tuners

2018-03-15 19:08:26 | Dano Effects


ダンエレクトロのミニペダルシリーズには2タイプのチューナーがある。ひとつはギター・ベース用チューナー(DJ-11)で、もうひとつはクロマティック・チューナー(DJ-25)であり、どちらも青系の筐体である。

一般的にはあまり知られていないことのようであるが、これらのチューナーにももちろんそれなりの名前はつけられていて、DJ-11は「Lemon Pitcher」、DJ-25は「Blueberry Muffin」という。「レモンピッチャー」となったのは、ディスプレイ部の扇形がレモンの輪切りのように見え、しかも筐体全体の形が広口のピッチャーのように見えるからだろうと思われる。とはいえ、今まで食べ物の名前で通してきて、ここにきてレモンピッチャーとはいかがなものか、例えその中に入っているのがレモン水だとしても、かなり厳しい感じがする。それゆえ、この名前は次第にフェイドアウトしていくこととなった。

その後に登場したDJ-25は「ブルーベリーマフィン」と、一応は食べ物の名前になったのだが、これも単純に筐体の色から連想されただけのようなので、この名前もいつのまにかどこかへ消えてしまったのであった。このチューナーの後、ミニシリーズは18・19・23の、3つの欠番を残して終焉してしまった。

名前はともかくとして、これら2つのチューナーは、チューナーとしての精度とは別に致命的な欠陥がある。それは視認性がすこぶる悪いということである。エフェクトボードに組み込んで、ライブの合間にチューニングという状況では、ほとんど見えないのではないかと思われる。大昔なら、サイズが小さいチューナーであるということは大きなアドバンテージとなりえたかもしれないが、現在のように、手軽に扱えるクリップチューナーがあり、しかもその精度がかなり高くなっている状況においては、もはやこれら2つのチューナーの出る幕はなくなってしまったと言うほかないのではなかろうか。
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Black Licorice

2018-03-13 21:28:27 | Dano Effects


ダンエレクトロのメタルディストーションにはBlack Coffeeのほかにもう一つある。それはBlack Licoriceといって、これもまた黒い筐体なのであった。

このペダルにはLEVELとBASS、そしてオクターブ下の音を出すためのミニスイッチがついている。ディストーションペダルであっても歪みを調節できないのは、Grilled Cheeseと同様である。

このペダルをBlack Licoriceと名づけたのはなぜか。その前に、このBlack Licoriceとはいったいどんな食べ物なのかを調べてみると、グミで有名なHARIBOのSCHNECKENと同様の菓子であった。これは漢方薬にも使われる甘草を主な原料とし、ひも状に長く伸ばしたものを渦巻きのようにしたものである。食べるときには渦状のものをびよーんと伸ばしながら少しずつ食べるわけだ。この菓子の歴史は古く、ヨーロッパの子どもたちには親しまれているらしいが、日本人の口には合わないようである。



Black Licoriceの複雑な味わいは「微妙な不味さ」と感じられる。この「微妙な不味さ」が菓子とペダルに共通する属性であるだろう。このペダルの持つオクターブ下の音はいつまでも消えずに口の中に残る不快な後味のようでもある。

この「微妙な不味さ」はもう一度食べてみようという気持ちを萎えさせるが、このペダルの方ももう一度踏んでみようという気持ちにさせない奇妙なものである。
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Black Coffee

2018-03-06 19:50:08 | Dano Effects


ダンエレクトロはミニシリーズにおける歪みペダルについては、肉を食材とした料理に由来する名前をつけてきた。しかしながらここに紹介するペダルについてはこの限りではなく、「Black Coffee」とネーミングされた。

このペダルはメタルディストーションで筐体も黒い。こうした黒い筐体のメタルディストーションといえば、やはりBOSSのHm-2「Heavy Metal」が最初のものとなるだろうが、メタルと言えば黒というイメージが強いため、さすがのダンエレクトロといえども、そのイメージの呪縛に抗しきれなかったということだろう。であるならば黒い肉ではダメだったのだろうか。黒い肉というと、焼いたというよりは燃え焦げて炭のようになった肉であり、それはもはや料理もなければ食べ物でもないだろう。さすがのダンエレクトロといえどもこうしたネーミングを採用するわけにはいかない。



黒くてもよいものであればブラック・コーヒーあたりは無難なところであろう。しかしブラックコーヒーは苦味であり、それがメタルのイメージには結びつかないところがある。むしろブルースに近いのではないかとも思う。

