パラドクスの小匣

南原四郎、こと潮田文のブログです。

子供は死を恐れないか?

2006-11-24 16:03:49 | Weblog
 灰谷健次郎の訃報は、結構、大きく取り上げられているが、その中の誰かのコメントに、「子供と大人のもっとも大きな違いは何だと思いますか?」と灰谷に聞かれ、わからなかったので、「なんですか?」と聞いたら、「子供は自分が死ぬなんて思っていないことです」と教えられたと書いていた。

 こ、こ、こ、こ、こここ、これは違うだろう。全然。子供は、自分の死を身近に感じ、ものすごく恐れていると思うよ。それは、私自身のことを振り返ってもそうなのだが、理屈から言っても、子供は非常に弱い存在で、親、というか大人に見離されたら死ぬしかないことを知っている。だから、非常に死を恐れる。これは、一般的に、死にやすい弱い動物ほど死を恐れるのと同じだ。死の意味を知っているか否かといった、「知性」の問題ではない。イヌや猫を追い詰めたら、狂ったように抵抗するのは、彼らが死を知っているからではないが、でも、まちがいなく、死を恐れているが故に抵抗しているのだ。
 では、百獣の王ライオンは死を恐れないかと言われれば、動物として、そんなことはないだろうが、でも、カモシカみたいに群れで固まり、四六時中おどおどしているようなことはない、という意味では「恐れていない」と言ってもいいだろう。

 ともかく、そんなわけで、灰谷健次郎という「作家」の底の浅さが垣間見えてしまったコメントだった(と、私には見えた)。

 ナンバラ企画事務所の隣に、中国人が経営している漢方薬の店があるのだが、この店のトビラをしきりに叩いて、何か中国語で叫んでいる人がいる。出てみると、中国人のお婆さんで、部屋の灯りが消えているので、「今、いませんよ」と教えると、お婆さんは、「あ、そう」と言い、「こんにちは」と言って帰っていった。
 また、誰か悪い日本人が、「さようなら」と「こんにちは」を逆に教えたな。日本人を代表して謝りますね。
 「ありがとう」。