まくとぅーぷ

作ったお菓子のこと、読んだ本のこと、寄り道したカフェのこと。

さあ、開こう!~opuna発表会~

2015-08-31 21:10:21 | 日記
「それ、何ですか?」
と、かんざし屋のお嬢さん。

指差してるのは私の胸元。
一瞬どきっとする。

あ、これだったか。
レセプション会場からずっと
首にかけて歩いてたのを
忘れていた。

「あ、これ、お友達のデザイナーさんが
作ったんです。
さっき発表会があったばかりで。」

「珊瑚ですよね?!とっても素敵です!
私ちょっと変わったデザインのものって
大好きなんです!」

さ、珊瑚にも見えますよねー。
木の枝のイメージだそうですよー。
などと答えながら

「これは実は福祉用に開発されたんです」と
言いかけてやめた。

お嬢さんにとってはおそらく
それは重要なことではなくて
斬新でお洒落なデザインのツールとして
興味を持ったのだし

それは、作り手の狙いが
まんまとはまった(?)瞬間で
ひそかにガッツポーズな私だった。

デザイナーの河野さんの作品に
出会ったのは数年前。
私が通っているお菓子教室の先生とのコラボで
作られた「バンダナバックル」。

非力で不器用なこどもでも
自分でしゅっと頭に装着できるよう
バンダナの端にセットして使う優れもの。

3Dプリンターで作られてるのだが
あまりその凄さにぴんときておらず
イベントでお客さんに話のついでに
そういえば、って説明したら
「え!それスゴい!
ってゆか、それもっと言ったほうがいいですよ!」
と逆に接客を正されてしまった。

ところが後にご紹介いただいた
当のご本人は
スゴさを微塵もちらつかせない
快活で楽しすぎるお方!
むしろ私にとっては
「ホワイトカレーの人」というほうが
しっくり来るくらい。

あ、ホワイトカレーについては
いつぞやも書かせていただいたので省略。

今回発表された、「opuna」は
握力が弱くてもしっかりホールドできる
工夫のなされたスプーンとフォークである。
実際に作られている
チバプラスさんの工場で
開かれたパーティに参加してきた。

この珊瑚の、いや、鹿の角の、いや、
木の枝の、(まあ多分なんでもいいんだとおもう)
部分を指やてのひらに好きなように固定して使う。
分厚い手袋をしてるときも便利だし
小さな子供にも使いやすい。

これは現在のムスメだが
小さい頃はあんまり食べることに
興味なかったようで
保育園の隠密参観(親が変装して子供にばれないように様子を見る)
では、ごはんを一口食べては右を見、左を見て、
やっとまた一口・・・というありさまで
しびれを切らした先生は後ろのほうから
清掃を始めちゃっていた。
面談で受けたクレームは
「kちゃんは、みかんの筋をぜーんぶ剥かないと食べないんですが
なんとかなりませんか」だった。

親としては、スプーンもフォークも
ちゃんと持てるようにしよう、と
ついつい思いがちで
そんなんじゃだめでしょだの
おぎょうぎわるいだの
せっかくのごはんもおいしくなくなるような
状況を作り出していたのかもしれない。

でも、これだったら
どんなふうに持ってもいいし
見た目がキャッチーだから
きっとごはんが楽しくなるに違いない。

楽しいごはん。
結局、それに尽きると思う。

老人介護の現場で
食欲というものを失っていく人にとって
最後に残された「食べる意欲」は
甘さによって呼び起こされるのだそうで
「白いごはんに、かき氷のシロップをかける」
という作戦が用いられてると聞いて
それは本当に辛いことだと思った。

食いしん坊友達のFさんに言ったら
「うーん僕にはせめてきな粉かけて欲しい」
だそうで、確かにきな粉黒蜜あんこあたりなら
私もいけるんじゃないかと思ったりした。
もちろんopunaで食べるのである。

いいでしょ、食えりゃ。とか
いいでしょ、使えりゃ。とか
その大きく一歩先にある
欲しくなるデザイン、
自慢したくなるツール。

それは、河野さんご自身が体現している
楽しさと発見に満ちた生き方を
映している。

足りないものを埋めてやるという
考え方ではなく
今の状況をより良くするという発想。
そもそも、足りないっていうのは
他者を指して自分の尺度で言うことじゃない、
人には鳥の翼は無いけど、それを嘆く人はいない。

河野さんのスピーチに
どきりとした。



「opuna」の語源は
open up!なのだそうだ。

それぞれの、閉ざされた何かを
押し開いた時に
まいにちはもっともっと楽しくなる。

だから、開こう。









夏の終わりの星空ライブ

2015-08-28 21:45:22 | 日記


毎度お馴染み六角橋の
珈琲文明プレゼンツ
星空ライブ
@屋内

ん?

