MINIシリーズの謎

2010-07-14 23:50:58 | Dano Effects
ダンエレクトロにはいくつかエフェクターのシリーズがあるが、なかでもMINIシリーズが最も種類が豊富で、エフェクターの定番アイテムはもちろん、往年の名機をコピーしたものもある。50年代、60年代のサウンドの再現がコンセプトなのかと思えば、ヘヴィ・メタルへの目配りもしていて、ヴァラエティに富んだラインアップが面白い。

このシリーズはDJ-1のオーヴァードライヴからDJ-25のクロマチック・チューナーまであるのだが、実はDJ-18とDJ-19、そしてDJ-23に該当する機種がないのである。ネットで検索しても出てこないので、製品化されたがすぐに廃番となったということではないと思う。はじめからそれらの番号が飛ばされてしまったようなのである。なぜ飛ばされてしまったのか、MINIシリーズの謎というのはこのことなのである。

日本では4、欧米では13というように、不吉な数字として忌避されるものがあるが、18や19、あるいは23という数字に何か不吉な意味合いがあるとも思えない。また、プロスポーツで優れた名選手が引退する際、背番号を永久欠番とすることがあるが、スポーツ好きのアメリカ人ならそれにあやかることもあるのではなかろうか、と思い調べてみると、確かに23はマイケル・ジョーダンの背番号で、シカゴ・ブルズではそれを永久欠番としているわけだが、いずれにせよ、永久欠番にあやかるなんていうのはもとよりありえない話だろう。

簡単に考えるならば、MINIシリーズを出すにあたっては、それまでダンエレクトロで出していた大きい筐体のエフェクター群をより小さいサイズで出すという意向もあったはず。であるとするならば、大きい筐体のシリーズにはあっても、MINIシリーズにはないものを拾ってみればよいということになる。

大きい筐体のシリーズにはあって、MINIシリーズにはないものといえば、
・SITAR SWAMI(シタール・シミュレーター)
・BACK TALK(リヴァース・ディレイ)
・FREE SPEECH(トーキング・モジュレーター)
の3つがある。

この3つのエフェクターをMINIシリーズにラインアップするつもりだったと仮定すると、MINIシリーズのDJ-17はディレイであり、DJ-20はロータリー・スピーカー・シミュレーターであることから、DJ-18はリヴァース・ディレイ、そしてDJ-19はシタール・シミュレーターにするつもりであったのではないか、と考えることはできそうだし、DJ-24がオート・ワウであることからDJ-23はトーキング・モジュレーターにするつもりであったのではないかと考えることもできそうである。

実際はそうならなかったわけであるが、小さいサイズに回路が収まりきらなかったのか、いくつか原因は考えられそうだが、案外とぴったりくるネーミング、つまり食べ物の名前が思いつかなかったことが最大の原因だったりするかもしれない。

と、あれこれ妄想を繰り広げてみたというわけ。
コメント (2)
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする

SWINGING LONDON 50's-60's

2010-07-13 21:25:52 | Music Life
埼玉県立近代美術館で開催中の「SWINGING LONDON 50's-60's」を見る。
ジミー・ペイジのステージ衣裳やダンエレクトロなどの彼が所有するギターを見ることができるというので、とりあえず行ってみたというわけ。

埼玉県立近代美術館はJR北浦和駅そばの北浦和公園の中にあり、黒川紀章の設計で知られているけれど、たまに面白い展示をやるので、今までにも何回か行ったことがある。

この展覧会はスウィンギン・ロンドンと銘打ってはいるものの、ピーター・ホワイトヘッドの「TONITE LET'S ALL MAKE LOVE IN LONDON」的なものというよりは、50年代から60年代のモダンな工業デザイン製品の展示といった感じ。ヴェスパやランブレッタ、あるいはロータス・エリート、モールトンというようなスクーターや自動車や自転車、ブラウン社のラジオやオーディオ製品、オリベッティのタイプライター、ニコンのカメラ、ソニーのポケットラジオやポータブルテレビなどが多数展示されたところに、テレキャスターやストラトキャスター、あるいはレスポール、リッケンバッカー、それにグレッチといったエレクトリック・ギターの展示があり、当時のファッションとしてマリー・クワントやポール・リーヴス、そしてザンドラ・ローズのデザインしたワンピースやスーツ、ドレスの展示があるといったところ。全体としては量に乏しく、物足りなさを感じるものの、当時のデザインに「萌え」な向きには楽しいひとときを過ごせるはず。

