「アメリカン・ギターズ」風に

2014-03-18 22:52:52 | Dano Column
その昔、フジテレビで「アメリカン・ギターズ」という番組があって、よく見ていたのだけれど、最近YouTubeにいくつかアップされているのを発見し、懐かしい思いとともに見直しているところなのである。それにしても残念なのは、この番組ではダンエレクトロが取り上げられていないこと。もちろん、番組制作当時はダンエレクトロが復活する前だし、例え復活後だったとしても、工場はアメリカにはないのだから、番組的にも取り上げられなくて当然なのであるが、あまりにも悔しいので勝手に「アメリカン・ギターズ」のダンエレクトロ編をつくってしまおうと思いついたのである。

この番組では、工場所在地の土地柄やそこでの歴史的なエピソードなどを盛り込んだ語りから入ることが多いようだが、そういう感じではなくて、少年たちが初めて手にするギターというところを強調するような語りにしてみようか。

車を走らせながらの、流れる景色を思い浮かべながら読んでみるといいかも。



「チャック・ベリーやバディ・ホリー、もしくはディック・デイルやデュアン・エディ、あるいはビートルズやローリング・ストーンズ。彼らに憧れたアメリカのティーンエイジャーはこぞってバンドを結成し、自宅のガレージで練習をした。そんな彼らの手にはギブソンやフェンダーのようなギターではなく、通信販売で安く手に入るダンエレクトロのようなギターがあったのだ。」

(そしてダンエレクトロの歴史的な経緯に触れながら語りは進んでいく。)

「ダンエレクトロの設立者ネイサン・ダニエルはラジオに熱中した少年時代をすごし、やがてアンプを製造する小さな会社、ダニエル・エレクトリカル・ラボラトリーを立ち上げる。その経歴はほぼ同年代のレオ・フェンダーと似ているが、似ているのはそれだけではない、二人ともギターを弾くことができなかったのだ。」

(ここでネイサン・ダニエルの戦時中のエピソードを盛り込んでみる。)

「第二次世界大戦中、ネイサンは海兵隊に志願しようとしたが、周囲から止められ、ニュージャージーの通信隊に民間人として勤めることになった。このときのエピソードはその後のギターやアンプの製作にも活かされていることがわかる。」

(ここでネイサン・ダニエルの息子であるハワードさんに登場してもらう)


「戦場で、走行中のジープやバイクと無線のやり取りをしようとすると、エンジンなどからノイズを拾ってしまい、音声が聞き取りづらいという問題がありました。それを私の父は簡単で経済的な方法で防止するやり方を発見したのです。『政府が何百万ドルも無駄遣いするのを救ってやったんだ』と自慢げに何度も私に言っていましたよ。」

「ネイサンがダンエレクトロを設立したのは1947年。1950年代になって、アンプメーカーだったダンエレクトロに転機が訪れる。ローコスト、シンプルな工程、短期間で大量生産が可能なエレクトリック・ギターの製造に取り組むこととなったのだ。ネイサンは友人のディアンジェリコにアドバイスを求めたが、ディアンジェリコはブリッジの位置とフレットの間隔についてのアドバイスにとどめたそうだ。ネイサンがめざしているギターには自分の職人技が必要のないものであることをわかっていたのだろう。」

(このあたりでレヴィ=ストロースの名前を出してみたり、スノビッシュな雰囲気を醸し出してみる。)

「ネイサンは建築資材や口紅のキャップなど既にあるもので利用できるものは何でも利用した。既にあるものを寄せ集めてものをつくることをレヴィ=ストロースは「ブリコラージュ」と呼んだが、ダンエレクトロのギターはまさにブリコラージュの産物であり、ネイサン・ダニエルの創造性の結晶なのだ。」

「ダンエレクトロは見本市に出展したときにはネオンサインの下でわざとギターのデモンストレーションをした。そんな状況でもノイズが少なく、クリアな音が出るのが売りだった。オリジナルのダンエレクトロのヘッドにはTOTALLY SEALDEDのステッカーが誇らしげに貼られていた。」

「ダンエレクトロは1969年に工場が閉鎖、その幕をいったん下ろすこととなった。しかし、1990年代の終わりに復活した。FOXX Tone Machineというオクターヴ・ファズで有名なSteve Ridingerが社長を務めるEvets Corporationがダンエレクトロの商標権を買い取ったのである。」

