まくとぅーぷ

作ったお菓子のこと、読んだ本のこと、寄り道したカフェのこと。

原宿~青山~渋谷お散歩

2012-03-20 18:07:02 | 日記
夜も更けてくるころ着信音が
ここんとこまた忙しいらしいだんなさまが
今から会社を出るという連絡
、に、引き続き
「明日さーー久し振りに青山行って魚定食喰いたいなーー」

給料日前ですけどっ。。。

結局は食い気には逆らえない我が家
まだ風のなかには冷たさも残るが
ちらほらと咲き香る梅の花を見上げながらお出かけ

最初に目指したのは原宿
外人だのちびっこだのがうじゃうじゃしてるのをスウェイして
外苑方向へ歩くこと10分



こちら、SHIZENはうつわ屋さん
2Fのカフェで滋養たっぷりの和食ランチを食べられる





もうすこし暖かくなったら、テラスも気持ちいいだろう



開店15分足らずなのに、わたしたちが座ると満席
ふと奥をみると、マダム2人の足元にわんこがそれぞれ座ってる
キャバリアとスコティッシュフォールド
お洋服をきちんと着て大人しくぬいぐるみみたいにしてる・・・
こんなにいい匂いのするなかで、えらいな



15品目のサラダ
薄く乗っているお豆腐がおいしい
小さじ1杯サイズのポテトサラダにはバターが効いている
「これだけ5倍量あってもいいよね」「そだね」
ひそひそ話し合うムスメとわたし



ムスメはほっけ、さんま、さばの焼き魚3種
だんなさまはきりたんぽ



わたしはツボ鯛もろみ味噌焼き



ふわっふわで脂がのっていて激うま。。。


食べ終わったあとは、1Fのうつわ屋をちら見
和田純子さんという作家さんのガラス器展をやっていて
ちいさな水差しに目がくぎづけ



かっ ・・・かわええ・・・

これはどうやって使うのかしら、と話していたら
お店のスタッフさんが、書道の道具だと教えてくれた
墨をするときにお水を差すためのものだとか

「でも、パイレックスでできていますから
お茶をいれることもできますよ」

ふたの模様はマーガレットなのだそう

お値段三千円弱
さんざん迷っていたら
だんなさまが、二千円出してやるから買えば?と
大喜びでレジへ


ゆっくり青山まで移動
次のターゲットは和菓子屋
南青山 まめ


今日はお彼岸だからおはぎにしようか
それとも去年感動した苺大福か

前をゆく女性が店の前で踵を返す
いやな予感・・・・

定休日、であった・・・

しかたなく表通りに出て「紅屋」で道明寺を購入
大正14年創業とか、前に買ったどら焼きはおいしかったし
ショーケースにはかわいらしいらくがんなどもあったが
「いらなーーい。。。」テンション低いムスメ
まめショック、尾を引いている
(そいえば紅屋の写真すらないし)

そこからすぐ近くにある
老舗の珈琲店「大坊」へ

ネルドリップでゆっくりていねいに
淹れてくれる所作を見てるだけでも
気分がアガるところ



ブレンド2番を注文
豆の量とお湯の量が番号によって少しずつ違う
2番は 豆25グラムにお湯100cc
濃厚でとろける味




自家焙煎をしている店だ
あの、壁にかかっているザルは現役だろうか

そこから青山ブックセンター
オーガニックショップ デイルズフォードに寄り道して
渋谷から電車に乗り、帰宅
途中だんなさまは、ちょっと仕事してくる、と分岐
大変だな・・・



帰り道にみちくさを摘んで、水差しに生けてみたり





桜湯をいれてみたり


春を連れて来たちいさな器に
しばらく夢中になりそう




かりんとう

2012-03-18 12:37:34 | お菓子作り
きっかけは 万城目さんの「鹿男あをによし」
主人公の同僚が なにかにつけてわけてくれる
「かりんとう」

湿気っていてさほどおいしくもないそれを
「どこで買っているのか」と問うと
うれしそうに「妻の手作り」と応える同僚に
「ああよかった、まずいっていわなくて」と
ひそかに胸をなでおろす主人公

