Creator's Blog,record of the Designer's thinking

フィールドワークの映像、ドローイングとマーケティング手法を用いた小説、エッセイで、撮り、描き、書いてます。

Landscape39. 山陽路・成和町吹屋1

2008年03月07日 | field work
 長期ロード4日目の午後は、倉敷から伯備線に乗り備中高梁駅、そして車に乗り継ぎ吹屋に向かった。中国山地のまさに山の中にある吹屋は、保存状態が大変良く、また修復も行われているために、国伝統的建造物群保存地区のなかでは見応えがある。中国地方特産の石州瓦屋根と紅殻格子など、華麗さを感じさせてくれるが、ここを訪れるビジターは少なく、大変静かな集落である。
 吹屋は、江戸時代から周辺銅山から産出される銅の余剰である「ローハ」(結晶硫酸鉄)を用いた紅殻の生産を行っていた。紅殻窯元は、これによって得た資本を基に事業の多角化を進め、吹屋の町並みを形成し、また近隣山林や田畑の大地主として、この地域への影響力を持っていたのである。
 既に見てきた御手洗が遊興娯楽、竹原が物流商業、そして吹屋は生産工業といったように、町を大きく発展を発展させてきたのは産業基盤の存在である。戦後、社会構造の変化や化学原料の登場によって、それらの町の役割が終わっても、今なお残る町並みには往事の反映が伺える。
 通りを歩くと、人々の気配が感じられず、静けさだけが漂う。しかし無人ではなく、表屋の背後には人々の生活が存在している。地元住民に聞けば、この辺りでは一番居住者が多いところだという。伝建地区の空間構造の特徴である、民家の背後に設けられた家屋で、この集落の生活が存在しているのである。彼らの生活からみれば、私達が歩いている通りは裏通りにあたる。
 
EOS3,EF F3.5-5.6/28-135mm
エクタクローム,CanoScan.


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