そしてこのペダルにはLEVEL、BASS、TREBLEの3つのノブがあるのだが、それらの設定によっては意外にもBBキングのようなサウンドを出すことができるのである。このペダルはメタルディストーションとしては中途半端で、ブルージーなディストーションとして、というように、むしろ本来とは違った使われ方で評価されているペダルなのである。

例えば、以下の動画。

Blues Jam 08 + Danelectro Black Coffee Metal Distortion
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PB&J

2018-03-01 19:18:30 | Dano Effects


ダンエレクトロのミニシリーズにはPB&Jと名づけられたペダルがある。



PB&Jとはピーナッツバター・アンド・ジェリー(ジャム)の略称で、パンにピーナッツバターとジャムを塗ったサンドイッチのことである。

ペダルのほうに話を戻すと、これにはMIX、SPEED、REPEATの3つのコントロールノブのついたディレイのペダルである。フットスイッチは2つあり、on/OFFを切り替えるものと、ショート・ディレイとロング・ディレイを切り替えるものとなっている。

ショート・ディレイとはスラップ・エコーのようなものであり、ロング・ディレイは弾いたフレーズが戻ってくるいわゆるディレイである。

ダンエレクトロはスラップエコー専用のペダルをBLTと名づけている。このことからエコー系のペダルにはサンドイッチの名前をつけて統一を図ろうとしたように考えることはできる。BLTとPB&Jはどちらもアメリカ人にとってはなくてはならないものである。

しかし、PB&Jの中心的な食材であるピーナッツは卵や牛乳と並び称される三大アレルゲンの一つである。アレルギーには即時型の反応と遅延型の反応があり、即時型の反応はImmediate Reactionと呼ばれ、数分で反応を開始し、中にはアナフィラキシー・ショックで死に至る場合もある。遅延型の反応はDelay Reactionと呼ばれ、反応の開始が遅く、経過が長くかかるものである。

ショート・ディレイとロング・ディレイの2つの機能をPB&Jによって何らかの形であらわそうとしたと考えるならば、こうした2つのアレルギー反応がイメージされているのかもしれない。また、すりつぶされて原型をとどめていないピーナッツがショート・ディレイ(スラップ・エコー)か、ジャムが原料の果実の原型をとどめているであれば、フレーズを繰り返すロング・ディレイに対応すると類推することはできなくもない。

このペダルの用時の問題はショートとロングを切り替えたとき、どちらにしてもまともな音が出るように設定するところにある。ダンエレクトロのマニュアルでは、MIXを2時、SPEEDを2時、REPEATを11時くらいの位置にしている。
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Bacon 'n Eggs

2018-02-18 10:48:33 | Dano Effects


ベーコン&エッグはアメリカ人の朝食にはなくてはならないものらしい。それは要するにエレクトリックギターにとってなくてはならないアンプと歪みのようなもので、ポケットアンプとディストーションエフェクターの機能を兼ね備えたペダルにベーコン&エッグと名づけたのはダンエレクトロならではといったところだろう。そしてこの場合、ベーコンが歪みでエッグはアンプ(スピーカー)というわけ。



さて、このペダルであるが、特徴としてはコントロールノブが一つもないというところだ。ケーブルをつなげばミニアンプとして、さらにアンプにつなげばディストーションとして。コントロールするのはギターの方であり、アンプの方だ。面白いのはアンプとして使用した場合、歪ませずにクリーントーンを出すのが難しく、アンプにつないだときはその逆に、歪ませるにはアンプの方もある程度歪ませた状態にし、それをブーストするという感じにしないとなかなかうまく歪んでくれない。

しかし、持ち運びは楽だし、電池駆動で音割れはするものの、気軽にギターの演奏を楽しめるという意味で、持っていれば持っていたで使いどころはいろいろといった感じ。
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Chili Dog

2018-02-15 22:26:41 | Dano Effects
メロンソーダとチリドッグそいつがあれば生きて行けると思ってるオレはケツの青い最新型のピストル 
-Blankey Jet City 「D.I.Jのピストル」



ダンエレクトロにはチリドッグと名づけられたペダルがある。それはオクターバーで、2オクターブ下と1オクターブ下と原音をミックスできるように3つのコントロールノブがある。おそらくはBOSSのOC-2を参照していると思われ、サウンド的にも傾向は似ている。

