まくとぅーぷ

作ったお菓子のこと、読んだ本のこと、寄り道したカフェのこと。

鹿にまつわるエトセトラ 30days blog♪day 12

2020-10-20 10:13:00 | 日記

ちょっと湯呑み買いに行くけどナオトたちも行くか。

っていっつもすっとぼけた感じの叔父様に誘われ、1歳半の娘と共に車に乗り込んだ。

高速に乗ってどこまでも降りる気配のない背中に、「あの、どちらまで行くんでしょうか。」と聞くと、鹿島神宮という返事。え、茨城ですか?

2時間半くらい後に私たちは鬱蒼とした森の木立の中に鎮座するお宮と、その前の広場に囲われている鹿さんたちに対面していた。観光地の鹿は大体いつもたらふくご飯をもらってお腹いっぱいで態度悪いけど、こちらの鹿さんたちは何やらひもじいみたいで、小さい娘の差し出す餌を夢中で食べてた。

叔父様はお参りした後近くのしょぼい売店に歩いて行って、黒塗りの湯呑みを手にとった。お茶を淹れると温度変化で模様が浮かび上がるのだそうだ。そんなギミック嬉しいんだろうか。叔父様はわざわざ売店の人にも、「これが欲しくて東京から来たんだよ」って言ってたけど、売店の人は半笑いで多分信じていなかったと思う。

その後大洗の海岸で娘は初めて大海を知り、ちょっぴり波しぶきも被って、いたく感動したようだった。その後しばらくは、やっと使えるようになった2語文で、「うみ、いったでちょ」「おじたんと、なーたん(父親のことね)と」「うみ、まじゅいのよ」(海水が辛かったらしい)と繰り返してた。私にとってはそんな素敵な思い出だけど、夫にとっては同時に行った公園にあった滑り台の、スチールで出来た回転する棒が延々と並べられた上を娘を膝に乗せて数回滑り(日本一とか二とかの長さを誇るらしい)、尾骶骨を派手に擦りむいて当分の間お風呂に入るごとに叫び声を上げていた、そんな思い出。もちろん鹿島の鹿さんに責任はない。

それから約2年後、私が所用のため夫が娘と一日過ごすことになり、夫が選んだ遊びは「サッカー観戦」だった。それじゃ夫が娘と遊んでやったんじゃなくて娘が夫の遊びに付き合ったんじゃないのか、と思いながら、娘が真っ赤な頬(寒かったんだよしかも)に夫の贔屓のサッカーチームのマスコット「シカオ」の顔のついた耳あてをし、首に赤いマフラーみたいなタオルを巻いて帰ってきたのをびっくりして見ていた。また茨城か。みんな、茨城までの距離感が近すぎるんじゃないのか。まあまあ遠いぞ。もちろんシカオに何の罪もない。

そこからちょっと飛んで13年後、娘が修学旅行で奈良に出かけた。奈良って言ったら鹿だらけである。帰ってきた娘が憤慨していうことには、「あいつらタチ悪い。誰かがあいつらにお辞儀を教えたらしくて、そうすれば餌もらえると思って、全方向から集団でぺこりぺこり近づいて来る。もう怖くて仕方ない。」ってことだった。両手を高々と差し上げ「何も持ってませーん」アピールをすると、舌打ちして(嘘つけ)離れていくそうだ。おずおず鹿煎餅なんか取り出そうもんなら、態度豹変させてすごい勢いで奪いに来る。やられてる男子を「ばっかじゃないの。鹿煎餅なんか買って。」と遠巻きに見てたらしい。奈良の鹿なめたらあかん。

ところでえこひいきがあってはいけないので、鹿の漢字の成り立ちを調べたら、あまり面白くないことに象形文字だったということがわかった。角があって脚がきちんと並んでる獣の立ち姿。比の部分は「きっちり密にきれいに並んでる」という意味合いがあるそうだ。そして麗という漢字は「角が美しい鹿」の象形なのだそう。他に綺麗なものなんてごまんとあると思うのに。なんてことは鹿差別になるから言わない。