何を隠そう、文明さんの
お店の天井には
雲や星のペイントが施されており

ライティングにより
朝から昼、夜と
お空が変化するのですよ。

でね、マスターがふと
思い付いたそうで
ライティングは夜モード固定で
シャッターも閉めて
キャンドル灯して
ムードたっぷり
それっぽい歌ばかり歌おう

という、今夜のライブ。

セットリストは

let it go
9月のくらげ
接吻
シークレット・ベース
20年後8月3日送電線の下
gradually
メロディ
wonderful night
悪くない

(間違ってたら教えてー)

中学生んときから
歌を作ってるマスターが
敵わないな、と思う
数少ない(!!)
オリジナルラヴの田島さん。

この人の音楽的背景は
どんなんだろう?と
思われるそうで

どしろーとには
そのへんよくわかんない
んですけどね。

言やぁ、まつとーやゆみだって
何がそんなに売れるんだか
わかんないんだもん。私。

そして
くろーと投票で
最高評価だという、歌うたい
玉置浩二。

オレがひそかに感心してたのに
投票公開されちゃって
ちぇっ。というマスターが
おかしすぎます。

そしてこっちもぴんとこない
どしろーと(私)。

いろんなひとに
だれが一番歌うまいと思う?
って、聞いて回ったら
おもしろそうね。

私は
身を持ち崩す前の
シャルロット・チャーチ
が、いちおしです。
(誰も知らんがな。)

今回、はじめて
マスターの生歌聴きましたよ。
20年くらい前、路上で
歌ってた頃の
シメはこの歌、っていう
エリック・クラプトン。

路上の雰囲気を醸すため
2階の物置スペースに
移動するマスター。

階段上がりながら
「ここの星空が一番綺麗なんですよ。
ブラックライトも新しいの入れたし、、、
っていうかなんで今日は2階に誰もいないんですか?!」

なんでって言われましても。(笑)

こっち見ないでください、という
お客さんを戸惑わせるオーダーを
かませつつ、座り込んで歌う
マスターなのでした。

マイクを通さないお歌は
なかなか新鮮で素敵でした。

20年くらい前と言えば私は
べびたんを持つか持たないか
お仕事辞めるか辞めないか
そんな頃で

自分が自分の都合だけで
生きてるわけには
行かなくなった
激変の時代。

遠い過去だなあ。

そう思うと
その頃既に
金曜日の夜
ライブやってて
シメの歌も
毎回決まってて

「やってることおんなじ」
と、笑っていらっしゃいますが

それはとても素敵なことだと
思ったのでした。

来月はどんな企画かなぁ?












おやつの話。

2015-08-23 09:21:28 | 日記


平日は、お昼にコンビニで
おやつを買うことがあります。

原材料表示を
かなりまじまじと見ています。
ステビアだの、アセスルファムkだの
書いてあるやつは却下。

だけど、結局は
コンビニでおやつ買ってる時点で
混ぜ物上等ってことなんだから
矛盾していますよね。

ケーキ屋の生ケーキならどうか
っていうと
これはほんとにお店の人の
いわば「良心」を問われるもので
とにかくかさを増して
ふわふわしてりゃいいでしょ的な
スポンジに
長い時間経ってもびくともしない
クリームのデコレーション
という悲しいものも
世の中にはあります。

昨日知った衝撃的事実は
材料表記には、純生クリームを
指し示す名前がない、ということ。
ケーキ屋の店頭で、
「生クリームのケーキです」
って書いてあって
実際はコンパウンドクリームを
使っていたとしても
詐称にはならないのだそうです。

