ほとんど全ての人間は、プロ野球や、プロサッカーなどに於いて、どこかのチームのファンになるらしい。私にはこの感覚がわからない。ファンが、どこかのチームや選手を応援するのはいい。しかし、その球団に対する愛着が強すぎるのか、ナイスプレーに対して賛辞するのはいいけれど、打てなかった時、ブーイングする、という感覚が、私にはわからない。選手は、自分のために努力して生きているのであって、それ以外の何物でもない。ファンはチームや選手を、かってに応援しているのであって、ファンと選手の間には、何の関係もない。ファンと選手の関係は赤の他人である。誰しも、何か自分がやっていることを、他人に、「上手い」だの「下手」だのと感情を入れて言われれば不愉快なはずである。ただ政治家とか公務員とか、公人に対しては、国民は、税金を払っているのだから、彼らの行為に対して、「いい」だの「悪い」だのと意見を言う権利はある。しかしプロスポーツ選手と国民はそういう関係ではない。スポーツ選手は公人ではなく、私人である。私人であるファンが私人であるスポーツ選手に、(誉めるのはいいが)ブーイングするという感覚が私にはわからない。確かにスポーツ選手も、公人ではないけれど、ファンがいてくれるからこそ、収入があって、プロスポーツというものは成り立っている。だから忖度するに、ファンはオレ達が、入場料払ってやってるんだから、プロスポーツが成り立っている、だからブーイングする権利があるんだ、という感覚なのだろう。それはそれでいい。ファンと選手の間には感情的な黙約がある。人間とは他人に委託するのが好きな動物である。
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