かりんとうって作れるんだ!と
さっそくムスメとレシピを探してみた

薄力粉150g
ベーキングパウダー小さじ1
三温糖大さじ2
卵1個
水15cc
塩すこし

全部混ぜてこねたら黒胡麻大さじ2を入れて混ぜ
のして細く切り油で2度揚げ
鍋に黒砂糖70gと少しの水をいれ火にかけ
ぶくぶくしてきたら揚げた生地を入れて絡める

なぜかだんなさまがとても気に入って
先週の白楽ツアーで話題にのぼったときに
「かりんとう、作ったら?」とめずらしい発言を

もともと甘いものはたいして好きじゃないのだが
ムスメとツマが毎月お菓子を作ってきては食べさせ
洗脳しつつある

さて そんなわけで
かりんとう第2弾



細く切る、というところを若干はしょったため
ころんと太めちゃんにできあがってしまった
中もふんわりしていて
サーターアンダギーにちょっと似てる



これ、かりんとうじゃないよねー と
だんなさま

うん、確かに、ちょっと違うな

タルト・シュクレを作りたくて買い置きしていた
超・高級な「八重山の本黒砂糖」を
使ってしまったので
おいしいのは文句なくおいしいけど

単純なものだからこそ
工程は愚直に守るべき
(おおげさな)

いっしょうけんめいご主人のために
かりんとうを作る奥さんと
それを職場でいっしょうけんめい消費するご主人
なんかすてきだな

ということでこれ、会社に持っていく?と
休日出勤のだんなさまに聞いてみたが
にべもなく却下された


1年越しのパキスタンカリー~白楽ツアー

2012-03-11 18:34:19 | 日記
去年の今頃
電車が止まって家に帰れなくなった同僚さんたちを
連れて帰った自宅でテレビの報道を見ながら
あまりのことに唖然としていたものの
翌々日に企画していたおでかけイベントが
中止になるなんて思ってもいなかった

あれから一年経って実現したツアー
我が家の愛すべき隣町 白楽にある
おもしろいお店をめぐる旅
with ミサリングファクトリー仲間

パキスタンカリーの店「サリサリ」は
ごくたまに深夜番組などで取り上げられる
一部の人に有名なお店
とにかくユニークなのはご主人と
国籍不明の謎の老婦人(ホール担当)

今まで家族で3回ほど行って
混んでいたためしがなかったので
前もって予約などはせず
とりあえず到着15分くらい前に
念のため電話いれとこう、とおもったら

「え?7人?これから?だいたい何分後?
ああ、そんならだいじょうぶだとおもうけど
もしかしたら席離れるよ」

といわれ驚き
実際に店に入ったらものすごいお客がいて
さらに驚いた

メニューはひとつだけなので
席につくなり奥からサラダが運ばれてくる
国籍不明の謎の老婦人が
通路側はじに座るだんなさまの前に
どんどん置いて「まわして。」と

チキンがフレーク状になったカリーは
スパイスとオイルたっぷり
じっくり煮込んだおいしさ

サラダを食べすすめると
隠れていたお皿の絵が現れる
なぜかカルピスこども劇場シリーズ
フランダースの犬やラスカル

「ブリュッセルにいたときに、ネロが絵を見た教会に
いったんだよねー」と先生
「でも、フランダースの犬、みてなかったから
感動とかなかった。」

なんで見てないんすか!と驚くみなさん
あの頃コドモだったひとはすべからく見てるものだと
思っていたのに

カリーはおおむね好評
決して奇をてらった味ではないのに
店構えだとかカンバンだとかテーブルナプキンだとかに
変なキャッチを書いているから
へんてこな店扱いされるのだ