オクターバーはギターとベースをユニゾンさせたような音をギターだけで出すことができるため、フュージョン系のギタリストに重宝された。また、音が多層化しているので、激しく歪ませることによってその隙間を埋め、アグレッシブなサウンドにすることもできるということでグランジなどでも使用された。



チリドッグと名づけたことをどう考えるかといえば、このチリドッグという食べ物はその原型としてホットドッグがあり、そこにチリコンカン(挽肉とタマネギを炒め、トマトやチリパウダー、インゲン豆などを混ぜたもの)を投入し、さらにチェダーチーズをふりかけて味を多層化していく。これはフランクフルトにケチャップとマスタードといった味のすきまを埋めていくようでもある。

さしずめ、ホットドッグを原音と見立てたオクターバーがチリドッグのようだということでそのように名づけられたのではなかろうか。

オクターバーは今ではギターよりはベースで使用されることが多いように思う。実際、オクターバーをかましてギターを弾いていると確かに面白いのだが、これをどう楽曲に活かすかを考えると途端に悩んでしまう。しかし、それがベースラインであれば、オクターバーをかましたほうがファンキーさが増すような気がしてくるのだから不思議なものだ。
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Hash Browns

2018-02-12 20:21:12 | Dano Effects


フランジャーというのは、その昔、2台のテープレコーダーを同時に再生し、そのうちの1台のテープの縁(フランジ)に指を当てたりしてほんの少し遅らせることによって得ていた独特のうねりを持ったサウンド効果を電子的に再現したものである。

ダンエレクトロのミニシリーズのフランジャーはハッシュブラウンズと名づけられたが、これは細切りにしたジャガイモをフライパンやオーブンで焼いた料理で、小判型や丸型に整形するのが一般的。アメリカではベーコンや目玉焼きとともに朝食には欠かせないものとされている。



ダンエレクトロのフランジャーにはノブが3つある。左からSPEED、REGEN、WIDTHとなっているが、RATE、FEEDBACK、DEPTHのほうが一般的かもしれない。SPEEDはうねりの速さ、REGENはサウンド効果の強さ、WIDTHはうねりの深さをそれぞれ調整するものである。70年代はジェットサウンドがよく使われたり、ファンキーなカッティングに使われたりしたが、フランジャーを有効に使ったギタリストといって最も知られているのはやはりエドワード・ヴァン・ヘイレンということになるだろう。このエディのギターサウンドは「ブラウンサウンド」といわれている。ブラウンサウンドとは何かということについては、様々な議論がなされているのでそこには踏み込まないが、マーシャルの歪みとMXRのフランジャーがそのサウンドを特徴づけていたわけであり、ダンエレクトロとしてはブラウンのついた食べ物を必死に探したのではないかと思われる。

というわけで、今回はハッシュブラウンズそのものではなく、ブラウンサウンドにつながっているというところで。
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CORNED BEEF

2018-02-11 09:05:31 | Dano Effects


コンビーフはCorned Beefと綴る。「塩漬けの肉」という意味で、トウモロコシのような粒の大きい岩塩を使用したことに由来する。保存用の食料として軍隊でも用いられた。日本では台形の缶詰となった製品が最も一般的である。食べてみると、ほぐされて筋状になった肉が複雑にからまっていることがわかる。



リヴァーブはRevaerbと綴る。Re+Verbということだ。Verbは「動詞」という意味で使われるが、ラテン語までさかのぼれば「言葉」という意味であったことがわかる。発した言葉が返ってくる「やまびこ」のような、噂話が様々な尾ひれをつけて発信元に戻ってくるというようなイメージがリヴァーブということか。

現在リヴァーブといえば、一般的に残響を意味する。部屋の中で音を聴くとき、聴いている者には直接音のほかに、壁や部屋にあるあれやこれやに反射して空間をへめぐった後に届く音も聴こえるのだが、そのわずかだけ遅れて届いた音を残響として認識するというわけである。それは下の図のようにあらわされる。



この図では音を線であらわしているのだが、当然のことながら、実際はこの線は無数にあるものとして考えなければならない。そして空間内を複雑にからみあって聴く者の耳に届いているのだ。それはまるで缶の中で複雑にからまりあっている筋状の肉のかたまり、つまりコンビーフのように見えてこないだろうか。

