1959 REISSUE 続報

2009-07-28 00:52:57 | Dano Info
先日記事で紹介したショートホーンモデルのリイシューですが、予定では10月から販売されるようです。ということは実際は年末のクリスマスあたりから市場に出回る感じでしょうか。
エリック・クラプトンの悪趣味サイケ・ペイントの他に、ジミー・ペイジ仕様のモデルも販売されるとのことです。通常のものとどこが違うかというと、ペグがオープンバックではなくて3連スケートキーになっているのと、ブリッジがバダスタイプのものに変更されているところです。
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Danelectro VS Fender(7)

2009-07-13 21:11:38 | Dano Column
アンプ編。
本来ならこのアンプ編がネイサンとレオの直接対決といった趣きで、非常に興味深いところなのである。しかし私がアンプの回路に疎いために、核心に迫れないという問題があり、この対決を十分に展開しきれないのが悲しいところである。

アンプ・ビルダーとしては年下のネイサンのほうが先に頭角を現した。1930年代後半に、エピフォンの下請けで製作した「エレクター」や「ゼファー」といったアンプが高い評価を得たのだ。「エレクター」はジャンゴ・ラインハルトが愛用したことで知られている。ネイサンのアンプはノイズが少なく、歪まず、クリーンでウォームなトーンを出すということで評価された。



フェンダーは1946年にフェンダー社を創業してからフェンダーのロゴ入りのアンプの製作を始める。1952年からはツイード、1963年からはブラックフェイスとギターアンプの傑作を次々と発表していく。

歴史的に見れば、マーシャルもメサ・ブギーもフェンダーから派生したものであり、現在のギターアンプの源流はフェンダーということになる。フェンダーのアンプといえばチャンプ、ベースマン、デラックス、ツインリヴァーブなどなど次々に名前を挙げられる人でもダンエレクトロのアンプにどんなモデルがあるかを知っている人は少ないと思われる。このことからもことアンプに関してはフェンダーの圧勝は揺るぎないと言える。

しかし、ダンエレクトロがギターアンプに対して多くの貢献をしたことも決して忘れてはならない。まず、1940年代にはトレモロを実用化したこと、50年代にはリヴァーブ、そして実現には至らなかったが、60年代にはチューブとトランジスタのハイブリッドアンプのアイデアも持っていたのである。
フェンダーが初めてトレモロをアンプに採用したのは1955年、フェンダーのリヴァーブは1963年、ハイブリッドアンプはレオが新たに始めたミュージックマンで70年代初めのこととなる。というように、ダンエレクトロがフェンダーに先駆けていた部分も多々あったのである。



フェンダーには10インチ4発のベースマンがある。マーシャルはこのベースマンの回路のコピーから始まったし、メサ・ブギーもフェンダーのプリンストンをベースマンの回路にモディファイすることから始まった。こうしたことからもベースマンはギターアンプ史上最も重要なアンプだと言える。そしてダンエレクトロはこのベースマンに対抗して8インチ8発のコマンドーをつくった。このやりすぎな感じがたまらない。

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動画で楽しむDano(34)

2009-07-09 22:41:25 | Dano Movies(洋)
Derek Trucks Band 2/8/09 "Already Free"


デレク・トラックスはSGを弾くことが多いですが、ダンエレクトロもしばしば弾きます。この映像ではU-1を弾いていますが、リイシューのDano63を弾くこともありますね。
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Danelectro VS Fender(6)

2009-07-07 01:07:26 | Dano Column
ギター編最終回かな。今回は両社売却後のこと。

フェンダーは1965年にCBSに売却されたんだけど、やっぱり大企業が介入してダメになった典型なんだろうね。だんだん業績が伸び悩んで、70年代後半からは危機的な状況に陥ってしまい、CBSがフェンダーを手放したのが1985年のこと。そこから原点回帰を打ち出して再建を図り、かつての栄光を取り戻したといったところ。

