
 
 もちろん、私はこの答えを自力で……わかりませんでした。まして、こんな問題を考え出すなんて、世の中には頭のいい人がいるものだ、と感心するばかり。(ビートたけしなんか、わかっちゃいそうだが)

 追加 「A=黒」の仮定の元で、もしBが単独で動いたとしたら、Bは、AとCが「黒」であることを知り、なおかつ「黒」は二つしかないのだから、必然的に「自分は白である」とわかって、其れ故、動いたのだということになるが、AとCが黒であるということは、「三人の囚人すべてに白の円盤を貼った」とする問題に反している。この点からも、三人は「同時」に動くしかない。