ふだん大勢いっぺんに来るわけではないので
食器の類がてんでばらばら
最後に配られたチャイは
器によって量がかなり違うし

「はじめて?」と国籍不明の老婦人が
hirokoさんに向かって話しかけてきた

「うん、はじめて。おいしかったです。
これはどこのカレーですか?」

「パキスタンの。めずらしいでしょ。
ここと、北海道にしかない味。
パンジャブ地方の家庭の味。」

こ、こんなに喋るひとだったとは
まじまじと顔をみてしまった
ほんとならよく喋るはずのご主人は
奥で調理におおわらわで
それどころではない
あ、あんなにがしがし動けるひとだったとは
そっちはそっちで目がいってしまう
ううむ あなどれないぞサリサリ

たった今食べたばかりで
なぜかこの近所にある「つけ麺」の店の話で
盛り上がるみなさん
でもさすがにすぐには食べられないので
やはり近所にあるおいしいベーグルの店に
行きましょう、ということに

わたしはお財布をだんなさまに預けて
ひとあし先に珈琲文明さんへ場所取りに

休日のお昼間はとんでもなく混んでいると
噂には聞いていたが
マスターもおお忙しのなか
いろいろ画策してくれて
ボックス席を取ることができた

おっつけみなさんが手にベーグルをさげて
やってきた
春のブレンドは酸味が強く
ネーミングの「茜すみれ」に惹かれて頼んだひとは
定番「文明ブレンド」を頼んだひとと
はんぶんこして飲んでいた
サイフォンでたっぷりと出してくれるので
出来る技だな

「でもこの酸味は、豆の酸化じゃないんだよ」
数秒前に読んでいたマスターのコーヒー本を
さっそく引用する先生
なんでもあっというまに身につける才覚・・・

そこから六角橋商店街をふらふら歩き
珈琲豆の自家焙煎をやっている「TERA」さんを終点に
白楽ツアーは終了

オプションでつけ麺行く人!と先生
はーい!とムスメ&だんなさま
おなかいっぱいだけど少しだけ食べたい、、とmimiさん
白楽を少しだけ離れて「くり山」へ

六厘舎の流れをくむ行列のたえない店
さすがにこの時間はそんなに待たずに入ることができた
濃厚な魚ととんこつのスープ
久し振りにおいしい
食べきれるかなと心配していたがふつうに完食
隣でムスメが「なんだ、手伝ってって言われるかと思って
期待してたのにー」だって・・・・

腹ごなしに岸根公園まで歩いて解散
それにしても
待ち時間に 次のツアーは鎌倉ね!とか
つけ麺すすりながら 今日のばんごはんどうする?とか
おいしいものを食べることを思い切り楽しめるって
すばらしいとつくづく思った

珈琲文明のマスターは今日がお誕生日だったので
お好きだという道明寺をムスメと作ってプレゼントした
ふんわりピンクに蒸しあがったおもちを
あんこと丸めて香りのよい桜葉で包んでいると
しあわせな気分になれる
今日という日をそんなふうに迎えられないひとも
大勢いるのだろう
身近なひとたちと楽しく過ごせることに感謝したいと思う








のぼうの城

2012-03-09 07:31:58 | 読書
のぼう、とは、でくのぼうの略である。

・木偶の坊

1 人形。あやつり人形。でく。

2 役に立たない人。気のきかない人。人のいいなりになっている人。また、そのような人をののしっていう語。「この―め」

(デジタル大辞泉より)

武州忍(おし)城 成田家の跡取り息子長親(ながちか)は
領民から「のぼう様」と呼ばれている。
それも、めんとむかって、である。

言われた本人は怒るでも嘆くでもなく
えへらえへらとしている。

かわりに怒っているのは友であり腹心でもある男。
言っている領民に対してというよりはむしろ
言われて言われっぱなしの長親に対しての怒りである。
ただでさえいまいましいのに、
城が攻め込まれるという噂が、噂でなくなってきている
この大事なときに・・・
男が声に出さずに罵る「馬鹿」の文字で
ページが埋め尽くされている。

敵は石田三成、差し向けたのは天下の秀吉。
軍勢を比較したって、勝てるわけはない。
城内では降伏路線で話がまとまった、はずが、
のぼう様だけはまとめられてくれなかった。
折悪しく城主が急逝し、いまやあるじとなった彼が
敵も味方もひっくるめ、すべての人を仰天させる
決断を下す。

