ダンエレクトロのコピー

2009-01-09 01:51:26 | Dano Column
ギターのコピーモデルといえば昔も今もやはりギブソンやフェンダーをコピーしたものが多い。本物は高くて買えないけど、レス・ポールやストラトキャスターが欲しいという人のためにコピーモデルは存在し、そのため価格はリーズナブルなものになっている。はずだったのだが、今ではコピーといってもいろいろあり、低価格のものばかりではなくなっている。もっともそういうものはコピーモデルとは言わない。特にストラトキャスターはエレクトリック・ギターの普遍的なシェイプというわけで、もはやアコギのシェイプと同じことだから。ヘッドの形はコピーできないけれど。
今はギブソンやフェンダーにしても昔自分たちがつくっていたモデルをコピーしているようなものだから、何がオリジナルで何がコピーかわからなくなってきてもいる。というか、オリジナル>コピーという図式が揺らいでいるという感じ。

ダンエレクトロは1969年に工場が閉鎖されて、いったんその歴史に幕を閉じてしまったわけだが、そのユニークなデザインやリップスティック・ピックアップのトーンを放っておく手はないというわけで、コピーモデルがいくつかつくられるようになった。ダンエレクトロのコピーモデルとして最も有名なのはJerry Jonesだろう。コピーモデルでありながら、オリジナルよりもよい材を使用し、プロの使用にも耐えるようつくられたそれらのギターは価格も当然オリジナルよりも高い。現在のJerry Jonesは、シェイプが若干異なり、モダンな仕様になったNeptuneシリーズとダンエレクトロのシェイプに忠実なJJ Originalシリーズの2つがある。

その他のコピーモデルは日本のメーカーがいくつかつくっていた。
まず、グレコ。DE-700というモデルがダンエレクトロの59DCのコピーモデルで、これはジミー・ペイジ仕様で、ブリッジがバダスタイプになっている。
次にフェルナンデス。モデル名はわからなかったが、グレコ同様、59DCのコピーモデルをつくった。これもバダスタイプのブリッジになっている。
一見すると、両者は似通っているので、同じものをブランドだけ変えているのかと思っていたが、そうではないようだ。明らかな違いはペグで、グレコはロトマチックタイプになっているのに対し、フェルナンデスはオープンバックになっている。さらにフェルナンデスはネックのティルト機構も再現しているようだ。

もう一つ、ROXというブランドがある。このブランドはコンバット・ギターズが展開していたもので、このブランドでダンエレクトロやVOXのギターのコピーモデルを出していた。59DCだけでなく、ロングホーンベースのコピーモデルもある。

これら国産コピーモデルもオリジナルよりもつくりがよいのを売りにしていたようだ。ダンエレクトロの場合、オリジナルが低価格モデルで、ローコストの材を使用しているため、コピーのほうがオリジナルよりもつくりがよいということになってしまったわけだが、音はどうなのだろうか。私はこれらコピーモデルを弾いたことがないのでわからないのであるが。

そして1990年代後半になり、ダンエレクトロブランドが復活し、リイシューモデルが低価格で出された。本家ダンエレクトロでは2001年頃にギターの製造をいったん中止し、時折限定モデルを出していたくらいだったのだが、2007年から再びリイシューモデルを出すようになり、現在に至るというわけ。
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