フェンダーが迷走し始めた状況を如実に示したモデルが1969年のスウィンガー(ミュージックランダー)とマーヴェリック(カスタム)じゃないかと思う。




どちらもBass VとElectric XIIという、売れなかったモデルの余った部材を使いまわしてつくったもので、今となってはこれはこれで面白いと思うが、やっつけ仕事でつくった感は否めないし、まるでフェンダーがビザール化してしまったかのようだ。
この頃はジャガーやジャズマスターも時代遅れのギターとされていたようだし、これでジミ・ヘンドリックスが登場せず、ストラトキャスターを製造中止にしていたら、フェンダーはどうなっていたことだろうね。

対してダンエレクトロはというと、1966年にMCAに売却されたあと、ダンエレクトロブランドのほか、新たにコーラルというブランドを立ち上げた。



コーラル・ブランドではヴィンセント・ベルと共同でエレクトリック・シタールを開発するなど、唯一無二の独創性を発揮したりはしたんだけど、やはり方向性は変わってきていて、シンプルで独特なデザインのローコスト、低価格ギターではなく、例えばホーネットに代表されるような高級感のあるギターをつくるようになった。



ボディシェイプはフェンダーのジャガーに似た感じになり、ピックガードも装飾性の高いものになり、メゾナイトも使わなくなった。その他のモデルはカワイから供給されたボディを使用し、ヴァイオリン型やティアドロップ型など、どこかで見たようなデザインになっていった。日本製のボディを使った低価格ラインとフェンダーに似せた高級ラインというふうになっていった背後に、MCAの圧力というか、ビートルズやストーンズが流行ってるんだからやつらが使っている楽器に似たのをつくれとか、フェンダーに似せれば高く売れるんじゃないかとか、そういう類の貧しい発想が垣間見えもする。そんなこんなでダンエレクトロは1969年にその歴史の幕をいったん降ろすことになった。

こうして眺めてみると、エレクトリック・ギターが生まれたばかりの50年代には、いろんな可能性を模索する中で創意工夫に満ちたモデルが次々と生み出されてワクワクする感じだったのに、それが60年代中頃くらいから落ち着いてきてしまって、だんだん面白くなくなってしまうのが寂しいものですねえ。
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Danelectro VS Fender(5)

2009-07-06 00:25:10 | Dano Column
ステューデント・モデル対決でもしてみますか。
いわゆるステューデント・モデルというのは、文字通りまだ手の小さい子どもたちでも弾きやすいギター(小振りなボディとショートスケール)を低価格で提供するというものだけれども、そうすることでギター人口の裾野をひろげ、さらに大きくなったら本格的な高級ギターを手に入れるぞと思わせる市場拡大の戦略でもあるわけで。

ギブソンがレスポールジュニアをつくったのが1954年のこと、フェンダーもそれに追随して1956年に1PUのミュージックマスターや2PUのデュオ・ソニックをステューデント・モデルとして発表した。



アメリカにはすでにエアラインやシルヴァー・トーン(ダンエレクトロも含まれる)のような通販で売られる低価格ギターがあったし、日本やヨーロッパからも低価格のギターが大量に入ってきてもいて、子どもたちが最初に手に入れるギターとしての需要を満たしていた。クリスマスのプレゼントにおばあちゃんが買ってくれたシルヴァー・トーンとか、そういう類の話。

フェンダーのステューデント・モデルは1964年にムスタング、そして同名のアンプとセットで販売された1967年のブロンコへと続く。

    

こうした流れで、ダンエレクトロは1962年にアンプ・イン・ケースを開発した。これはギターケースにアンプが内蔵されたオールインワンのセットであり、教則ソノシートが付いていることもあったそうだ。これは初心者向けギターセットの先駆でもあり、アンプを別に持ち歩かなくてもいいという発想で、画期的であったとされているが、すでにテスコがアンプ内蔵のTRG-1を出していて、シルヴァー・トーンブランドで販売されていたことを思えば、それほどのことではなかったのかもしれない。

