山口県出身の同僚さんが、息子さんの夏の課題の一つに「郷土料理を作る」というのがあって、「瓦そばにしたんです。」と言う。それは一体?と聞くと、「茶そばを焼いて、肉も焼いて、熱い瓦の上に乗せて、つゆつけて食べるんです。」と説明してくれた。いや、全くイメージ沸きません。
そんな時いつも親切に教えてくれるグーグル先生に聞くと、「山口 川棚温泉 たかせ」という店のページにヒットした。本当に屋根の瓦の上に、何やら緑色のそばと、錦糸卵と、牛肉炒めと、ネギと海苔が順番に重なった上にレモンの薄切り、そして紅葉おろしの写真。味の想像はつかないけれど、このビジュアルは絶対美味しいやつだ。
と言う呟きをSNSにあげたら、「よく食べに行きましたよ。作ってあげましょうか?」と天使の声が。ホイホイ乗っかるミカさんと私。天使ミナコさんはわざわざ、たかせからそばとつゆを取り寄せてくれて、ご自宅で振る舞ってくれた。かなり太めのしっかりした麺を茹でて水でしめたら、瓦の代わりにホットプレートの上に乗せる。牛肉は別鍋で軽く塩して炒める。ひとによっては甘辛に味つけると言うので、わがまま言って半分を塩、半分を甘辛に作ってもらった。錦糸卵やネギ、海苔と共にそばの上にドーン。レモンの薄切りはつゆの中で絞るといいらしい。
鉄板に触れてちょっとパリッとしたそばと、牛肉の旨味が濃いめのつゆに絡んで美味しいのなんの。レモンの酸味もほどよく効いてる。ホットプレートからみんなで取り合って食べる楽しさも久しぶり。たっぷり4人前作ってくれたので、朝ご飯食べたことを後悔した。
ほぼ同い年の私たち、話題は自分の健康とか親の健康とか、仕事のこととか人生のこととか、家族のこととか、友達のこととか。私は会社ではそういったディープな話題は不得意なんだけど、(こんなこと言ったらかっこ悪いよな、とか見栄を張るからね)なぜか彼女らといると何でも言えちゃう。それに対してのコメントも、ちょっと酷いくらいだとしても爆笑しちゃう。(娘の彼氏ちゃんのこと、「保護犬」だって言うんだよ。笑)そして経験値が高い人にリアルなアドバイスがもらえてほっとする。辛い気持ちは共感できるから涙こぼしたりする。この、爆笑から涙までの振れ幅ね。10代20代の女子会ではありえまい。いや忘れたけど。
病気があっても注射や薬を使って食べたいものや飲みたいものは我慢せず、毎週ゴルフにも飲み会にも出かけ、ジムの予約するのにどうしても必要だからと買ったスマホでまんまとネット沼にハマってる義理父のことや、マスクしてシールドして大好きなカラオケに通い、健康のための散歩はかなり嫌々しているらしくお腹が丸く育ってる実家の父のことや、自分史の執筆にかれこれ3年かけてようやく完成が見えて来る一方で、感染対策のせいで半減している合唱団の練習をなんとか頑張って自主練で埋めてる実家の母のことを考える。娘が自立して肩の荷が降りたはいいけど降りすぎてスカスカした気分でどうにも浮ついてる自分や、焚き火遊びを始めていつもの通りまずは形から順番にギアやツールやウエアを買い倒す一方で、「ちか、寂しいでしょ。」って優しすぎる夫のことを考える。相変わらず仲悪い妹ちゃんたちのことを考える(単独ではとっても可愛いいい子たちなのだが)。
私は多分冷酷な人間なんだろうと思う。本当はもっと関わっていくべきところを、めんどくさくてほったらかして、呼ばれれば渋々対応してる。私は私で、自分のことで忙しいし、なんて思ってる。今朝大急ぎで身支度して靴のかかと半分踏ん付けたまま歩いてたら、年配の女性から「ちょっとちょっと、お嬢さん」と呼び止められ、たすきにかけてたバッグのベルトのグルグルしたやつを直してもらった。「はい、いってらっしゃい」ってベルトごと背中をポンと叩かれて、なんか、直すべきグルグルはもっと色々あるような気がして、ちょっと気恥ずかしくて駅まで走っちゃったよ。