この展覧会の目玉の一つとして、ジミー・ペイジ所有のギターやステージ衣裳の展示があるのだが、ペイジのステージ衣裳はポール・リーヴスのデザインしたものが多数あり、この2人は親しい間柄でもあったそうだ。

「だのじゃん」的にはジミー・ペイジ所有のダンエレクトロを見に行ったというわけだが、展示されていたのは実際にステージで使われたことはなかったと思われる1ピックアップの3011だった。これは見た目では特に手を加えられたところもなく、オリジナルのままだろう。他にペイジ自身が所有するギターの展示はVOXファントム12弦の黒のみで、レスポールやSGダブルネックは本人所有と同じタイプのものが展示されている。

埼玉県立近代美術館スウィンギン・ロンドン50's-60's
コメント
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする

2010年のダンエレクトロ

2010-07-10 21:05:37 | Dano Info
ダンエレクトロの今年のニューモデルは、GET YOUR KICKS ON A '56という、「ルート66」にかけたキャッチコピーで、Uシリーズのリイシューであるとのこと。

Uシリーズのリイシューは今までもあったが、今回は通常のコークボトル・ヘッドに加え、シルヴァートーンで採用されたドルフィンノーズ・ヘッドや最初期のフルベル・ヘッドも再現。ドルフィンノーズのモデルにはHODADのような、リアにリップスティックを二つ並べたハムバッカー仕様が搭載されている。

そして、ドルフィンノーズ・ヘッドの4弦ベース(ロングスケール)もリイシューされるが、Uシリーズの4弦ベースは今回がはじめてのリイシューとなる。

色はブラック、レッド、アクア、コッパー、ホワイトなど。
コメント
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする

Dane A 1N12

2010-07-03 17:03:57 | Dano Guitars
ダンエレクトロのDaneシリーズは1967年から1969年まで生産された後期のシリーズで、AからEまであるが、Dane AシリーズはHawk、Dane BシリーズはSlimlineといったように、別なネーミングもされていて、MCAに売却されてからのダンエレクトロの混乱ぶりがうかがえるような気がしないでもない。

Dane Aはショートスケールのギターで18フレットまでしかない。シルヴァートーンのアンプ・イン・ケース・モデルやPro1のようなスチューデント・モデルとしてつくられたものと思われる。6弦と12弦、そして4弦ベースがある。ベース以外のモデルにはそれぞれ1ピックアップと2ピックアップのモデルがあり、ピックガードの形状に違いが見られる。



ブリッジはPro1と同様、金属を折り曲げただけの簡素なものだが、オプションでハンドヴィブラートの付いたものもあった。その仕組みはブリッジを前の部分で2点止めし、後ろの部分をボディから浮いた状態にし、そこにアームバーを取りつけ、浮いた部分を上下させることでヴィブラート効果を得るというものだが、やはりオクターヴ・チューニングは合わない。ショートスケールで12弦に金属を折り曲げただけのブリッジというのはさすがに無謀といったところで、アート・リンゼイのようにノン・チューニングでかきむしるように弾くくらいしかできそうもないわけだが、このギターで超絶なプレイをキメてしまうスティーヴ・ハウはやはり常人の域を超えたギタリストだと言えるだろう。

 

私が手に入れたものはあまりいい状態ではなく、全体は雑にリフィニッシュされ、表面が粒立っているところがあり、しかもクリアが吹かれていない。ナットも磨耗しているし、フレットも何度かすりあわせを施されているようだが、けっこうガタガタになってきている。そしてほとんどのビスがオリジナルではない。さらにブッシュが4個とコントロールノブが1個なくなっている。ボディエンドのストラップピンもなかったが、これは手持ちのものを取りつけた。

このように問題が多い個体ではあるが、なかなか出てこないモデルなので、とりあえず音さえ出てくれれば満足。できればオリジナルの状態に復元したいところではあるが、当時のパーツを揃えるのは困難なので、時間をかけてゆっくりやっていきたい。
コメント (6)
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする