まくとぅーぷ

作ったお菓子のこと、読んだ本のこと、寄り道したカフェのこと。

真っ赤なクコ

2017-01-30 20:19:31 | 食録

子供の頃おばあちゃんちの庭に
細くてそんなに背が高くないんだけど
クコの木があったのです。

しかも、確か、私が生まれた記念の木
だったと思うのです。
違ったかな。聞いてみよっかな。
まあいっか。


季節になると真っ赤でつやつやの
小さなとんがった実をつけて
それをもいでは食べるってのを
楽しんでいました。
甘いんだけど苦いんだけど
そのまたバランスが個体によって
バラバラだったので
うわ!甘い!あたり!
ぎゃー!苦い!はずれ!
を延々と繰り返していたのです。
で、ちょっと油断すると
おなかが痛くなっちゃったり。


今回、とあるご縁で
「薬膳料理」を教えていただくことに
なったのですが

やくぜん、って言ったら、
クコ!
しか思いつかなくて

どうしよう料理全体苦かったら
なんとか食べられるといいんだけど
ぷりっぷりに張りつめたもやしが
丼いっぱい、とかになってなければ
いいんだけどなあ

なんて
めちゃくちゃ失礼なことを
想像していたわけです。

ところがそんな不埒者は
私一人だけで
後の皆さんはもう
「薬膳」一発検索で
こちらの教室にいらしているのです。

中には
「もう春から育休が明けてしまう、
その前にとにかくいろんなことを
習いたいと思って来ました。」
なんていう母の鑑もいらっしゃって
感心しきりでした。

そして
教えてくださった
ちゅうがんじ先生

お会いするのがずっと
楽しみだったのです。
第一印象は
「か、、、かわいい、、、」
(かさねがさね失礼、、、)

食べるものに気をつかうと
こんなにキラキラした人に
なれるのか!

いきなりやる気が起きました。


よもぎ茶をいただきながら
早速よもぎの効能についてのお話。
ふんわりと春の野原みたいな香りで
ほかほかと温まりました。


そしてまずはお勉強。
薬膳料理の意義や
中国伝統医学について
初心者にわかりやすく
さらりと教えていただきました。
長く通えばもっとがっつり
教わることのできるコースも
あるのだそうです。
それも楽しそうだな。

具合が悪い時には
その原因をまず探して
見つかったらその原因に対する
養生を続けると
元気になれる。

聞いちゃうと
それは全くその通りで
今更な感じもするのだけど

じゃあ自分がちゃんと
自分の体質をわかってて
弱いところに手当てして
改善しようと努力してるか
っていうと

ごめんなさい・・・な感じです。

簡単な診断をしてみたら
私は肺が弱いひとらしく
改善してくれる食べ物はこれこれ
避けたほうがいいものはこれこれ
って教えていただきました。

他の皆さんもそれぞれ違う結果が出て
先生は一人一人にいろんなアドバイスを
してくださいます。

でも、体に良くない食べ物でも
気持ちが欲することもあって
それをどうしても我慢することは
ないのですって。

ちょっと安心しました。
(避けたほうがいいもの、の筆頭が洋菓子だった。)


それからいよいよ
お料理のデモが
始まります。
大きな木耳をたくさん
刻み始める先生。
サウスポーの包丁使いは
見ているとスリリングだ。

人参と木耳は茹でて
すりごま、ニンニク、ごま油で
和えます。
それと、何やら見慣れないパッケージの
お塩。

「ホタテやカツオの旨味成分が
入っているんですよ。
使えば美味しくなっちゃう
魔法の塩。」

すると、皆さんが
わーっとスマホで写真を
撮り始めました。
ニンニクの瓶詰めにも
興味深々だったり
ごま油の種類を確認したり。

そっか、そういうところか、
お料理が好きな人の視線。
持ち合わせていない残念な私。

れんこんのすりおろしを
お手伝いしたら
「あれ?最後までおろしてくれたんですか?!
手、痛くなかった?!」
ってびっくりされて
こっちもびっくりしちゃいました。
すりおろしって最後はちょっと
残すものなのですね。