(スティーヴ・ゾースト ダンエレクトロのコンサルタント)


「90年代の終わりに立ち上がった新しいダンエレクトロは、ペダルをいくつか出しただけでギターのリイシューには積極的ではなかったんだ。だけど展示会のたびにギターがどこにあるのかをしょっちゅう聞かれるものだから、これはギターをつくらないわけにはいかないなってことになってね、それで私のところに話を持ってきたというわけさ。」

(このへんで、ゲストミュージシャンに演奏も交えながらダンエレクトロの魅力について語ってもらう。人選的にはジミー・ペイジかベック・ハンセンなら文句ないが、ネット上を探しても、めぼしい発言がなかったので、ベサニー・コセンティーノに出てもらうことにした。)

(ベサニー・コセンティーノ ベストコースト)


「父が私にオリジナルのダンエレクトロをくれたの。もともと父のだったんだけど、私が16か17歳の頃ね。父は13歳のクリスマスにストラトキャスターをプレゼントしてくれて、それが私の初めてのギターなんだけど、ダンエレクトロはベストコーストを始めた頃に使ってたし、曲のほとんどはこれで作ったし。ダンエレクトロは一番のお気に入りの楽器よ、だってパパがくれたんだし、ツアーに持っていくし、かっこいいし。」

(そしてエンディング。冒頭の続きで閉じることにしたが、やはり、こういうクサい話は苦手だ。)

「少年たちもやがて年をとる。愛用のギターはジョニー・B・グッドのようになりたいという夢と一緒にどこかにしまいこんだままだ。この夢がもう一度開かれるそのときまで、少年たちの夢を受け止めてきたギターたちは、今日もどこかで眠っていることだろう。」
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PLAY LIKE A 15-YEAR-OLD

2014-03-13 23:19:18 | Dano Info


新しいのか古いのか、どっちなんだ(笑)。

今年のダンエレクトロのキャッチコピーは「PLAY LIKE A 15-YEAR-OLD」。このチラシはNAMMショーのディスプレイにも登場していたのだが、ネット上にアップされた映像では小さすぎて何が書いてあるのかがよくわからなかった。ようやく大きな画像を見ることができたが、実はこれ、ダンエレクトロのウェブサイトにはまだアップされていない。まあ、プロモーションに今一つ積極性がないのは毎年恒例のことになっているわけだけれどね。

このチラシにどんなことが書かれているかといえば、15年くらい前のリップスティック・ピックアップが倉庫に紛れ込んでいたのが最近見つかったということと、そのピックアップを試してみたら、他のどんなリップスティックよりもtwangyなサウンドで、その原因がマグネットや様々な素材の経年によるものなのかはしらんが、とにかくすごい音がするというわけ。それで、そのピックアップを59DC(ダンエレクトロのフラッグシップモデル)にバダスブリッジとともにつけてみたら、今までにない最高のサウンドと演奏性が得られたという。

最後に、これは限定品だから、すばやくその手につかまないといけないよ、といった感じの煽りでしめている。

面白いのは今回のラインアップされたモデルのカラーの呼称である。色自体はどれもみないい感じなのだが、

・RIGHT ON RED
・BABY COME BACK BLUE
・OUTA-SIGHT WHITE
・ORANGE-ADELIC
・GO-GO BLUE

みたいな、間投詞ばかり使用しているところがダンエレクトロ大丈夫か?みたいな感じで少し不安になったりする。
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2014年のSilvertone

2014-03-09 21:53:15 | Dano Info
NAMM '14 - Silvertone 1444 Bass Demo


今年のダンエレクトロの新製品についてはすでに紹介したので、もうNAMMショーの情報を収集することもしていなかったのだが、そういえば昨年から往年のモデルをリイシューしていく方向に転換したSilvertoneの2014年モデルをリサーチするのを忘れていた。

というわけで出てきたのが、1444。Uシェイプでロングスケールネック、24フレットの4弦ベースである。ヘッドがドルフィン・ノーズと呼ばれるタイプのもので、ダンエレクトロではこれを2010年にリイシューした。

Silvertoneはオリジナルに忠実にというよりは、全体的な雰囲気はそのままに、現代的な仕様にして演奏性を良くしようというもの。なので、オリジナル志向が強い向きにはあまりおすすめできないが、1444のオリジナルが欲しければ、中古市場にお手ごろな価格でけっこう出回っているので、その気になれば案外とたやすく入手できたりするわけだが。
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