英検 1 級の 2 次試験が近づいてきましたね。
僕も、このブログを通して、皆さんのコメントに支えられ、2012 年度の第一回試験に運よく合格出来たので、何かお役に立つ情報を提供したいのですが、こと英語そのものについては、浅学な僕はお役に立つ情報をご提供することは出来ません。
僕のように、1 次試験は 6 回受けてようやく合格、2 次はなんとか 1 回で合格出来ましたが、自己採点では、50 点程度だか、試験官の心証がよかったのか、76 点(自分の受験した出来のレベルも把握できていない、すなわち、まぐれ)というような不出来な受験者はたぶん勉強方法も間違っているのでしょう。
決して謙遜ではなく、自分の英語力が未熟なことは自分が一番よく分かっています。
洋画を見ても英語は半分も聴きとれず、購読を続けている 『 TIME 』も頭を絞ってよほど集中しても、日本語を読むスピードの 3 分の 1 にも達しません。
僕が提供出来るのは、自分はこうしてきた、という自分の学習の経緯の記録と紹介および現在まだやっていることの紹介だけです。
英検 1 級の英語そのものについていえば、1 次はいつ受けても常時 100 点以上(満点は 113 点)、2 次は85 点以上(満点は 100 点)の方は、本当に英語の実力がおありだと思いますので、そういう方からの情報提供は、ブログの記事や本が沢山出ていますので十分に検討してみる必要があります。そして、その多数の情報の中から、自分の性格やライフスタイルや学習に使える時間を考えて、自分に会う方法を選択されればよいと思います。
従って、ここからは、完全に僕の個人的な持論、むしろ邪道にしかすぎません。
英検 1 級に関しては、英検協会は、完全に英語のみの能力を計るテストにするため、他の専門分野(医学や生命工学や会計学など、英語以外の専門知識)を持った人に有利にならないように、長文読解問題などでは、中立な(ほとんどの人が知らない)トピックを選ぶようにしている、と謳っています。
これも一理あると思います。主に帰国子女の方ですが、専門知識を持つまでに至っていない小中学生でも、突出した英語力がある人は英検 1 級に合格しています。
しかし、僕の個人的考えですが、英検協会の謳っていることは問題作成者は作成時に一応そのような努力はしていると思いますが、100 % 英語力だけを測定する問題を創るのは不可能だと思います。
鶏が先か、玉子が先かの議論になりますが、言語はどの国の言語であっても、何か伝えたい意志や情報や思想があって初めて発達してきたものです。言語が先にあって、その後に意志や情報や思想があるわけではありません。
意味のない記号の羅列ではなく、言語である以上、必ず情報や意志や思想、すなわち背景があります。
僕が100 % 英語力だけを測定する問題を創るのはほぼ不可能だという根拠は、昨年 2004 年度版から 2012 年度版までの過去問題集を全て 2 回ずつやってみましたが (2004 年度版、2006 年度版、2008 年度版 の 3 冊はアマゾンで中古品を手に入れました。新品より高かった。) 長文読解問題のうち、自分の好きな、よく知っている歴史や芸術を扱った問題はほぼ満点が取れましたが、自分がよく知らない生物や医学を扱った問題は 6 割~5 割しか取れませんでした。。。
背景知識が少しでもあると、興味から集中力も増し、また、速く読めます。ないとまず苦手意識の抵抗があり、かつ速く読めません。
何を隠そう、僕が 1 次試験に合格した2012 年第一回目の長文問題 (大問 3)の最初の問題はスタニフラフスキーの演劇の話で、スタニフラフスキーは知らない人は知らないでしょうが、演劇を少しでも齧った人には常識で、これは問題文をざっと読むだけで、選択肢だけ精読すれば解けました。
さらになにを隠そう、過去 6 回受けた 1 次試験のなかで、長文問題で 7 割の合格ラインを越えたのは、この 2012 年第一回の試験だけでした。
僕のように、ボーダーライン上をうろうろしていた程度の人間が合格したのは、実はこの程度の背景があります。英語力そのものは、試験と試験の間のインターバルの数か月程度の短期間にそうそう簡単に上がるものではないと思います。
よく英検 1 級の 1 次は合格するまで受ければ合格する、受け続けることが大事だと言われますが、ある程度 (70 点を超えるレベルの人)であれば、5 回、6回、10 回と受け続ければ、かならずそのうちの 1 回は、自分になじみの”背景知識”を持った長文問題に出くわします。ただし、背景知識だけで 10 点以上押し上げることはないと思いますが。
しかし、2 次試験については、個人的な体験から、”背景知識”がかなり影響すると考えます。日本語でも知らないこと、話せないことをを英語で話すことは出来ません。
かなり長くなりましたが、邪道ついでにその”背景知識”を高めるために、まとまったよい本はないかと考えたところ、ありました!
『137億年の物語ー宇宙がはじまってから今日までの全歴史ー (文芸春秋社刊)』写真 ↓
本の帯には小学校高学年から大人まで、とあります。なるほど、小学校高学年で読めますが、その中には、大学の教養課程、ある部分は専門課程で習うものと同じレベルのものが含まれています。しかも 20 年前ではなく、最新の発見や理論について触れています。難しいことを小学生にでも分かるように簡単に表現するのはたいへん難しいことです。定価は税込 3140 円とやや高価ですが、そういう意味ではこの本は名著ではないか、少なくともお買い得だと思います。
僕の個人的な感想ですが、英検 1 級の長文問題のトピックもほとんど網羅しており、2 次でも喋る話題が豊富になり、不自由しなくなることと思います。特に僕のように完全に文科系で、理科系のトピックを見ただけでアレルギーを起こし、白旗を上げる人には福音になろうかと思います。また、”背景知識”の獲得などとカタイことを抜きにして、読み物としても面白く出来ており、自分の知らなかった目からウロコの新事実を知ってワクワクしたりもします。
英語の発音と文法体系は日本語と全く違うので、基本的な反復練習は欠かせません。しかし、邪道かもしれませんが、英語をどう喋るか ( how to speak )から何を喋るか ( what to speak )の段階に入ってくると、英語そのものよりも、何を喋るか、喋る中身の勝負になってきますので、また僕の僅かな海外経験でも、英語はたどたどしくても (僕は全く自慢になりませんが、今でもよほど意識しないと TH の発音は出来ませんし、RとLの区別はつけられませんし、Aの発音は全てクリアAです。) 話す中身が面白いとネイティブはよく耳を傾けてくれるので、背景知識の蓄積もあながち無意味ではありません。
英語で読んだり聴いたりして自然に英語で背景知識を蓄積出来る人は、すでに英語の達人の域に達しているので、もはや英検 1 級を受ける必要はないでしょう。
僕のように英語での情報収集力、理解力が日本語のそれらと格段に開きがある場合は、逆説的ですが、このような日本語の本を沢山読む、ということも英語での内容を豊かにするために必要だと感じています。