大変言いにくいのですが、英語の教材を忘れてきました。
と、謝ってるわりには元気な発声の男の子は小学校の高学年。言葉遣いが丁寧なのはI先生の指導の賜物だろうと思うけど、先生はそれを華麗にスルーして「許しません」のポーズ。華奢なスタイルでこの威圧感。
生け花の師範でもある先生、ご自宅の玄関からまっすぐの廊下のとっつきには見るからに高価そうな花器に活けられた季節の花がある。扉開けて入ってくると目に飛び込んでくるそれは、こどもだろうと大人だろうと、背筋をしゃんと伸ばす効力がある。
うっかり靴を乱雑に脱ぐと、先生はすぐさま揃えさせる。学習中、だらだらしたり消ゴムこねくりまわしたり周りの子とふざけたりする子は皆無。
子どもの解いた教材に○つけをして、間違っているところを指導しながら、手が空くと「質問のある方はいらっしゃいますか?」と声をかける。もう一回言うけど相手は小学生高学年男子たちである。
以前ほかの先生が、子どもに習慣をつけようとおもったら、必要なのは忍耐だっておっしゃってたことがあるけど、乱暴乱雑を許さない姿勢をずっと崩さないでキープし続けるのには相当のパワーが必要だろう。
そこにきてこの感染症騒ぎである。いつも三人並ぶ座卓の真ん中を空け、窓を全開にして、入室時には手に消毒液、時間で完全入れ換え制。
先生はマスクの上にフェイスシールドを被り、ニトリルの手袋をはめている。
撮影しながら、本当にありがたいと思うと同時に、この限界ぎりぎりの緊張感を本社のえらいひとたちはいったいどれほど想像できてるんだろうか、と残念になる。売上が激減し、このままでは先生や子どもたちにも迷惑かかるから、なんとかしなきゃっていうのは理解できるけど、やり方とか伝え方とかもっとあるよね。いや、先生からしてみれば、事務局ももっと頑張れよってことだよね。
とりあえず帰ったら机回り整頓しよう。カウンターに花置くのもいいかも。
背筋伸ばしていこう。