「戦いまする。」

三成は大喜びする。潰し甲斐のない相手を踏みつけても
面白くもなんともない。
さらには、憧れの秀吉の真似をして
ど派手な演出の戦法を実践してやろう、と思いつく。

応戦の旨を聞かされた領民は怒号するが
決めたのが、われらがのぼう様だと知ると
一転協力体制に入る。
あいつはなんにもできない、おれたちが助けてやらなきゃ。

自分の意思でやろうと決めたことと
ひとに(とりわけ上の立場から)言われてやらなければならないことは
おなじことでも成果がまるで違う。
それを狙ってわざとそう持っていくリーダーもいるが
のぼう様の場合は素で天然である。
彼はこころから領土を愛し、領民の気持ちに寄り添い
一方では武士の誇りを器いっぱいなみなみとたたえている。
なにかを謀ったわけではない、クライマックス以外では。

いかに相手の裏をかくか、いかに相手を騙すか、
野心こそが価値であり生きるたのみだった戦国の時代に
人間の中身で周囲を惹きつけ勝利した長親の
ひとつひとつの台詞、行動になんだかふっと気持ちが緩み
気づけばわたしものぼう様に逢いたくなっていた。



3月のお菓子レッスン『ガトー・オートリシアン』

2012-03-08 07:53:23 | お菓子作り
土曜日の朝、スタジオに入る瞬間の空気で
今日のレッスンがハードなのか、そうでないのかが
わかるようになってきた
4年は伊達じゃない(笑)

今回はとてもゆったりした雰囲気
先生のお顔も優しいような(いつも優しいです ほんと)

すぐ後にやってきたmimiさんが
ぐるりとあたりを見回して
「今日、レシピ無いんですか?」

確かにいつも置いてあるテーブルのうえはがらんとしてる
まさかの口述レッスン?

先生が爆笑しながらレシピを用意してくれた
このあたりで楽勝確定

オートリシアン、は、オーストリアのこと
発酵生地の上にアプリコットとグラニテの構成
オーストリアには発酵生地のお菓子が多いのだとか

中力粉にほんの少しのイーストを混ぜて軽くこねる
ガスを発生させるというよりは
香りをつけるためのもの
パンをこねることに比べたらなんてことはない
もっといえばパンをこねるのは好きだし

うきうきやってるわたしの隣のとなりから
「あーーこれたいへーーん!」「うわーーつかれるーー!」
と、リアクション女王Mさんの声がする
「みんなだまってやってるよ?」という先生の優しい指摘
どっと笑うみなさん

低温で1時間ねかせたあと
セルクルに敷きこみドライアプリコットを並べる
その上にかけるクスクス(たったの5グラム!)は
アプリコットの水分が上に載せるグラニテを溶かさないように
さらには焼き上げるときにグラニテ中央に
アルミを小さくまるめた円筒を立てる
これも水分対策

このレシピ、もともとは缶詰のアプリコットを使っていたとか
なのでこんなに細かい配慮をしていたのだろうけれど
ドライに変更した時点でもう不要なのでは?
先生は「これさー要らないとおもうんだけど」
「昨日なんかオーブンのファンで飛んでるし」などとつぶやきながら
大師匠のレシピには逆らわずアルミをつっこむ
もちろんわたしたちも黙ってつっこむ

焼き上がりのブザー音が鳴り、オーブンを開けると
そこには見事に円筒がささったままのケーキが4台
どけると中央に小さな穴が開いている
いつも美しく仕上げるhirokoさんが
無骨な穴をちょっと悲しげに眺めている
わたしは周辺のグラニテを指先でざっと転がして埋めてみた
これでだいじょうぶ(ナニが?)



噛みごたえのあるどっしりした生地に
深い味わいのアプリコットと
これでもか、とてんこもりのグラニテ
キャソナードのあたたかい香り
質実剛健なお菓子