あ、さすがに、
バターです、と書いてあって
実際はマーガリンだったら
とっ捕まえてぼこぼこにしていいです。

お菓子教室に通って8年にもなるので
自分で作りゃいいじゃん!と
言われてしまったら、その通りですが
毎日はなかなか難しい。
せめてこんくらい、の、
かきごおり。



お砂糖にお水をいれて
煮たたせ
皮をむいたグレフルにかけ
しばし冷やしたもの。

こんなんでもいちおうは
配合や手順など
お菓子教室のレシピをもとに
しています。
だから、こんなんだけど
おいしくてちょっとしあわせ。

そこへいくと
手間のかかりかたが半端ない
あこ先生のクッキー



おいしいパートシュクレを仕込んで
型抜きして焼き上げ
アイシングを作ってデコレーション。
このアイシングも、粉砂糖から作る
とっても香りよくておいしいものです。

アイシングは扱いやすくお手軽な
できあいもたくさん出回っているけれど
いかんせん、味がよくない。
クッキーも壊れにくさ優先だから
お店で買ったアイシングクッキーが
おいしいわけがないんです。

だから、あこ先生のクッキーを
食べた人はみんな感動します。
見た目の美しさにうっとり
食べておいしさにびっくり
ひたすらしあわせなおやつ。

写真は、先生いわく
ちょっと失敗しちゃった
らしいのですが
これのどこが・・・?

私もたまには時間かけて
ケーキ作ろうっと。

だから
ごはん作らなくてもいいかなー?
(だめ!)


おんがくの話。

2015-08-19 22:13:28 | 日記
けやきホールに入った途端
懐かしい匂いがした。
一番後ろの支柱、カーブした木の形を
覚えていたことに驚く。
小学生だった私。暑い夏のゲネプロ。

コンサートに誘ってくれた
ユリさんは児童合唱団時代の先輩。
お会いするのは3年振り。
毎年夏になると、合唱団の定期演奏会絡みで
2、3回はお会いするのだが
昨年、一昨年ともユリさんはいらっしゃらず。
その理由を昨夜、初めて知った。
ユリさんは大変な病気と闘っていたのだった。

自他共に認める頑張り屋の彼女が
辛い治療に心折れそうになったとき
出会ったのが高本一郎さんのリュートと
弥勒忠史さんの歌だった。
「世界がモノクロにしか見えてなかったことに
はじめて気がついた」のだそう。
久しぶりに触れる音楽は
彼女の心を開き、溢れんばかりに流れ込み
気づいたら号泣していたそうだ。

高本さんのアレンジするダウランドの音楽。
ダウランドは、シェイクスピアと同じ時代を生きた
イギリスのリュート奏者である。

彼が20代の頃、現職の宮廷音楽家が引退し
本人も、まわりの誰も、次は彼が就くと思っていたのに
王家は他の音楽家を選んだ。
その理由は宗教のせいだったのだが
その事を当時の彼は知らされず
失意のうちに彼はロンドンを離れる。
ヨーロッパを回る旅のはじまり。
結果、彼はイギリスのみならず
ヨーロッパ中で人気を博すこととなる。

その音楽は後世たくさんの音楽家に敬愛され
アレンジされてきた。
70年代、オランダのプログレのギタリストが
アルバムでダウランドの曲を採用した際は
当時のLP解説をバロックの研究家の皆川達夫が執筆し
功績を讃えたそうだ。

皆川先生といえば大学時代に彼の音楽史の講義をとっていた。
私の恩師が小さい頃、皆川先生の奥様が主宰する
児童合唱団でソロをやってたと知ったのがきっかけだった。
ついでに言うと、彼らの甥も同じくその合唱団に在籍していて
「黒猫のタンゴ」を録音している。

講義で毎回飛び出す興味深い逸話がとても楽しみだった。
印象に残っているのはオノヨーコの話。
まだジョンレノンの影もなかった頃の彼女と
「大変親しくしていた」皆川先生が
真夜中電話で「タツオ、大変なのすぐ来て!!」と言われ
事件か事故かと飛び出して行ったら
部屋の窓際でぼおっと座ってる彼女が
「ほら。」と指す空の月。
「ね。きれいでしょ。一緒に見ようとおもって。」
・・・バロックではないな。


高本さんは共演に4人のサックス奏者をともなっており
それぞれが3本ずつの菅をかわるがわる吹いていた。
馴染みあるポリフォニー調、かとおもえばジャズっぽかったり
アイルランド民謡の風味だったりでとても楽しかった。
サックス担当のなかに一人、とても美しい女性がいて
彼女の繰り出す音色に心底驚いた。
菅なのに風の音が一ミリもしない!
100パーセント純粋な響き。
サックスがまばゆい金色な理由が初めて解った。