鳥ひき肉に豆腐と
すりおろしれんこんと
刻んだれんこんと
大量の紫蘇の刻んだやつを
よく練って混ぜます。
つなぎは入らないのね。


最後に紫蘇を一枚貼り付けて
ゆっくり蒸し焼き。

豆腐の簡単炒めは
水切りした豆腐に
薄く片栗粉をまぶし
しいたけと一緒に焼き付けて
刻んだニラと
水で戻したクコ(出た!)を
炒め合わせます。

こんだけ手順があるものを
簡単、と呼んでしまうのか。
パートフィユテラピッドみたいなもんだな。
(わからない人は後で補習しまーす)

山芋汁は
グラグラ沸いた出汁に
すりおろした山芋と
溶き卵を混ぜたものを
ほそーく垂らします。
ふわっふわの雲みたい。

それに
雑穀ご飯。

す、すごい、
こんなにいっぱいのおかず。


山中塗の器に
盛り付けます。
先端がうんと細いお箸
とっても嬉しい。

普段、ガチャガチャしたお皿で
食べてることが
いかに寂しいことか、と
ちょっと反省してしまいます。

デザートは
水切りヨーグルトに
りんごの角切りとイチゴジャム
キュラソーが香るソース
胡桃が散らしてあります。

満足、満腹。
なぜか、すっごくいいことした気分。

レッスンの後
いろいろお話を伺いました。
一番面白かったのは
先生のキャリア。
最初の就職が
「ちょっとした手違い」って。
(超一流企業さんですが)
そして
どのタイミングにおいても
努力することと
勉強することに
労を惜しまない
だからこそ
チャンスが掴めて
最終的に
やりたかった仕事をしてる
そんな先生なのでした。

私もいろいろ頑張ろう



とりあえずお料理を再現しようと
してみたのです。
そしたら
ゆうごはんの支度に
小一時間かかってる!

世の中の主婦ってこんな大変なこと
毎日してるのか・・・

・・


放り出すのも
時間の問題かと
思われますが
家族にはやっぱり
評判いいんだよね。

もっと簡単にできるといいなあ(違)

でもせっかくクコの実一袋買ったし
使い切るまでは継続しようと
思います。

梅、咲いた。

2017-01-28 22:00:28 | 日記





蒲田に暮らしていた頃、池上の本門寺さんには御会式のたびに
チャリの後ろにべいびいをくくりつけて漕いで行った。
なんでもない日にはわらわらいるはずの猫たちは
あまりの人だかりに恐れをなしてその日はどこかになりを潜めている。
賑やかな行列、たくさんの出店。べいびいはとにかく、わたあめさえ食べてりゃご機嫌。
駅前の浅野家でくず餅を手に入れることができるかどうかは運次第。

今日はとんかつに惹かれて久しぶりに降り立つ。
お腹が苦しくなるほど食べた後、お寺まで散歩。
途中の立て看板に「池上梅園」の表示。
そんなのがあるんだ、知らなかった。後で行ってみよう。



参道の入り口にある酒屋の佇まい。なんて味わい深いのだろう。


河津桜の可愛らしいピンクにメジロが遊んでいる。



なんか見慣れないものがある、と思ったら
節分の豆まきの準備だった。
俺、今年は福男できるなあ、けど会社休めるかな、と旦那様。
そんな粋な計らいのできる会社、少ないんじゃないだろうか。

階段を降りて町の中をテクテク歩く。
どれだけ歩いてもお寺さんの施設が続く。
 お金持ちだねえ。そりゃそうだよ。
 あっちの方には大きな公園もあるみたいだねえ。へー。
ふらふら、ゆるゆる歩くうちに梅園に着いた。
環状線を少し入ったところにあったそれは思いがけない広さ。
斜面をジグザク登るような遊歩道がついていて
一番高いところからの見晴らしはなかなか。



