勿忘草 ( わすれなぐさ )

「一生感動一生青春」相田みつをさんのことばを生きる証として・・・

丘の上の眼日記・その2

2009-03-09 20:33:21 | Weblog
 午後から始まった手術は全部で10人。全て院長の執刀で行われる。白内障の手術は簡単といわれるが、控室で待つ間の緊張は高まる。

 一番目の患者さんは、誰もが知るあるプロ野球チームの4番打者だった超有名選手の奥様。控室で待つ僕の前を、手術が終わり車椅子で通り過ぎた。

 手術室には2台の手術台。その台の上で眼に麻酔注射を打ち、準備を整えて前の患者の手術を待つ。診察の時、麻酔注射は痛いと聞かされていた。「両目を開けて下さい」の指示に、「エッ!」っと驚く僕を無視し、看護士さんが「はい、ここを見てください」と、手術の眼と反対側に手をかざす。

 下瞼に注射針が付き刺さる。思わず「ウゥ~」っと呻くと、注射担当の女医さんと看護士さんも一緒に唸った。そして3人で笑った。思ったより痛みはなかったが、怖さが先に立つ。

 顔を覆われ、手術台の上で隣の手術台で行われる手術をじっと待つ。その時間の長いこと、身体中が固まる。

 前の人の手術が終わり院長は部屋を出た。インターバルをとって戻る院長の足音に、いよいよ僕の手術の始まりを知る。

 名前を呼ばれ「それでは始めます」の院長の声に、「お願いします」と返事をし、覚悟を決めた。

 静かに進む手術は、意識もあり音も聞こえる。恐怖心を紛らすために他の事を考える。

 佐伯院長の「はい、無事に終わりました」の声に、「ありがとうございました」と答え、長く感じた手術時間を看護士に聞くと、19分だといわれた。

 明日の診察まで眼帯は外せない。期待と不安が入り交じり、今夜も眠れそうもない。

PS。
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