「花の色はうつりにけりないたづらに・・・」と、時の流れの早さと、我が身の老いを嘆いたのは小野小町。

「久方の光のどけき春の日にしづ心なく花の散るらむ」と詠った紀友則は、春の光の中で、咲き始めた花とあわただしく散る花に、浮世の儚さを嘆く。

少しばかり寒さが緩んだとはいえ、花曇りの冷たい風にもめげず、産声をあげたばかりの墨田公園の桜の下では、花の宴が繰り広げられていた。

江戸の昔、吉原通いの通路としても栄えた山谷掘は、今は埋め立てられて山谷掘公園となり、台東区の桜の名所のひとつとして、憩いの場所になっている。
既に八分咲きの山谷掘公園の桜も、花冷えに震えているようだった。