うーむ。わしの城じゃ。って、いったいどちらのお殿様ですか。


池に面した和室は有料で使えるらしい。ここでお茶会したら気持ちいいね。



えっと、取り立てて、私がポーズを依頼したわけではありませんが
後光が差してるこちらのお方、寛いでいます。


養生されてる木の内側ってこんなだった。カメラ突っ込んでノールックショット。

一回りして帰途に着く。お土産は浅野屋で、、、
くず餅売り切れ。あーあ。仕方ないのであんみつを購入。
 どっかでお茶飲みたいねえ。じゃあ蒲田のまやんち行くか。
18年前には毎日ぶっ飛ばしてた保育園へのルート、
だいぶ様子が変わってる。そりゃそうか。
やたら立派になった酒屋、覗いたらおいしそうなサイダーと
酒粕があった。甘酒作ろうと購入。カバンがだいぶ重くなってきた。

まやんちは大繁盛で、しばし待つ。
あ、あのテーブルに乗ってるのはアフタヌーンティーセットだ。いいなあ。
完全予約制のそれは無理として
ダージリンのキャッスルトン農園一番摘みを頼む。
って、全然わかんないから字面で選ぶんだけどね。

ミニカー見に行きたいんだ、という旦那様と別れ
京浜東北に乗ると座れちゃった。おやすみなさい。
東神奈川でちゃんと目が覚め、バスに乗り換える。
小さな男の子とパパが、窓の外を見ながら
「あーおー」「え?青いかなあ?あのブーブだよ?」
「あーおー」「本当?」
「あーかー」「そうだよねーパパにも赤に見えるよ」
と談義している。
チャリにくくりつけてた頃のべいびいによく似てて
その小さな手にわたあめを握らせたくなった。





にちようび。

2017-01-23 08:48:35 | 日記

こないだの焚き火で作った
石窯ハンバーガーの訴求力が
たいそう強かったようで
石窯でなくていいからハンバーガー食べたい!と
お友だちにリクエストいただきました。

前の日に隣町の肉屋で
テッパンの牛挽き肉を仕入れ。
お店の人に顔を覚えてもらっちゃった。
昔、米軍基地で食ったハンバーガーがうまくって忘れらんないのよー!
なんてニコニコしてるの。

せっかくおうちで少人数なので
パンもパテも焼きたてを、と
思ってたら時間がかかってしまい
サラダとスープのあと
しばらくプラモデルとか見て
お待ちいただいた。
やっぱあれだな、ゆるゆるおふろに
入ったのがまちがいだったな。
あんまり慌てたので写真なし。
今回はパテ20パーセント増量
食べごたえありました!

そして、お友達がフリーザーにとっておいてあったという、
カネロニとの豪華饗宴!
はじめて食べたよカネロニ。
でっかいストローって意味なんだって。
うちの台所で、生地にフィリング絞って、くるくる仕上げてくれました。
ベシャメルでほかほか。
トマトソースは、一筋流すのみ。
パルミジャーノ好きなだけ!
ポルチーニの、湿った森みたいな香りが
だんだん好きになってきた。

デザートに、お土産の
おもやの甘納豆。



つまようじで、ちくちく大事に
食べますよ。
お友だちの知り合いんとこの
若い女の子が、
もらった甘納豆をスプーンで
ざくざくすくってむしゃむしゃ食べて
怒られたんだって。そりゃそーだ。
いつかお正月限定、黒豆を食べたいな。

こないだ100均で買った150円の
ミルクフォーマーで
カフェラテにしました。
はちみつとヌガーのケーキに
ラテの泡をのっけて食べる
お友だち。新しい。

お仕事に戻るというおひとりを
見送ったあと、もうおひとりと
近所の秘密基地へ
ブラタキビなるイベントを
ちらっと覗き見。
石窯に残る余熱をてのひらに感じつつ
日が落ちるぎりぎりまでおしゃべり。
これで今年3焚き火ゲット。
飛ばすぜ!