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Danelectro VS Fender(4)

2009-07-05 00:50:12 | Dano Column
ギブソンって創業者のオーヴィルはもともとマンドリンをつくっていたんだよね。カントリーというかブルーグラスというか、そういう音楽にはマンドリンはつきもので、1920年代にはマンドリンのエレクトリック化はすでになされていた。
で、ソリッド・ボディのエレクトリック・マンドリンは1954年にギブソンがEM-200というのをつくっていて、フェンダーも1956年にいわゆるマンドキャスターと呼ばれるエレクトリック・マンドリンをつくった。これは4弦で複弦にはなっていないのでマンドリンと同じ音域を持った新しい楽器ととらえることもできそう。



ダンエレクトロもまた、マンドリン的な要素を備えたギターを1958年に生み出した。これがギターリン。6弦ベースがギターとベースを合わせたようなものだとすれば、ギターリンはギターとマンドリンを合わせたもので、ロングホーンボディの深いカッタウェイを生かして、ネックにフレットを打てるだけ打ってみたというもので、多フレットのギターとして史上初といえる。31フレットでマンドリンの音域をとりあえずカバーしているが、ハイポジションでの演奏は難しい。



さらに1961年にはシングル・ネックの12弦ギターとしては史上初のベルズーキをつくった。これはブズーキという、大きいマンドリンのような民族楽器を模したものだが、ブズーキがギリシャからアイルランドに渡ったことを踏まえると、アメリカのカントリーミュージックがアイルランド民謡などの流れを汲んでいることからも、ベルズーキはエレクトリック・ブズーキとして、カントリー・ミュージックの演奏に使用されることを想定していたと考えることもできそうだし、エレクトリック・マンドリンの変種ととらえてもいいかもしれない。



12弦ギターはビートルズやバーズによってロック・サウンドに取り入れられていくが、フェンダーがElectric XIIを出すのは1965年のこと。

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Danelectro VS Fender(3)

2009-07-03 20:43:45 | Dano Column
そんなわけで、量産型エレクトリック・ギター、ベースの原型はフェンダーがうまいことやってしまったわけで、あとは材の質を高めたり組込精度を高めてハイエンド化していくか、逆によりローコストにするくらいしかできることはない。ダンエレクトロは後者の典型ということになるだろう。

そんななかでダンエレクトロはニッチ産業的なアプローチをする。変態競争を仕掛けたと言ってもいいかもしれない。そしてフェンダーはこれを受けて立った(ように見える)。

1951年のプレシジョンベースは革命的だった。ウッドベースに比べて持ち運びがしやすいし、大音量を得るのも容易になった。そしてネックにフレットを打ち込んだことで、名前の通り正確な音程を得ることも容易になった。このことはギタリストがベースを弾くことを容易にもしたわけだ。

ギターと同じような感覚でベース演奏が可能になれば、ということでダンエレクトロは1956年に史上初の6弦ベースを出す。現在ではバリトンギターと呼ばれるようになったが、当時はあくまで6弦のベースであり、通常のギターの1オクターヴ下でチューニングするように広告でも明記されていた。もちろん、高音弦をまじえればギター的にも使える。この6弦ベースは主流にはならなかったが、レコーディング等にしばしば使われるようになった。



この、ギターとベースの中間のような6弦ベースをフェンダーも1961年に世に送り出す。これがBass VIである。ビートルズやジャック・ブルースらの使用によって6弦ベースを代表するモデルにはなったが、フェンダーがダンエレクトロに先を越されたといったところ。



ダンエレクトロは4弦ベースにおいてもショートスケールを採用するなど、取り回しが楽で、ギタリストが演奏しやすいモデルを出していったが、1959年にはショートホーンモデルの4弦および6弦ベースを出した。これはギターと全く同じサイズで大胆に15フレットまでしかないネックをつけたものだった。