さて、ダンエレクトロはミニシリーズのリヴァーブペダルに「コンビーフ」と名前をつけた。上記はその理由を例によって類推してみたものである。

このペダルにはMIXとHI-CUTの二つのノブがある。MIXを右いっぱいに回し、HI-CUTをそれとは逆に左いっぱいに回した設定が、このペダルで最もリヴァーブが深くかかっている状態である。多くの人はこのサウンドをスラップバックエコーのようだと思うだろう。そうなると、前回紹介したBLTとどう違うのかということになってくるのだが、リヴァーブもしくはエコーとしてのみ考えるならばそれほどの違いはないと考えてよいのかもしれない。しかし、このペダルの使い道を他に探るとするなら、MIXを左方向に、HI-CUTを右方向にそれぞれ回していきながら、残響音はしないが、ギターの音は少し湿り気を帯びて光沢感が出てくるというような、そんなポイントをうまく活用するといった感じでどうだろう。
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BLT

2018-02-04 19:47:08 | Dano Effects


ダンエレクトロのミニシリーズにはBLTと名づけられたペダルがある。これはスラップエコーに特化したエフェクターで、MIXとREPEATの二つのノブがある。

スラップエコー、あるいはスラップバックエコーとは、オープンリールテープデッキの録音ヘッドと再生ヘッドの間の距離、言い換えればテープが録音ヘッドから再生ヘッドを通過するまでの時間差を利用したエコーのことである。

このペダルがBLTと名づけられたのはなぜか。



そもそもBLTとはサンドウィッチの定番であり、ベーコンとレタス、そしてトマトをパンにはさむもので、それぞれの食材の頭文字を取ってBLTと呼ばれるようになったという。ベーコンの脂の甘みと塩味が基調となり、そこにレタスが心地よい食感を与え、トマトはフレッシュさと酸味を加えるというわけで、食材の組み合わせは絶妙に調和している。しかし、このようにシンプルなものであってもおいしくつくるためには外せないポイントがあり、それは野菜の余分な水分を十分に取ることである。

余分な水分を十分に取る。これをエコーの話に戻せば、ミックス音が大きすぎたり、リピートが多すぎたり、ディレイタイムが長すぎたりするとスラップバックエコーにはならないので、余分なエコー成分を取らなければならない。しかし、このダンエレクトロのBLTであればそのために設定をいじる必要もなく、ロカビリーやサーフ・ミュージックに必要なスラップバックエコーのサウンドを容易に出すことができるようにつくられているというわけなのである。
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T-Bone

2018-01-30 21:03:52 | Dano Effects


ダンエレクトロのミニペダルシリーズ、その中のディストーションはT-Boneと名づけられた。



T-Boneは牛肉のステーキで、背中のサーロインと腹部のフィレ、2つの部位がついた骨付き肉を焼いたものである。その骨(脊椎骨)がアルファベットのT字形をしているところからその名がついた。脂身の甘さを特徴とするサーロインとそれとは対照的な脂身の少ないフィレの両方を味わえるということから、ディストーションペダルの音を歪ませる機能とアンプの音を持ち上げるブースターとしての機能という、2つの違った機能を表しているように思われる。

このペダルはコントロールがLEVELとDISTORTIONの2つなので、MXRのDISTORTION+を参照しているように思われるが、ひとつ気になるのはこのペダルの商品説明に60'sDISTORTIONと記されていることだ。MXRのDISTORTION+が登場したのは1974年頃のことであり、それ以前にディストーションと呼ばれる歪みペダルは存在しなかったはずで、60年代に存在したのはファズトーン、ファズフェイス、そしてトーンベンダーといったファズペダルか、あるいはレンジマスターのトレブルブースターのようなものであった。

ここで奇妙な符合に思い当たったのだが、トーンベンダーとトレブルブースターという60年代ブリティッシュロックを支えたペダルとT-Boneのイニシャルが同じTBなのである。だからといってT-Boneがそれらのクローンであるというわけではないにしても、それらから生み出されたサウンドを意識してつくられたペダルであったのではないかと推測される。確かにT-Boneをフルアップした時のサウンドはファズっぽいと言えなくもない。

T-Boneのサウンドにおける特徴としては出力が弱く、高域が出ないため音はこもり気味、DISTORTIONを3時以降にするとノイズが増え、サスティンがどこまでも伸びていくというようなものであるため、モダンで適応力の高いディストーションではなく、使いどころを選ぶものである。例えばクリーム時代のエリック・クラプトンのギターサウンド、いわゆるウーマン・トーンなどは得意分野であり、60年代後半から70年代初頭くらいまでのクラシック・ロックにはぴったりくる感じ。
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