明日からまたがんばろー、
おー、
な、にちようび。

三冊のシンデレラ

2017-01-23 07:33:08 | 日記


三姉妹長女のわたし
親の影響で小さい頃から
みんな本が大好きで
しかも「モノ」としての本に
執着があったので
白雪姫とシンデレラは確実に
それぞれ一冊ずつ所有しており
買い与える親もどうかと思うが
たぶんまいんちぎゃーぎゃー喧嘩する
こどもらをなだめるよりも
さっさと買ってしまうほうが
らくだったんだろうと推測
ところが今度は
「あたしのシンデレラのほうがかわいい」
「なにいってんのあたしのがかわいい」
と、言い負けたほうが悔し紛れに
相手の本を隠したりなんかして
やっぱりまいんちぎゃーぎゃーやって
それでもたまにはめいめいが
自分の本を広げつつ
縁側で並んでニコニコしたり
つまりはいたって健全に育った

わたしのシンデレラの冒頭のくだり

シンデレラ、掃除をしなさい
シンデレラ、洗濯をしなさい
シンデレラとは「灰だらけのきたない子」という意味です
朝から晩まで働くシンデレラ
屋根裏のねずみだけが友達でした

っていうのがいまだ鮮明に残ってて
灰というのが身近に無かったので
いったいどうしたら灰だらけになど
なるのかなぁと不思議だった
なによりも、シンデレラって響きは
シャンデリアみたいにキラキラして
美しいように思えたから
その落差に驚いた
フランス語ではサンドリヨンという発音になるというのはずいぶんあとで知って、
やっぱり女の子を呼ぶにはずいぶん
がちゃがちゃした言葉だなとおもった

写真のお菓子はラサンドル
灰という意味の名前で
巨匠弓田亨ちゃんがおばあさまを
なくしたときの思い出にまつわるのだという
ふるった粉に砕いたアーモンドヌガーを混ぜる工程で、それが灰のように見えるらしい
言われてみればそんな感じもするけど
やっぱり天才の感性は独特だなと思う

今年最初に作って年始挨拶に持っていったのがこれでFBにも載せ
ヌガーをたっぷり焼いて余ってたのを
昨日の集まり用に再度ケーキにしたのだけど
「あ、これ、こないだも作ってましたよね、食べたかったんです」
と言われてビジュアルの威力に驚いた

そういえばクグロフのかたちは
わたしの絵本でねずみが一生懸命
作ってたシンデレラのドレスの
スカートのドレープに似てる

お客様に配った残りのひときれを
食べながらムスメが美味しい連発
でも切ってしまったら形はわかんないから、マドレーヌ型とかで焼いて
バレンタインに配ろうかなという
作るの大変?というので
ヌガー先に作っとくといいよといったら
じゃあそれはヌガーを作ってくれる妖精さんに頼もう、とかいう
嫌な予感がしたので、それはいったい?と聞いてみるとにこにこして
チカチャンってゆーの!だって
毎月アーモンドヌガーを焼くとか
不健康な生活はどうかとおもうんだが

極寒だよ 星降る焚き火BAR 第三夜

2017-01-17 20:28:18 | 日記

夏からこっち、入り浸ってる感もある
某所 秘密基地
本気で遊べる大人が集まるところ
大将は我らがゾノさん
年末、ちゃぶ台カフェ爆発的繁盛で
若干おつかれ気味 

前回参加したのは第一夜
土砂降りの雨のなか
ゲラゲラ笑いながら焼いて食べたハンバーガー
オーナー沼さんに
「なんで雨なのに集まってんの?そしてなんでみんな笑ってんの?」
とさすがに呆れられた会
でもねそう言いつつ沼さんだっていっぱい笑ってたよ

そして今回はまさかの大寒波
何しろ仕込んで行ったアップルパイの
生地もりんごも冷凍のまま全然溶けなくて
塗り卵をはけで塗ったら、バキバキ凍るという体たらく

アイスクリームなんか作業台の上に放置で問題なし

石窯の温度調節は自分じゃできなくて
石窯研究会のあきこさんとみっちゃんにお任せ
みっちゃんは胸にべいびいを抱きながら
重たい鉄の扉や真っ赤な炭をガンガン操る
なんともかっこいい女の子
あきこさんは温度計で入念に確認しながら
ほぼつきっきりで一緒に焼いてくれた

オーブンで作るみたいに
230度で15分、ってわけにいかないので
たまに扉を開けてパイの焼き色を見ながら
もうちょっとかな、そろそろかな、
よし!って出してお皿から外すと
ぱりんっと焼けた底生地の感触が
ナイフから伝わってきてちょっと感動
ザクザク切ったらすぐお皿に分けて
上にアイス乗っけてシナモン振って叫ぶ
「みんな!早く!取りに来て!」
わらわら集まってくれたみんなに配布
美味しい!って声が聞こえて
ものすごく満足