弥勒さんはカウンターテナー。
以前、ソプラニスタの生歌を聴いたことがあるが
目の前に見えている景色と、耳から入ってくる音が
脳内でクラッシュしていた。
弥勒さんはシュッと背の高い端正なお顔で
高音は柔らかくしっとり、ひたひたと響きが渡る。
そしてなぜか歌うとき身体から首、頭にかけて
直線が引かれていない。くねっゆるっとした感じ。
不思議すぎる絵だった。

そしてなにしろ、リュート。
弦が12本もあるしろもの。
高本さんが変なタイミングで演奏をやめて
MCしたりすると、拗ねて音程をふらつかせたりするやつ。
生き物だった。生きて呼吸し、歌い、感情をあらわにする。
菅4本を自在に操り、目立つわけではないがきちんと主張。
ぞくりとした。

コンサートが終わり、出待ちするユリさん。
生還のお礼を直接言えてとても嬉しそうだった。
興奮冷めやらず、駅近くのパスタ屋でお喋り。
帰宅が日付またぐのなんか久しぶり。

音大でバッハを研究し、ピアニストとして活躍する
ユリさんのあしもとにも及ばない私が
こんなふうにコンサートを楽しめたり
共感しあったりできるのは
ひとえに恩師のくれた音楽のおかげである。
ユリさんも私も、他の先輩方も、後輩ちゃんも
恩師が亡くなったあとに合唱団に入ったこどもらも
みんなおんなじ色の音を心に持っている。
それは辿っていけば皆川先生や
高本さんや、遠くはるか昔の異国の
失意の音楽家にも繋がるんだろう。

ダウランドはその後ロンドンへ戻り
念願の王家付きリュート奏者となる。
50歳になっていた。
その時の彼の気持ちはどんなだろうか。

イギリス人にとって偉大な音楽家といえば
ダウランド、パーセル、
そのあとはビートルズなんだとか。
高本さんがニコニコ話していた。
「ま、それがどーしたってことですが。」

自分の死後450年も経って
極東アジアの陽気なおじさんが
自分の曲を好き放題にして演奏し
聴く人に感動を与えてると知ったら
ダウランドはなんていうだろうか。

高本さんはその折には
「まあまあいっぱいやろうや」
って言われたいのだそうだ。










メモ☆マグロのオイル煮

2015-08-09 10:49:12 | 食録


材料

マグロ350g
オリーブオイル 100cc
塩 小さじ1弱
黒胡椒ホール15粒
ローズマリー枝 5センチ

・鍋に60℃のお湯をはる
・ジップロックに材料を入れる
・60℃から70℃の湯煎で30分

***
プロのための市場なので
しろーとがうろついてるのは
さぞやメイワクなんだろうな

なんて話を
ご主人が仲卸しをしてる
同僚にしてみたら

大歓迎ってこともないけど
小口でも売り上げあるのは
いいことなんです、って

それでも小心者だから
行き交う台車にびびりながら
歩いていると
おおぶりのビニール袋に
マグロのブツやサクが
ごろごろ入って積み上げてあるのを
発見した
「なんと!500円!」
って、手書きのポップに
まじか?!なんで?!

お店の人がいうには
血合いがてんてんと
身のほうに飛んでしまってるから
スーパーなどでは商品にならないと

気にならないんならお得ですよ、だって
そんなのまったく気にしません!

トラックで来訪してたんなら
買い占めたいところだが
いかんせんチャリなので
一袋だけ購入
マグロ大好きなムスメに
一サクぜーんぶのっけた
鉄火丼にしてやった
狂喜乱舞
でもまだ2サクある

そのあとの飲み会で
オイル煮を作る話になり
残りをさっそく翌朝やってみた

鍋の温度を保つのに
はりついて火をつけたり消したりが
ちょっと暑かったけど
あとはもう、笑っちゃうくらい
カンタンに作れて
食べてみたらやっぱり
笑っちゃうくらいおいしかった
オイルにまぶして
ゆっくり加熱した身がふんわり
スパイスの香りが爽やか

オイルも胡椒もありものだし
ロズマリは玄関先から
ちぎってくるだけだし
原価350円くらいで
売ってるツナ缶のちっさいのの
6個ぶんくらいの量ができて
とってもいい気分

明日になるとさらに
しっとりおいしくなるらしい

けど

残らないだろうなぁ