このショートホーンベースを意識して、ということは実際はなかったと思われるが、フェンダーも15フレットまでしかないベースを1965年に出した。これがBass Vである。このベースは15フレットまでしかなくてもサイズはプレシジョンベースを上回り、高音弦を1本加えた史上初の5弦ベースで、これによってプレシジョンベースの音域をカバーしている。しかし、この奇妙なベースはあまり歓迎されず、現在は半ば忘れられている。



プレシジョンベースやジャズベースといったエレクトリック・ベースの王道のほかにBass VやBass VIといった変り種がラインナップされた背後にダンエレクトロの存在を垣間見るのも面白い。


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あのサイケなDanoも

2009-07-02 00:23:29 | Dano Info
2009 Danoも発売日が延び延びになっちゃって、今のところDanguitarsでは7月20日から配送するよと言ってるんだけど、社長のスペンサーは先月も長期ヴァカンスして、今月も一週間くらいヴァカンスするとかで、楽しそうだね。
まあ、それはともかく、例によって本家のサイトには何のアナウンスもないが、今年中にまた新たに新製品を出すようなんだね。

今度出るのはショートホーン。コンセプトはDEAD ONと同様、オリジナルに忠実といった感じ。コークボトルヘッドストックとオープンバックペグの復活、スタックタイプノブの復活、そしてローズウッドサドルも復活。色はブラック、コッパー、ホワイトの3種類のほか、なんとエリック・クラプトンがブラインド・フェイスの頃にちょっと使ってた、あのサイケペイントが再現されたモデルも出すんだって。

しかし、このサイケペイントはSGのものと違って、グチャグチャ塗りたくってるだけみたいな感じで私は好きじゃないんだけど。画像の右下にあるのがそうだけども、裏も表もどっちがどっちだかわかんないでしょ。
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Danelectro VS Fender(2)

2009-07-01 19:02:11 | Dano Column
ギターに関しては当然のことながらフェンダーが先んじていた。
1950年のエスクワイア(というかテレキャスター)や1951年のプレシジョンベースは、量産化に成功したエレクトリック・ギター、ベースとしては史上初ということになっている。



ソリッド・ボディで、ネックとボディをボルトでジョイントする工法は当時としてはありえなかったわけで、板切れに弦を張っただけとか、トイレの便座みたいだとか散々な言われようだったそうだけど、こうした工法の採用によって製造工程が簡略化され、量産化できるようになったのである。
エスクワイアの特徴としては1ピックアップでありながら、3wayのスイッチでトーンを切り替えることができるというのもある。リアの位置ではトーンをバイパスし、センターではトーン回路を通り、フロントの位置ではトーンが0の状態になるというもの。

ダンエレクトロが初めてギターをつくったのは1954年のこと。ソリッドボディではないものの、フェンダーと同じようにボルトオンネックを採用し、フェンダーよりもさらにローコストのギターをつくり出した。


その後、1956年にUシリーズを出すのだが、その1ピックアップのモデルにエスクワイアと酷似したトーンスイッチを採用した。これはフロントの位置ではトーン回路を通り、センターではトーン回路をバイパス、リアの位置ではローがカットされるというもの。


ダンエレクトロがギターを初めてつくった頃にフェンダーはすでにストラトキャスターを生み出していた。ダブル・カッタウェイ、バックとエルボーにコンター加工がなされたボディにより、プレイヤビリティの向上が図られたのに加え、ピックガードに電装系をすべて取りつけることによって、さらに製造が容易になった。

ダンエレクトロは1959年にショートホーンシリーズを出すのだが、ここでストラトキャスターのように電装系をすべてピックガードに取りつけたモデルを出した。


ダンエレクトロはシアーズ&ローバックから通販で販売する低価格ギターをつくるよう要請され、それに応えるべくローコストのギターをつくっていくことになるのだが、その際、フェンダーの工法から多くを学んだだろうことは想像に難くない。

と、ここまではフェンダーの後塵を拝するダンエレクトロという構図であるが話はそこでは終わらない。
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