今夜のメインは、ゾノさん仕込みの
きりたんぽ鍋
さとみにゃんがご飯を半分突いて
菜箸にくっつけて作ってくれたやつ

パパのルーツが秋田なので
おばあちゃん家に行くとよく振る舞ってくれた
懐かしい味
ごぼうの土臭さとセリの青臭さは
子供の私にはちょっとしんどかったけど
鶏の出汁が染み込んだぐずぐずのご飯の塊が
それはもうおいしくてたくさん食べた
一緒によく出してくれたのが
ハタハタの米粒まみれのやつ
熟鮓だったんだと思うけど
お醤油ちょっとたらして食べると
悶絶するほどおいしかった

きりたんぽとか五平餅みたいに
ご飯粒を半分くらい残して突いたものを
半殺しっていうんだけど
れっきとした料理用語なんだって

で、これはもしかしたら
担がれたのかもしれないんだけど
いわゆるお餅のことを
皆殺しっていう地方があって

遠方から来たお客さんをもてなそうと
繰り広げられる会話
「今夜はどうすべえ、やっぱり半殺しがいいべかー」
「いんや、せっかくだ、皆殺しにすべえ」

な、なんか、やばいとこに来た?!
震えるお客さん 笑

そんなきりたんぽ鍋の他に
でっかい豚肉をダッヂオーブンで
じんわり焼き上げたローストポーク

さとみにゃんが切り分けてくれた
一切れが手のひらより大きい

みっちゃんは相変わらずべいびいを胸に抱えたまま
今度はオリーブ、野菜の乗ったフォカッチャを
石窯で焼きあげる
ほんのりガーリックが効いてて奥深い味
まいんち食べたい・・・

松本先生の作ってくれた
かりんシロップをお湯割にして
焚火の前で啜りながら
ドラマの時代考証の話をする
江戸時代の庶民の家に
白いお砂糖なんかあったのか?

お砂糖が貴重品だというのは
何も江戸時代まで遡らなくても
きりたんぽをよく食べさせてくれた
おばあちゃんがまさにそういう人で
お砂糖がふんだんに入ってる料理は
ものすごいご馳走、という認識だったらしく

おばあちゃんの作る
「超高級な豆ご飯」は
もち米をシロップで炊いて甘納豆混ぜたやつ
「いつもの納豆をより美味しく」は
納豆に醤油と白砂糖でぐるぐる搔き回す

一口食べると奥歯殴られたみたいになるけど
今となってはそれもノスタルジックな味覚

やっぱり松本先生が作ってきてくれた
お菓子教室の試作のニョッキ
おしるこ仕立てでほかほかいただいた

先生が私に向かって
「ニョッキってさー」
と言いかけ、
「あ、やっぱ、マエゾノさんに聞こうっと
ねえねえニョッキってさー、茹でたら一旦冷やすー?」

そりゃ料理のことは全然わかんないけどさー
もうそれもかなり定着してるんだからさー
その割には先生のうっかり振りが止まんないんだよねー

そろそろお片づけの時間
紙のお皿やコップや割り箸を
火にくべると
瞬間、ものすごい勢いで
真っ赤な炎が上がり
周りの空気が急にあったまって
鼻先にボワンと登ってくる

すごいな、火
昨夜も思ったけど
ものすごく当たり前のことなのに
実感する機会はとても貴重だ

あちこちにいろんな火があって
料理したり手をかざしたり
小さな火を大きな炎に育てたり
ただ周りをぐるぐる走り回ったり
喋ったり笑ったり
一人でぼーっとしたり

あ、これってつまり
生きるってことかもしれないなあ
なんて
大それたことを思った

そいでもっと大それてるのは
なんちゃってアップルパイを
堂々とお菓子の師匠に
振るまってる私

いつもあの手この手で
遊ばせてくれるゾノさん、さとみにゃん
気前よく基地を貸してくれる沼さん
一緒に遊んでくださる皆さん

ありがとうございます