石原慎太郎の「完全な遊戯」精神障害の女を男達が犯し、売春宿に売り飛ばすが女が逃げるので、崖から突き落として殺す、というストーリーである。まず感じたことは。氏が非常に誠実な勇気ある作家だな、ということである。(別におもねっているわけではない)そんな小説を書いて発表すれば、文壇から、激しく非難されるに決まっていることは、わかりきっているじゃないか。実際、文壇から激しく非難された。しかし、それを覚悟の上で、自分の表現したいものを書いて、発表したのだから実に勇気がある。自分の本心でないのに、人道的なきれいごとの小説を書いて文壇うけを狙おうとしている人より、ずっと誠実である。しかし、氏がそれを書いた意図はわからない。人間というものは、ここまでキタないことが出来るんだぞ、という、人間性を直視して、それを表現してみようとした実験小説、なのではないかと思う。新潮社の「太陽の季節」に収められている作品では、氏の「処刑の教室」が印象的だった。特にラストが。ラストはリンチの場面である。リンチされて殺されていく人間の視点で、ストーリーを書いている。そもそも、人間をリンチする小説というのは、発表した当時では、極めて少なかっただろうと思う。今では、ハードボイルド小説では、リンチのシーンはめずらしくない。しかし、勝目梓氏のハードボイルドにせよ、小説の視点は、リンチする方の人間である。リンチされる側の視点で、リンチのシーンを書いてみた、というのも、非常に実験的な意図を感じる。三島由紀夫の「サーカス」は、サーカス小屋を逃げ出した少年と少女が、非情なサーカスの団長によって、可哀想に死んでいく話だが、あれは、三島由紀夫のサディズムの愛が見え見えなところが、おかしくて笑ってしまう。しかし、石原氏は「完全な遊戯」をサディズムから書いたのでは、まずない。
手塚治虫は、生命の尊さ、をテーマにした漫画がほとんどだが。「悪」を描いた作品もある。氏の「バンパイア」は、狼に変身するトッペイより、悪のかぎりを尽くすロックの方が主人公で、「悪」を描きたかったように見受ける。
梶原一騎の劇画も、そのテーマは、絶対くじけない強さ、根性、友情、愛、などと人間の、良い徳性を描いた作品がほとんどだが。「人間凶器」や「斬殺者」では、人間の「悪」がテーマである。石原氏は、暴言ばかり吐く、などとも言われているが、氏の言葉づかいを荒くしているのは、ウソの記事ばかり書く某新聞社に対する正当な怒りからである。氏は、気性が激しく、度胸があり、前回の選挙では、「みんな腰抜けばかり」と言ったが、そう言われても事実だから仕方がない。ともかく氏は言動一致の作家である。
手塚治虫は、生命の尊さ、をテーマにした漫画がほとんどだが。「悪」を描いた作品もある。氏の「バンパイア」は、狼に変身するトッペイより、悪のかぎりを尽くすロックの方が主人公で、「悪」を描きたかったように見受ける。
梶原一騎の劇画も、そのテーマは、絶対くじけない強さ、根性、友情、愛、などと人間の、良い徳性を描いた作品がほとんどだが。「人間凶器」や「斬殺者」では、人間の「悪」がテーマである。石原氏は、暴言ばかり吐く、などとも言われているが、氏の言葉づかいを荒くしているのは、ウソの記事ばかり書く某新聞社に対する正当な怒りからである。氏は、気性が激しく、度胸があり、前回の選挙では、「みんな腰抜けばかり」と言ったが、そう言われても事実だから仕方がない。ともかく氏は言動一致の作家である。