ローリング・ストーンズ8年ぶりの来日というタイミングで私のもとに届いたのはAndy Babiukの「ROLLING STONES GEAR」という本だ。これはタイトル通り、ストーンズのメンバーがレコーディングやライヴで使用した楽器を網羅した大著であり、前作の、ビートルズのメンバーがレコーディングやライヴで使用した楽器を網羅した「Beatles Gear」と比較すると2倍以上の厚さ、重さがある。ストーンズの活動歴や歴代メンバーの数を考えれば当然のことではあるが、著者によれば、この本をまとめあげるのに9年の歳月をかけたという。この歳月の重みがさらに加わって、この本は気軽に寝そべりながらページをパラパラとめくることを許してはくれない。本の重さ、それがこの本の数少ない欠点だろう。しかし、一度棚に入れてしまったら二度と手に取ることがないままに終わってしまう可能性を考えれば、この欠点は案外致命的なのかもしれない。
この本は、ストーンズのツアーやレコーディングなどに関するドキュメントが編年体で構成され、その中に使用楽器についての記述がなされているのだが、ライヴやスタジオでの写真には面白いものが数多あるにせよ、メンバー個々の楽器については細部にわたる詳細な記述がなされているというほどではないため、その方面にはあまり期待しないほうがいい。
「だのじゃん」的には当然のことながら、ダンエレクトロやシルヴァートーンのギターについて何か書かれてないかと探してみたわけだが、これほどの大部な著作にあっても、ロン・ウッドのエレクトリック・シタールとミック・ジャガーのシルヴァートーン1457以外は一切何も書かれていない。ストーンズとダンエレクトロについては、以前記事を書いたことがあったが、どれほど掘り下げてみても、やはりストーンズとダンエレクトロは縁が薄かったというわけだ。
ちなみに、ミック・ジャガーのシルヴァートーンについてはミック本人のコメントが引用されている。
「新しいアルバム(A Bigger Bang)で俺が弾いてるのは、50ユーロで買った本当に素晴らしいギターなんだ。と言っても、俺はスライドしかやってないよ、なんてったって指板がクソだからね」
ROLLING STONES - BACK OF MY HAND ( live) Bigger Bang Opening Night 2005