夢かよふ

古典文学大好きな国語教師が、日々の悪戦苦闘ぶりと雑感を紹介しています。

淀江町辺

2015-08-05 22:45:25 | 短歌
松江歌会の前日、代表の方から電話があり、今回参加者が少ないので、詠歌を多めに用意しておいていただけないか、とのことであった。

一時(二時間)で百首などの速詠を競った新古今時代の歌人と違い、私はにわかにまとまった数の歌が詠めるわけはないので、先日「伯耆路をゆく」研修の後で、課題として旅の印象を詠み送った五首を、もう一度清書して持って行った。(研修の参加者が提出した詠歌は、後日、小歌集としてまとめられ、郵送されるとのこと。)

  淀江辺の青田をわたり風吹けば穂波の中に白鷺遊ぶ
  白鳳の昔淀江に寺ありし跡には白き夾竹桃の花
  大賀蓮は風に傾げりいにしへを偲ぶ古代の丘公園に
  神宿る孝霊山(こうれいざん)を見上ぐれば梅雨雲おほふ笠の形して
  洞の原の丘よりはるかに見渡せば円かに見ゆる弓浜半島

先日の記事で紹介した、研修1日目に米子市の淀江周辺を見学したときの歌である。(その1その2


一首目は、緑と白の色彩の対照がよいと言われた。
三首目は、「伯耆路をゆく」研修に参加されていたMさんから、自分も蓮の歌を詠んだと言われた。別の出席者の方からは、「いにしへ」と「古代」が意味的に重なるので、「古代の丘公園」と括弧でくくるか、別の呼び方の「白鳳の丘公園」とする方がよいと指摘された。
五首目は、第二・三句にかけて「はるか見渡せば」とした方がよいと言われた。
出席者の方々も、米子から境港にかけて大きな半円を描く弓ヶ浜半島の美しさを口にしていた。

あの研修からちょうど一月経ったが、こうして詠歌で振り返ってみると、たくさんのことを感じ、学んだ貴重な機会であったことに改めて気づく。